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コウモリの免疫の謎 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
コウモリの免疫.jpg
今月のPNAS誌に掲載された、
コウモリの遺伝子を解析した、
興味深い論文です。

コウモリはエボラウイルスやSARSウイルスを始めとして、
多くの病原性の高いウイルスを媒介する動物として知られています。

コウモリの体内で生きているウイルスが、
その糞便などを介して、
人間にも感染を起こすのです。

それでいて、
コウモリ自身はエボラウイルスが体内にいても、
特に熱を出したり、
飛べなくなったりすることはないようです。

それは一体何故でしょうか?

今回の研究では、
その人間を含む他の哺乳類と、
コウモリとの違いが、
免疫にあるのではないかという推論の元に、
免疫系の中でもウイルス感染の防御の主力武器である、
インターフェロンというサイトカインの、
産生能の違いを解析しています。

その結果…

1型インターフェロンの遺伝子座(loci)は、
他の哺乳類のそれが350から1000kbあるのに対して、
250kb以下と極めて小さく圧縮されていて、
インターフェロンαに関して見ると、
他の哺乳類は7から18種類の遺伝子が関与しているのに対して、
たった3種類の遺伝子しか機能していません。

しかし、他の哺乳類では、
1型インターフェロンは通常は産生されず、
ウイルスが体内に侵入した時のみに、
産生されて外敵の攻撃に使用されるのに対して、
コウモリの1型インターフェロンは、
常時体内の全ての組織において、
その産生が継続されています。

人間ではインターフェロンα1のmRNA(蛋白合成を反映)は、
脾臓、肝臓、腎臓には検出されますが、
健康な状態ではそれ以外の組織では検出されません。
その一方でコウモリでは、
身体の全ての組織で検出されるのです。

要するにコウモリの体内では、
人間などの他の哺乳類では、
命に関わるような重篤な症状を来たすような、
ウイルス感染の防御に、
特化したインターフェロンのみの産生が、
常時行なわれていて、
そのためにウイルスを保有していても、
健常な状態を保つことが出来る、
ということのようです。

ただ、インターフェロンの産生増加は、
発熱などの感染症状の原因でもある訳ですから、
コウモリでは常時免疫が亢進していながら、
それが定常状態で平気でいられることの、
説明にはあまりなっていないようにも思います。

いずれにしても、
ゾウは癌抑制遺伝子が多いので癌にならず、
コウモリはインターフェロンが常時産生されているので、
ウイルス感染があっても平気など、
動物の生態を知ることは、
病気の治療や予防に有用な情報を、
提供してくれることは間違いがなく、
今後の研究の積み重ねを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

シアターシュリンプ第2回公演「ガールズビジネスサテライト」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。
昨日はちょっと外泊しましたので、
今日は少し遅い更新になります。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
シアターシュリンプ.jpg
私立恵比寿中学による演劇公演、
シアターシュリンプの第2回公演が、
本日まで東京グローブ座で上演されています。

何故場違いの物を観たのかと言うと、
「シベリア少女鉄道」の土屋亮一さんが作・演出を務めていて、
第1回公演が非常に評判が良かったので、
どんなものかしらと思い、
足を運んでみたのです。

これは如何にも土屋さんらしい、
多重展開型のシチュエーション・コメディで、
「シベリア少女鉄道」的なものを期待すると、
ちょっとがっかりする部分はあるのですが、
それは僕の勝手な期待なので、
実際にはこれで良いのだと思います。

以下ネタバレを含む感想です。

舞台はファミレスで、
そこで週刊文春を当て込んで、
月刊誌の編集者が有名人の不倫(?)の現場を、
押さえようと画策しています。
ただ、そのためには午後7時から店を貸切にする必要があり、
そのための段取りも済んでいたのですが、
仕事をしない従業員や、
妄想癖のある変な女性警官、
アイデアに煮詰まった女学生漫画家などが絡んで、
事態は複雑で予測不能の方向に転がり始めます。

1時間20分ほどの1幕劇で、
シベリア鉄道的などんでん返しはありません。
通常はどんでん返しで破壊され、
ラストはどう収束したのが不明になるようなドラマを、
そのまま最後まで通した、
という印象でした。

