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造影剤腎症の発症と造影剤の種類との関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
造影剤腎症と造影剤の種類.jpg
先月のAnnals of Internal Medicine誌にウェブ掲載された、
造影剤の種類とその副作用の発症との関連を検証した論文です。

CT検査などで病変の細かい評価を行なうためには、
造影剤を用いた検査が必要となります。

CT検査や血管造影において、
その造影剤の主体はヨード系の造影剤です。

この造影剤の副作用として、
ショックなどのアレルギー反応と共に、
大きな問題となるのが、
造影剤により腎機能が低下する、
造影剤腎症と呼ばれる病態です。

その原因は必ずしも全てが分かっている訳ではありませんが、
造影剤には腎臓の血管を収縮させる性質があり、
また尿細管の細胞に対する毒性も指摘されていることから、
複合的な要因により、
腎機能が低下すると考えられています。

定義としては、
造影剤を使用してから3日以内に、
血液のクレアチニンの数値が、
0.5mg/dL以上上昇することが、
その診断の目安となっています。

この造影剤腎症を、
極力予防することが、
造影剤を使用する検査においては求められているのですが、
今のところ決定的な方法というのは見つかっていません。

その中で1つ指摘されていることは、
造影剤の浸透圧(濃さ)が、
髙いほど造影剤腎症は発症し易く、
血清の浸透圧に近いほど発症しにくいのではないか、
という推測です。

このため、
まず血清浸透圧の2から3倍程度の浸透圧の造影剤が、
低浸透圧造影剤(LOCM)として、
1990年代以降もっぱら使用されるようになり、
そして更に血清浸透圧とほぼ同じ浸透圧を持つ、
等浸透圧造影剤(IOCM)が、
近年開発され既に活用されています。

具体的には、
イオヘキソール(商品名オムニパーク)や、
イオパミドール(商品名イオパミロン)などが、
低浸透圧造影剤に分類され、
イオジキサノール(商品名ビジパーク)が、
等浸透圧造影剤に当たります。

それ以前の浸透圧の高い造影剤と比較して、
低浸透圧造影剤にリスクが少ないことは、
ほぼ間違いのない事実です。
ただ、それでは本当に等浸透圧造影剤の方が、
低浸透圧性より優れているのかと言うと、
その点については明確なデータに乏しく、
そのため今でも低浸透圧造影剤が広く使用されています。

今回の研究はこれまでのデータをまとめて解析する方法で、
低浸透圧造影剤の種別による差と、
低浸透圧と等浸透圧の造影剤の、
造影剤腎症の発症リスクの差を比較検証しています。

その結果…

低浸透圧造影剤の種別による、
造影剤腎症の発症リスクには明確な差はなく、
等浸透圧造影剤は低浸透圧造影剤と比較して、
造影剤腎症の相対リスクを20%有意に低下させた、
という結果が得られましたが、
その差は統計的にギリギリのもので、
臨床的に明確に優位性があると、
確認されるようなレベルのものではありませんでした。

従って、
現状は低浸透圧造影剤と等浸透圧造影剤は、
いずれも使用の選択肢としては、
考慮して問題ない、という結論になるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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