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MONO「裸に勾玉」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

本日2本目の記事は演劇です。

今日はこちら。
裸に勾玉.jpg
京都をホームグラウンドに活動をされている、
土田英正さん主催の劇団MONOの、
新作公演が今三軒茶屋のシアタートラムで上演されています。

この劇団はあまり観ていません。
前回は「赤い薬」と言う作品でしたから、
もう随分前のことになります。

非常に発想の面白い会話劇で、
ウェルメイドで丁寧な舞台作りも好感が持てます。
ただ、設定が非常に面白い割に、
展開があまりなく、
後半は退屈することが多かった、
というのが正直なところです。

せっかく物凄く魅力的な設定であり趣向なのですから、
もう少しワクワクするような展開や、
意外性のある着地はなかったのでしょうか?

以下ネタバレを含む感想です。

舞台は弥生時代で、
高床式倉庫や竪穴式住居が建っています。
狗奴国(?)の南の外れが舞台で、
邪馬台国との戦争前夜、
という設定のようです。

国という枠組みからはドロップアウトした疑似家族がいて、
そこに現在からタイムスリップした、
サラリーマンの男がやって来ます。
実はその国の長の妻は、
その男の妻で、
彼の同僚を含めて3人が、
半年前に同時にタイムスリップし、
サラリーマンの男以外の2人は、
うまくその世界にも適応しているようです。

疑似家族はサラリーマンの男も受け入れるのですが、
その中でも仲たがいがあり、
国から排除されようとするのですが、
ある者は犠牲になり、
ある者は邪馬台国の方へと落ち延びて行きます…
と、そこで舞台は現代に戻り、
弥生時代と思ったのは単なる遺跡のセットで、
そのナレーションが流れる中で、
物語は終わります。

これは何と言っても、
弥生時代の疑似家族の生活のスケッチが楽しいのです。

偽の弥生語のようなものを作り、
それで会話が展開される、
という趣向が凝っています。

途中から現代人が入って来るので、
2種類の言葉が対置され、
後半では融合してゆくという辺りも、
知的な魅力に溢れています。

こんな設定はこれまでになかったと思いますし、
ユニークでかつコミカルで、
客席には笑いが絶えません。

つかみとしては、
この前半は抜群でした。

ただ、話の枠組みがしっかりと見えて来ると、
単にその場所を追われて、
これから何処へ逃げてゆこう、
というだけの展開になるので、
後半はかなり退屈を感じました。

弥生時代にも現代にも、
決められた集団に縛られたくない、
という人間はいて、
集団から排除される人間もいて、
しかし、ドロップアウトした人間を、
受け入れる社会であって欲しい、
ということなのだと思いますが、
それだけで2時間をもたせるのは、
かなり苦しいというのが正直なところです。

何人もの人間がタイムスリップして、
その時代に適合して生きる、
という「信長協奏曲」のような話なのですが、
戦国時代であれば、
激動する歴史的な事件が、
どのように関わり、どのように変容するのか、
という興味が湧きますが、
弥生時代ではそうしたストーリーは描けません。

「戦争の予兆」という当たりに、
現代と通底するものを出したかったのかも知れませんが、
その試みも尻切れトンボに終わっています。

この作品におけるタイムスリップの意味は、
何処にあったのでしょうか?

ラストは主人公のただの妄想であったかのようにも、
思えるような処理がされているので、
猶更に疑問に感じます。

このままのストーリーであれば、
むしろ徹頭徹尾弥生時代の話にした方が、
すっきりした作劇であったように思いました。

キャストは過不足のない好演で、
舞台セットもしっかりと出来ていて、
奇を衒わない演出も良いと思います。

それだけに、
もう少しワクワクするような展開や、
物語上の仕掛けが欲しかった、
という思いが残ってしまうのです。

これからも頑張って下さい。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

「マネーショート 華麗なる大逆転」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診ですが、
朝9時から夕方の5時まで講習会があるので、
1日勉強という感じです。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
マネー・ショート.jpg
リーマンショックの裏側を描いたベストセラー小説を映画化した、
「マネーショート 華麗なる大逆転」を観て来ました。

これからご覧になる予定の方のために言うと、
これは正攻法の映画ではありません。

いきなりコラージュ風に、
ニュース映像やミュージックビデオなどが、
目まぐるしく切り替わり、
役者さんが演技の途中で、
キャメラの方を向いて、
観客に語りかけたりします。

隣のおじさんは、
巻頭15秒で爆睡していました。

ある程度の予備知識がないと、
どういう話が良く分かりません。
難しい経済用語が出て来ると、
それに解説が付くのですが、
その説明をテレビの人気者がカメオ出演で行う、
というような趣向になっていて、
それ自体がギャグになっているのですが、
分かり易くなっているという訳ではありません。

監督はコメディ畑の人で、
コメディの呼吸で社会問題を描く、
という大胆なものになっています。
アメリカン・ジョークが満載のようなのですが、
日本ではピンと来ないものが殆どなので、
英語圏で観るようには、
おそらくは楽しめないのだと思います。

最近の映画は僕はあまり観ていないので、
古い映画との比較になるのですが、
ウディ・アレンの初期のコメディ映画に、
似たタッチのものでした。
難しい専門用語を、
エッチに解説しよう、
みたいな作品もありましたよね。
実在の有名人が急に登場したり、
いきなり主人公がキャメラの方を向いて独白したりするのは、
「アニー・ホール」を彷彿とさせます。
ただ、「アニー・ホール」のような切ない感じや、
映画的に優れたカットは、
今回の作品にはあまりなかったように思いました。

要するに、
久しぶりに映画でも観ようか、
というような方に、
向いた映画ではないと思います。

この題名を見ると、
何か痛快な逆転映画のようですが、
実際にはそうではありません。
むしろ、資本主義に対する深い懐疑と、
それで金儲けをする人種に対する絶望が、
映画の主題になっています。
コメディで描きながら、
ラストはちょっと鎮魂歌のような雰囲気になります。
ただ、あまりコメディの部分と、
深刻な部分とが溶け合っているとは言えないので、
その試みは、
成功しているとは言えないように感じました。

制作も兼ねているブラッド・ピットは、
特別出演的な登場で、
あまり活躍するという訳ではありません。
映画配給会社としては痛快な社会派大作として売りたい感じで、
題名も「スティング」みたいなものを思わせますし、
映画館もTCXの大きな劇場で公開されていました。
しかし、大画面で観るような映画ではなく、
もっと小さな単館上映の映画館くらいで、
充分なように感じました。
ビデオ撮影みたいな粗い画面で、
画面が大きすぎると却って見づらく感じます。

何となくどんな映画かはお分かり頂けたかと思いますので、
こうしたものがお好きな方は足をお運び下さい。

今日は2本目があるのでこの話題はこのくらいで。

次は演劇です。
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