その代わり比較的丁寧に個々のキャラは設定され、
その複雑な絡み合いを楽しむという趣向です。

登場するキャラクターはなかなか魅力的ですし、
何度もコスプレで衣装が入れ替わったり、
というサービスも活きています。

今までは仕掛けと趣向のみが目立った、
土屋さんの芝居ですが、
ここに来て、通常のシチュエーションコメディとしても、
楽しめる段階に入ったということなのかも知れません。

物語が多発進行的に展開するので、
後半にはもう少し収束感が、
どんでん返しとは別の意味で欲しかったな、
という気はしますが、
今後もこの試みは続けて欲しいと思いますし、
その進化を楽しみにしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

アンナ・ネトレプコ スペシャル・コンサート [コロラトゥーラ]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。
何もなければ1日のんびり過ごす予定です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
アンナ・ネトレプコ.jpg
ロシア出身のソプラノで、
今世界で最も売れっ子のオペラ歌手の1人である、
アンナ・ネトレプコが久しぶりに来日し、
オペラアリアのリサイタルを行いました。

ネトレプコは2000年代の初めころに頭角を表したソプラノ歌手で、
美貌の歌姫で貫禄充分なところは、
ゲオルギューの再来という感じがありました。
ただ、演技の大きさでも、
歌唱の技術的な面でも、
ゲオルギューを遥かに凌いでいると思います。

そのレパートリーは、
コロラトゥーラからベルカントまで幅広く、
力押しも出来る一方で、
そう上手くはないのですが、
コロラトゥーラのような装飾歌唱もそこそここなし、
何より演技の大きさが魅力です。

日本にはマリインスキー・オペラに同行したのが、
確か始まりで、
小澤征爾のオペラ塾でムゼッタを歌い、
2005年にはロシア歌曲主体のリサイタルを開きました。
このリサイタルは聴いていますが、
可憐な容姿と繊細な歌い廻しが素敵で、
アンコールで歌ったルチアの第一アリア(2幕)は、
確かな技術も感じさせました。

2006年にはメトロポリタンオペラの来日公演で、
「ドン・ジョバンニ」のドンナ・アンナを歌っています。
これは非常に豪華なメンバーの公演でしたが、
もう既に堂々たる貫禄のドンナ・アンナで、
観客の人気を最も集めていました。
この時は本当に目の覚めるような美しさでした。

オペラの歌唱として、
極めて印象的だったのは、
2010年の英国ロイヤルオペラの来日公演で、
ネトレプコはマスネの「マノン」のタイトルロールを歌い、
抜群の歌唱と演技を見せると共に、
ドタキャンして来日しなかったゲオルギューの代役として、
1日のみ「椿姫」の舞台に立ちました。

この時は「マノン」が最高で、
思わず2回足を運びました。
特に3幕で男たちを引き連れて女王然として登場し、
装飾技巧を散りばめたアリアを歌うくだりなどは、
これぞプリマドンナという、
惚れ惚れとするような姿であり演技であり歌唱でした。

1日のみ代役で歌った「椿姫」は、
高音に失敗したりして、
準備不足の否めない出来でしたが、
それでもおそらく日本では唯一の機会となるであろう、
ネトレプコのヴィオレッタを堪能しました。

この時のお姿は、
正直以前よりかなりあちこちにお肉が付き、
ぽっちゃりとされていました。

そして、2011年にメトロポリタンでの来日が予定されていたのですが、
震災の影響でキャンセルとなり、
その後もなかなか来日の機会はありませんでした。

もう駄目なのかしらと思っていると、
今回、まあ昨年12月に再婚したテノール歌手、
ユシフ・エイヴァゾフさんのお披露目旅行の意味合いがあるのでしょうし、
中国公演のおまけなのかも知れませんが、
旦那さんとのデュオコンサートとしての、
来日公演が実現しました。

18日に足を運びましたが、
これは素晴らしかったです。

東京フィルのオケを従えて、
オペラアリアばかりをガンガン歌います。
プログラムもかなり聴き応えのある曲を揃えていて、
アンコールまで一切の手抜きなし、
という姿勢が嬉しいのです。

