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経口ステロイドによる痛風治療の効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
痛風発作とステロイド.jpg
今年のAnnals of Internal Medicine誌に掲載された、
痛風発作の治療法についての論文です。

痛風というのは、
過剰な尿酸が関節に結晶化して蓄積し、
それが一種の自己炎症というメカニズムによって、
炎症を起こして激しい痛みの発作を起こすという病気です。

足の親指の付け根が赤く腫れて熱を持ち、
触るだけで飛び上がるような、
激痛が起こるのが典型的な症状です。

この痛風発作の急性期には、
非ステロイド系消炎鎮痛剤と呼ばれる痛み止めの飲み薬を、
通常の痛みへの使用量よりも多い量で、
短期間使用することが一般的です。

また、発作の強烈な痛みが起こる前に、
その場所がムズムズしたりチクチクするような、
一種の前兆のような症状の起こることがあり、
その時点でコルヒチンという、
白血球の遊走を抑えるような薬を使用すると、
発作が予防されることが知られていて、
発作の初期にはそうした治療も行われます。

関節炎の炎症の治療という観点からは、
飲み薬のステロイド剤(プレドニンなど)も、
もう1つの治療の選択肢です。

短期間の使用で済むという前提であれば、
むしろ非ステロイド系消炎鎮痛剤よりも、
副作用も少なく使いやすいという側面もあります。

ただ、現行のガイドラインにおいては、
敢くまで非ステロイド系消炎鎮痛剤が、
急性の痛風関節炎の第一選択の薬剤で、
ステロイド剤は腎機能低下やワルファリン使用時など、
非ステロイド系消炎鎮痛剤が使用困難な場合に限って、
使用を検討すべき、というような記載になっています。

これは何故かと言えば、
非ステロイド系消炎鎮痛剤とステロイド剤を、
痛風関節炎の治療において直接比較したようなデータ殆どなく、
ステロイドの有効性についての根拠が乏しいからです。

そこで今回の研究では、
香港の複数の医療機関において、
416名の急性痛風関節炎の患者を登録し、
患者にも主治医にも分からないように、
くじ引きで2つのグループに分け、
一方は非ステロイド系消炎鎮痛剤を使用し、
もう一方は経口ステロイドを使用して、
その後14日間の観察で、
2種類の薬剤の有効性と安全性とを検証しています。

非ステロイド系消炎鎮痛剤としては、
インドメタシンを使用し、
最初の2日間は1回50ミリグラムを3回使用し、
その後の3日間は1回25ミリグラムを3回使用します。
経口ステロイドとしては、
プレドニゾロンを使用し、
5日間30ミリグラムを1日1回で使用します。

その結果…

使用後2日および14日間の検討において、
両群の痛風発作への有効性には、
明確な違いは認められませんでした。
めまいや眠気などの有害事象は、
使用後2日の早期では、
ステロイド使用群でより多く認められましたが、
14日間の検証では有意な差は認められませんでした。

従って、今回の検証では、
初期治療としてステロイド剤を使用しても、
非ステロイド系消炎鎮痛剤を使用しても、
その効果には大きな差は認められませんでした。

実際的には、
糖尿病があれば非ステロイド系消炎鎮痛剤が第一選択となりますが、
それ以外のケースでは、
ステロイドが第一選択でも大きな問題はなく、
特に腎機能低下やワルファリン使用時、
胃潰瘍などの既往があるケースでは、
ステロイドを使用することが望ましいと考えられます。
日本での使用では、
多くの場合プレドニンは20ミリでも問題はなさそうですが、
5日間の短期使用であれば、
30ミリでも大きな問題は生じないのではないかと思いました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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