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糖尿病の治療薬と骨折リスクとの関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診察などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
シタグリプチンの骨折リスク.jpg
先月のJ Clin Endocrinol Metab誌に掲載された、
糖尿病の治療薬と骨折リスクとの関連についての論文です。

2型糖尿病と骨粗鬆症というのは、
いずれも高齢者には多い病気であり、
その合併も多いことが知られています。

その2つの病気は決して無関係という訳ではありません。

2型糖尿病においては、
カルシウムの吸収は低下して、
骨減少症に傾きやすくなり、
骨折のリスクは糖尿病によって、
20から30%は増加するという疫学データがあります。

その一方で、
糖尿病の治療により、
骨折の危険性が増加することのあることも知られています。

インスリンやSU剤、チアゾリジン系という糖尿病治療薬は、
いずれも骨粗鬆症における骨折のリスクを、
増加させるというデータが存在しています。

このうちチアゾリジン系の薬剤は、
日本で今使用されているのは、
ピオグリタゾン(商品名アクトスなど)のみですが、
基礎実験と臨床データのいずれにおいても、
骨塩量を減少させ、
骨折のリスクを2倍に増加させる、
という知見が得られています。

インスリンはSU剤については、
低血糖の副作用が多いことから、
低血糖による意識消失やふらつきが、
転倒のリスクになることが、
主に影響していると考えられます。

糖尿病治療薬のうちDPP-4阻害剤という系統の薬は、
特に日本で広く使用されていますが、
逆に骨塩量を増やし、
骨折リスクを減少させるというデータが存在しています。

ただ、解析によっては、
骨折リスクが40%低下した、
というデータがある一方で、
骨折リスクには影響を与えなかった、
というような報告もあって、
必ずしも一貫していません。

それで今回の研究では、
アメリカの医療保険の、
72738名の2型糖尿病の患者さんのデータを活用して、
特にDPP‐4阻害剤のシタグリプチン(商品名ジャヌビア、グラクティブなど)
と骨折リスクとの関連性を検証しています。

患者さんの年齢は中央値は52歳で性差はなく、
糖尿病のコントロールの指標である、
HbA1cの中央値は7.5%です。

シタグリプチン未使用の患者年間1000人当たりで、
4.8件の骨粗鬆症由来の骨折が認められたのに対して、
シタグリプチン使用者の骨折は、
年間1000人当たり4.0件で、
これは有意差はありませんでした。
個々の治療と骨折リスクとの関連を見ると、
インスリン、SU剤、チアゾリジン系は、
いずれも骨折リスクとの相関が認められましたが、
シタグリプチンではそうした相関は認められませんでした。

要するに、
2型糖尿病の患者さんでは、
比較的若年であっても骨折のリスクは高く、
糖尿病治療薬としては、
インスリン、SU剤、チアゾリジン系は、
そのリスクを上昇させる一方、
DPP-4阻害剤にはそうしたリスクはない可能性が高い、
という結果です。

2型糖尿病の治療については、
患者さんの骨折リスクも検証し、
リスクの高い患者さんでは、
極力骨折リスクを増加させない投薬を行なうことも、
患者さんのトータルなADLのためには、
重要な視点の1つであるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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