ご本人は勿論ですが、
パートナーのエイヴァゾフさんが、
アルジェリア出身ですが、
イタリア的な輝かしい美声で、
これもなかなか聴き応えがあるのです。

棒立ちで歌うのではなく、
演技も入れて、
ほぼオペラの抜粋のようにして全ての曲を歌います。

ヴェルディの「オテロ」の二重唱では、
実際に2人が接吻を交わしますし、
ラストでは「アンドレア・シェニエ」のラストを、
処刑前の緊張そのままに歌い演じます。

歌自体も冒険はしていませんし、
技巧的にはボチボチで、
それほど高音も出さないのですが、
声量もあり非常に安定感と情感があります。
「蝶々夫人」の「ある晴れた日に」など、
ピンカートンの乗る船を、
その腕で強引に引き寄せてしまいそうなド迫力ですが、
それでいてラストに掛けて、
蝶々さんの狂気を、
きちんと表現している点にも感心します。

お姿はかなりボリュームが増しました。
ちょっと予想を超えていて、
「あっ…」という感じはあります。
ただ、またオペラの舞台の前には、
もう少し絞られるのではないかと思います。

ともかく、声楽のリサイタルでオペラアリアとしては、
本当に素晴らしくて、
僕はデセイ様が絶対のナンバーワンなので、
それだけは除外すれば、
最高と言っても良い出来です。
声の調子も良さそうでしたし、
もう1日、21日のリサイタルが残っていますから、
今世界最高のソプラノ歌手の歌を聴きたいと思われる方は、
是非足をお運びください。

素晴しいですよ。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

劇団☆新感線「乱鶯(みだれうぐいす)」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
診療は午前中は石田医師が担当し、
午後2時以降は石原が担当する予定です。
午前中には健康教室を予定しています。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
乱鶯.jpg
劇団☆新感線の春興業が、
新橋演舞場にて上演されています。

今回はいのうえ歌舞伎BLACKと名付けられていて、
かつて長谷川一夫や田村正和が上演していたような、
一般娯楽の王道としての時代劇を、
古田新太を主役にして、
新感線スタイルで再現しようとしたものです。

これは派手な新感線を期待していると、
ちょっと物足りなく感じる部分はあるのですが、
昔の娯楽の1つの代表であったような、
人情味に溢れた時代劇に、
真面目に正攻法で取り組んでいて、
なかなか見ごたえがありました。

いのうえひでのりさんは、
盟友の古田新太さんの、
大人の役者としての代表作となる1本を、
用意しようとしたのではないでしょうか。

倉持裕さんの台本は、
ケレン味のない安定感のあるものですし、
居酒屋のおやじの幽霊が出て来る以外は、
ファンタジーや伝奇ものの要素は排除されています。
超人的なヒーローや怪物も出て来ません。
キャストも基本的には新感線組を主体として、
ゲストも稲森いずみさんや大東駿介さんが出ていますが、
いつもの演舞場の興業と比較すると、
地味なメンバーだと思います。

演技も間合いをゆっくり取り、
要所でその人物を印象付ける見栄を用意するなど、
いつものスピード感のある力押しではなく、
舞台の商業時代劇の手法をを取り入れています。

今回の場合はそれが台本ともフィットしていて、
リニューアルされた商業時代劇と言う感じを、
強く出していました。

役者は皆好演で、
敵役の橋本じゅんさんなど、
もっと細かい笑いも取れるのですが、
今回は敢えてそうしたことはせず、
残忍で小心な悪党を、
それらしく等身大で演じていて見応えがありました。
古田新太さんは堂々とした座長芝居で、
稲森いずみさんのしっとりとした風情が、
一服の清涼剤のように心に染みます。
特に特筆するべきは、
大東駿介さんで、
かつての小栗旬さんを彷彿とさせるような、
颯爽とした芝居をしていました。
前回の鹿殺しへの出演も良かったですし、
最近の若手では出色の、
本物の舞台役者だと思います。

新感線の派手さを期待すると、
少し物足りなく感じると思いますが、
純度の高い「商業演劇的時代劇」としては、
推奨できる出来栄えだと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

