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月刊「根本宗子」第12号「忍者、女子高生(仮)」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が外来を担当し、
午後は石原が担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
忍者女子高生.jpg
若手気鋭の女座長、
根本宗子さんの個人劇団、
月刊「根本宗子」の新作公演が、
今下北沢のスズナリで上演されています。

今回は傑作だった昨年の「もっと超越したところへ」と、
同じ劇場同じキャストで、
果たしてどのような発展形を見せてくれるのかと、
その期待は高まります。

今回は家庭劇で、
ちょっとした演出上の仕掛けと、
予想外の展開が用意されています。

ただ、その仕掛けと趣向が成功しているかと言うと、
それはやや微妙なところで、
一時のポツドール風の緻密な青春群像劇が、
最近の作品では、
小劇場風前衛の変化球に傾斜していて、
仕上げが緻密さや繊細さに欠けるところが、
今回も少し残念な思いがありました。

この役者陣でこの話というのは、
少し無理があったのではないでしょうか?

以下ネタバレを含む感想です。

舞台は比較的裕福な資産家であるらしい、
安曇野家のリビングに固定されていて、
3人のマザコン兄弟と、
年の離れた高校生の妹がいます。
マザコン兄弟は3人とも結婚していて、
1人は娘がいますが、他の2人は子供はいません。

4人の兄妹の母親というのが、
58歳という設定ですが、
なかなかの女傑で、
女子高生の娘の、
自分の息子より若い担任教師と恋仲になり、
結婚する、という話になります。

マザコン兄弟も件の女子高生も、
勿論皆がその結婚には反対なのですが、
母親は強引に結婚を推し進め、
その顔合わせの日から舞台は始まります。

いつもの根本宗子組の面々が若い夫婦を演じ、
主人公の女子高生は、
主催の根本宗子さんが制服姿で演じます。

母親役はどうするつもりかと思っていると、
何と男優陣が場面ごとに入れ替わりの女装で演じ継ぐ、
という趣向になっています。

結局結婚直前で母親は急死し、
残された兄弟と担任教師は、
文字通りのバトルを演じ、
何かリアルと妄想がないまぜになった混乱のうちに、
ある種の奇跡が起こって、
幕が下ります。

親が子供より年の若い婚約者を連れてくる、
というのは、
その逆の設定では、
三谷幸喜さんの「君となら」という名作がありますし、
テレビドラマなどでも、
ある種定番の家庭劇の設定です。

ただ、おそらくはそれを、
当事者の女子高生の、
妄想を交えた歪んだ色眼鏡で見直そう、
というのがおそらくこの芝居のベースにある趣向で、
母親は息子の女装としてしか登場しませんし、
女子高生は忍者にかぶれていて、
家を忍者屋敷のように改造し、
ラストはゲームもどきの対決アクションになります。
別にどんでん返しではないのですが、
舞台の彩が一変するのは、
シベリア少女鉄道を彷彿とさせます。

面白い趣向であり新傾向ですが、
それほど成功しているとは思えません。

キャストが昨年のような青春群像劇としてはバッチリですが、
こうした家庭劇としては違和感があります。
女優陣は全員がほぼ同年代に見えますし、
これまでそうした役を演じていたので、
根本さんだけが女子高生というのが、
どうにも違和感があります。
全員が高校生なら、
それはそれで成立すると思うのですが、
家庭劇というのは、
年齢差が重要な要素なので、
それが不明瞭なキャストでは、
成立しないと思うのです。

特にオープニングで長男夫婦の会話などは、
未整理で面白みも希薄ですし、
長男のお嫁さんに生活感が希薄なので、
設定がなかなか呑み込めませんし、
何より舞台が弾みません。

母親を息子の女装で入れ替わりに演じる、
という趣向も、
母親という存在が作品の肝なので、
やはりそれなりに母親を感じさせる役者さんが、
演じないとまずかったように感じました。

総じて、このキャストで何故この作品なのか、
という点が一番の疑問です。

作品自体は悪くないと思います。
三男の嫁くらいのポジションを根本さんが演じて、
母親役にはそれなりの年齢の役者さんを配し、
女子高生役にもそう見える10代の役者さんを起用すれば、
より根本さんの意図が、
十全に観客に伝わるような作品になったのではないでしょうか?

ただ、こうした感想は保守的で心得違いのものかも知れません。
根本さんの劇作はまだこれから進歩を続ける性質のものだと思うので、
今後の展開に期待したいと思います。

頑張って下さい。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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