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ビタミンDのサプリメントの膝関節症への効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームなどの診療には出掛ける予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ビタミンDと膝関節症.jpg
今年のJAMA誌に掲載された、
ビタミンDのサプリメントの、
膝関節症に対する効果についての論文です。

変形性膝関節症は、
60歳以上の男性の10%、
女性の13%が罹患するという海外統計があります。

膝の痛みは多くの高齢者の快適な生活の妨げとなり、
寝たきりの大きな要因ともなります。

残念ながら、
変形性膝関節症を治すような治療はありません。
初期におけるヒアルロン酸の注射や、
適切な運動療法や体重のコントロール、
グルコサミンとコンドロイチンの併用などが、
その進展予防や症状の緩和に、
一定の効果があると報告されていますが、
特に進行した状態では、
名案のないのが実際です。

ビタミンDは健康な骨の形成には、
なくてはならないステロイドホルモンの一種で、
骨の過度な代謝回転を抑え、
関節軟骨の変性を抑制する作用もあると、
実験的にはそう考えられています。
こうしたビタミンDの作用からは、
ビタミンDを適度に補充することにより、
変形性の膝関節症の進行が予防される可能性が示唆されます。

疫学データにおいては、
血液中のビタミンD濃度(25水酸化ビタミンD濃度)が低いほど、
膝の痛みが強く、レントゲン上の膝の変形も高度で、
病変も進行し易いとの知見があります。

ただ、実際にビタミンDを使用して、
膝関節症の所見や症状に改善が認められた、
というような結果は、
これまでに得られていません。

そこで今回の研究においては、
オーストラリアの複数施設において、
50から79歳で変形性膝関節症による症状があり、
血液の25水酸化ビタミンD濃度が、
12.5から60nmol/Lと低めである患者さん、
トータル413名を、
患者さんにも主治医にも分からないように、
くじ引きで2つの群に分け、
一方は50000単位のビタミンDのサプリメントを、
1か月に1回使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
2年間の経過観察を行ない、
膝関節症の進行と症状を比較しています。

その結果、
ビタミンDのサプリメントにより、
血液のビタミンD濃度は上昇しましたが、
2年間の膝関節症の進行度や、
膝の痛みの程度には、
両群で有意な差は認められませんでした。

この結果は骨折予防などを検証した、
これまでの試験とも一致していて、
正常下限程度のビタミンDの欠乏を、
サプリメントで補充し、
やや過剰な状態を持続させても、
そのことにより骨や関節の病変や症状に、
目に見えるような変化が生じることは、
殆どないと考えた方が良さそうです。

ただ、これはビタミンDに有用性がないことを、
必ずしも示してはいないと思います。
海外のこうした試験では、
ほぼ全てがサプリメントのビタミンDを使用していて、
活性型ビタミンDは使用をされていないので、
日本で薬剤として使用されている、
活性型ビタミンDの使用により、
また別個の結果が出る可能性も、
否定は出来ないと思うのです。

しかし、
残念ながら欧米主導で行われているような、
厳密な方法の臨床試験の実施は、
おそらく日本では行われない可能性が高いので、
この問題は少なくとも近い将来には、
解決しない性質のものかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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