ビタミンDのサプリメントの膝関節症への効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームなどの診療には出掛ける予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ビタミンDと膝関節症.jpg
今年のJAMA誌に掲載された、
ビタミンDのサプリメントの、
膝関節症に対する効果についての論文です。

変形性膝関節症は、
60歳以上の男性の10%、
女性の13%が罹患するという海外統計があります。

膝の痛みは多くの高齢者の快適な生活の妨げとなり、
寝たきりの大きな要因ともなります。

残念ながら、
変形性膝関節症を治すような治療はありません。
初期におけるヒアルロン酸の注射や、
適切な運動療法や体重のコントロール、
グルコサミンとコンドロイチンの併用などが、
その進展予防や症状の緩和に、
一定の効果があると報告されていますが、
特に進行した状態では、
名案のないのが実際です。

ビタミンDは健康な骨の形成には、
なくてはならないステロイドホルモンの一種で、
骨の過度な代謝回転を抑え、
関節軟骨の変性を抑制する作用もあると、
実験的にはそう考えられています。
こうしたビタミンDの作用からは、
ビタミンDを適度に補充することにより、
変形性の膝関節症の進行が予防される可能性が示唆されます。

疫学データにおいては、
血液中のビタミンD濃度(25水酸化ビタミンD濃度)が低いほど、
膝の痛みが強く、レントゲン上の膝の変形も高度で、
病変も進行し易いとの知見があります。

ただ、実際にビタミンDを使用して、
膝関節症の所見や症状に改善が認められた、
というような結果は、
これまでに得られていません。

そこで今回の研究においては、
オーストラリアの複数施設において、
50から79歳で変形性膝関節症による症状があり、
血液の25水酸化ビタミンD濃度が、
12.5から60nmol/Lと低めである患者さん、
トータル413名を、
患者さんにも主治医にも分からないように、
くじ引きで2つの群に分け、
一方は50000単位のビタミンDのサプリメントを、
1か月に1回使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
2年間の経過観察を行ない、
膝関節症の進行と症状を比較しています。

その結果、
ビタミンDのサプリメントにより、
血液のビタミンD濃度は上昇しましたが、
2年間の膝関節症の進行度や、
膝の痛みの程度には、
両群で有意な差は認められませんでした。

この結果は骨折予防などを検証した、
これまでの試験とも一致していて、
正常下限程度のビタミンDの欠乏を、
サプリメントで補充し、
やや過剰な状態を持続させても、
そのことにより骨や関節の病変や症状に、
目に見えるような変化が生じることは、
殆どないと考えた方が良さそうです。

ただ、これはビタミンDに有用性がないことを、
必ずしも示してはいないと思います。
海外のこうした試験では、
ほぼ全てがサプリメントのビタミンDを使用していて、
活性型ビタミンDは使用をされていないので、
日本で薬剤として使用されている、
活性型ビタミンDの使用により、
また別個の結果が出る可能性も、
否定は出来ないと思うのです。

しかし、
残念ながら欧米主導で行われているような、
厳密な方法の臨床試験の実施は、
おそらく日本では行われない可能性が高いので、
この問題は少なくとも近い将来には、
解決しない性質のものかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

ビタミンA過剰による門脈圧亢進症のメカニズム [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後とも、
いつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ビタミンA過剰による門脈圧亢進症.jpg
今月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
ビタミンAの過剰によって足が浮腫み、
大量の腹水が溜まり肝臓が障害されるという症例の提示と、
その病態を解説した教育記事です。

あまり教科書などには書かれていない、
ビタミンの過剰摂取による有害事象なので、
興味深く感じてご紹介をさせて頂きます。

事例は54歳の男性で、
1ヶ月前から足の浮腫みが出現し、
1週間前からは腹痛が出現。
間欠的な吐き気もあって、
食事が取れなくなり病院を救急受診しました。

AST(GOT)が87U/L、ALT(GPT)が50IU/Lと、
肝機能の軽度の異常があり、
腎機能には問題はありませんでした。
血小板は10万6000と軽度低下していましたが、
プロトロンビン時間は13.5秒と延長はなく、
アルブミンは3.6g/dLと軽度の低下に留まりました。

腹部CT検査では大量の腹水を認めましたが、
肝臓は腫大はなく、
脂肪肝を疑わせる所見を認めるのみでした。
脾臓の腫大も認めませんでした。

こうした所見から、
肝硬変以外の原因により、
腸管から肝臓に入る血管である門脈の圧力が、
高まっている可能性が示唆されました。

それでは、肝臓に大きな基礎疾患がなく、
生まれつきの病気でもなく、
それで門脈圧が亢進する原因は何でしょうか?

