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「アイヒマン・ショー」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
アイヒマンショー.jpg
アウシュビッツのホロコーストを主導した、
ナチスの高官アイヒマンが、
1961年に南米で逮捕され、
イスラエルで公開裁判に掛けられたという史実を素材にして、
そのテレビ収録の監督とプロデューサーを主人公とし、
実際の裁判をテレビで中継するという、
それまでにないメデイアの事件の裏側を描いた映画が、
比較的地味に公開されています。

これは内容もかなり地味な映画です。
アイヒマン裁判撮影のために、
アメリカでレッドパージを受けたユダヤ人の監督が、
イスラエルに招かれるところから、物語は始まり、
アイヒマンの「悪」を、
人間が誰しも持ちうる闇として描くことを意図した監督と、
番組が世間的に注目を集め成功することを、
第一に考えるプロデューサーとの対立が軸になるのですが、
特にドラマティックな展開がある訳ではなく、
意外と淡々と物語は進みます。

イスラエル政府や判事の無理解や、
ナチス信奉者の男から襲撃されたりというような、
サスペンスを狙ったような趣向もあるのですが、
なくもがな、という感じで、
スリリングにはなっていません。

ラストは冷静沈着な態度を崩さないアイヒマンから、
人間的な動揺を引き出そうと、
テレビ的な演出を駆使して主人公が迫り、
何となくすっきりしない感じですが、
その表情に一瞬の動揺が捉えられて、
スタッフは歓声を上げて物語は終わります。

人間の誰にでもある闇の部分であるとか、
テレビマンの非人間的な部分、
ユダヤ国家建国のジレンマなど、
興味深いテーマも表現はされますが、
それほど深く斬り込むという感じではなく、
トータルには、
ホロコーストの真実を世界に伝えた、
メディアの意義を称賛するニュアンスが、
作品の基調音となっていました。

歴史のお勉強としては面白く見たのですが、
アイヒマン裁判を扱った映画は他にもあり、
比較して特に目新しさは感じません。
演出は当時の実際の映像を多く使用して、
コラージュ風に構成され、
アイヒマン自身は俳優さんが演じた部分と、
実際の映像による本人の映像とが、
目まぐるしく切り替わります。
それほどの違和感はないように編集されていますが、
それでも別人であることは明らかに分かるので、
やや不自然な感じはありました。

総じて、真面目な作りで興味深く見ることは出来ますが、
頑張って映画館に足を運ぶほどではないかな、
というのが正直な感想で、
特にサイトで日本のテレビ関係者が、
絶賛しているようなコメントを見ると、
「テレビはこんなに影響力があるんだぜ」という、
そのナルシスティックな感じに、
鳥肌の立つような不快な思いもするのです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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