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食物アレルゲンの早期導入療法の効果について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は事務作業の予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
アレルギーの早期導入療法.jpg
今年のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
生後3ヶ月から食物アレルギーの原因物質を、
積極的に乳児に食べさせることにより、
食物アレルギーを予防しようという、
大胆な臨床研究の論文です。

お子さんの食物アレルギーは、
3歳未満のお子さんの8%に発症する、
という海外統計があるほど多い病態です。

これまで、
食物アレルギーは、
その素因を持つお子さんが、
より早期にそのアレルゲンとなる食品に接するほど、
発症し易いと考えられて来ました。

そのため、
アレルギーの素因が高いと考えられるお子さんでは、
乳幼児期の食事から、
原因となる可能性の高い食品を、
除去するという予防法が行われていましたが、
あまりその効果は確認されていませんでした。

一方で、
アレルゲンを除去するのではなく、
むしろ乳児期のより早期から摂取することにより、
その後のアレルギーの発症が予防されるのでは、
という考え方があります。

イスラエルの疫学データにおいて、
生後7ヶ月くらいから、
積極的にピーナツの成分を摂取した方が、
除去するより、
その後のピーナツアレルギーの発症が少ない、
という結果が報告され、
2015年のNew England…誌に、
介入試験という厳密な方法の臨床試験において、
生後4ヶ月という早期から、
ピーナツの成分を摂取することにより、
その後のピーナツアレルギーの発症が、
劇的に減少するという結果が報告されて、
大きな議論となりました。

今回の研究では、
ピーナツを含むより多くのアレルゲンに対して、
同時に同様の試みを行ない、
その効果を検証しています。

イギリスにおいて、
完全母乳栄養の乳児1303名を、
生後3ヶ月の時点で登録し、
くじ引きで2つのグループに分けると、
一方は6種類のアレルゲンを含む食事を、
生後3ヶ月という早期から導入し、
もう一方は通常の離乳開始である、
生後半年を目安に導入します。
そして、生後1歳および3歳の時点での、
6種類のアレルゲンに対する、
食物アレルギーの発症率を比較するのです。

使用されているアレルゲンは、
ピーナツ、小麦、牛乳、ゴマ、白身魚、調理された卵、
の6種類です。

解析はintention-to-treatという方法で行われます。
これは離乳食の早期導入に失敗した場合も、
そのグループに含めて解析する、
という方法です。
つまり、脱落者が多いと、
それだけ期待した結果が出にくくなるのです。

結果はアレルゲンの早期導入群と通常導入群との間で、
食物アレルギーの発症率には、
有意な差は認められませんでした。

ただ、実際には早期導入群の半数を超えるお子さんが、
早期の離乳食の導入からは脱落していて、
最後まで実施が可能であったお子さんのみの比較では、
ピーナツアレルギーと卵アレルギーについては、
一定の予防効果が確認されました。

つまり、
全てのアレルゲンで同じことが言えるとは、
現段階では証明はされていませんが、
どうやら可能であれば乳児期の早期に、
アレルギー食品の摂取を開始した方が、
その後の食物アレルギーの発症は、
一定レベル予防されることは事実であるようです。

臨床試験においても半数が脱落するなど、
この方法はまだ問題があり、
その安全性も含めて、
そのまま育児に応用することは、
時期尚早であるように思います。

今後安全で導入も可能な、
食物アレルゲンの早期導入療法の確立を、
期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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