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コーヒーの認知症予防効果について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
コーヒーと認知症リスク.jpg
今月のClinical Nutrition誌に掲載された、
コーヒーの摂取量と認知症の発症リスクとの関連を検証した論文です。

コーヒーはカフェインを含み、
常用性のある飲み物ですが、
その一方で抗酸化作用のある生理活性物質を、
多く含むという報告などもあり、
また最近ではコーヒーを飲む人の方が、
総死亡や心血管疾患のリスクが低下する、
という報告が複数存在しています。

その代表的なものは、
2012年のNew England…誌の論文で、
以前記事でご紹介したことがあります。

40万人以上の健康調査において、
コーヒーを沢山飲む人の方が、
1割程度総死亡のリスクが低下した、
という結果になっています。

日本の疫学データも2015年に論文化されていて、
例の有名なJPHC研究の解析ですが、
矢張り総死亡のリスクが1から2割低下した、
とする結果になっています。

こうした知見からは、
コーヒーには何らかの健康保持作用が、
あるのではないかということが示唆されますが、
その実態は必ずしも明らかではありません。

コーヒーは消化管ホルモンやストレスホルモンを、
刺激するような作用があるとする報告があります。

消化管と脳との関連は、
脳腸相関(Brain-Gut axis)などとも呼ばれ、
近年注目されているホルモン相互の関連の1つです。

こうした作用からは認知症に対して、
コーヒーは悪いようにも思え、
また良いようにも思えます。

これまでに幾つかのコーヒーと認知症のリスクとを検討した報告があり、
概ね一定の予防効果があるという結果が多いのですが、
統計手法などはまちまちで、
それほど信頼の置けるようなデータとは言えません。

今回の研究では、
これまでの9種類のコホート研究という、
比較的この分野では精度の高いデータのみをまとめて解析し、
コーヒーの摂取量と、
軽度認知機能低下から認知症などを含む、
認知機能低下の発症との関連を検証しています。

その結果…

トータルで34282名を1.3から28年観察した結果として、
1日にコーヒーをカップ1杯は飲まない場合と比較して、
1日1から2杯平均して飲んでいると、
認知機能低下の発症は、
18%有意に低下していました。(0.71から0.94)

一方で1日3杯以上平均して飲んでいると、
それもその量が多いほど認知機能低下のリスクを増加させていました。

つまり、
今回のデータでは、
コーヒーを毎日1から2杯飲むことが、
一番認知機能低下のリスクを低下させ、
それより多くても少なくても、
リスクは増加する、
という結果になっています。

カフェインには交感神経の機能を刺激して、
脳内の一部の神経伝達を促進させ、
記憶の再生などにも良い影響を与える、
という実験データがあります。
それが過剰であれば却って脳の働きを落としてしまう、
というように考えると、
適度なコーヒー摂取は良い影響を与えるけれど、
過剰であれば逆効果となる、
というデータには一定の妥当性があるようにも思えます。

ただ、1日コーヒー1杯と言ったところで、
そこに含まれるカフェインの量も、
コーヒー自体の量も一定ではないので、
こうしたデータは1つの目安程度に、
考えて頂くのが良いと思います。

つまり、適度なカフェインの摂取は、
長期的にも認知機能に良い影響を与える可能性があるけれど、
過剰な摂取が継続すれば、
悪化を進める可能性も否定は出来ない、
という辺りが妥当な考えではないかと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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