患者さんに慎重な聞き取りをしたところ、
救急受診の半年前から、
ビタミン剤のサプリメントを、
大量に摂取していたことが分かりました。

6ヶ月の平均で1日98500IUという大量です。

これは3万マイクログラムくらいになり、
かなり大量ですが、
たとえば豚レバーで換算すると、
1日230グラムくらいになりますから、
極端に内臓類などを多食していると、
それに近づくケースはあり得ます。

その後の精査により、
この患者さんはビタミンAの過剰摂取によって起こった、
門脈圧亢進症と診断されました。

それでは、
何故ビタミンAを過剰に摂取すると、
肝臓に流入する血管の圧力が高まり、
腹水や浮腫みが起こるのでしょうか?

これは肝星細胞(stellate cell)という細胞に、
その原因があります。

身体に摂取されたビタミンAは、
肝星細胞に取り込まれ、そこで貯蔵されます。
ビタミンAは脂肪の一種ですから、
その細胞の脂肪滴として貯蔵されるのです。
それが過剰なビタミンAが身体に入ると、
肝星細胞はビタミンAでパンパンに膨れ上がり、
肝臓の類洞という場所で血流を圧迫するため、
門脈圧が亢進するのだと考えられています。

この肝星細胞は、
肝臓の線維化にも影響していると言われていて、
肝炎が慢性化すると、
この星細胞が活性化して、
貯蔵しているビタミンAを放出し、
過剰なコラーゲン繊維を作るようになります。
これが肝臓の線維化と肝硬変の起こる、
主要なメカニズムの1つです。

つまり、ビタミンAの過剰は、
門脈圧亢進の要因になるばかりでなく、
肝臓の線維化の原因ともなると想定されているのです。

こちらをご覧下さい。
ビタミンAによる門脈圧亢進症の図.jpg
これは上記の記事からの引用ですが、
肝硬変以外の原因による、
門脈圧亢進症の原因を示したものです。
右上に書かれているのがビタミンAの過剰のケースです。

ビタミンAによる門脈圧亢進症は、
2万単位から40万単位のビタミンAの摂取を、
平均で7年間継続することにより発症していて、
50万単位を超えるビタミンAを、
1回のみ使用した場合にも、
発症したという報告があるようです。

この下限の2万単位は、
6060マイクログラムくらいに相当し、
レバーやウナギを頻回に食べ、
それにビタミンのサプリメントなどを併用していれば、
超えるのはそう難しいことではありません。

ウナギや内臓類を毎日食べる人は少ないと思いますが、
サプリメントを取っている人は、
その内容と食事とのバランスには、
一定の注意を払う必要があるのではないかと思います。

ちなみに、
日本のビタミン剤のサプリメントには、
ビタミンA(レチノール)は通常含まれておらず、
その前駆体のβカロテンが使用されています。
このβカロテンは体内でレチノールに変換されますが、
過剰摂取の場合に全てがレチノールになる訳ではないので、
ビタミンAの蓄積による影響は、
出にくいと考えられています。
主に皮膚に蓄積されるため、
カロチネミアと言って、
皮膚が黄色くなることは良く起こります。
ただ、海外のサプリメントには、
レチノール自体が含まれているものがありますし、
βカロテンのサプリメントも、
ビタミンAの過剰に結び付かないとは言えませんので、
基本的に慎重な使用が望ましいと思います。

今日は稀なビタミンAによる、
浮腫みと肝障害のメカニズムについての話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

心臓手術時のアスピリンの継続とその安全性について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日のため、
診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
アスピリンの中断とそのリスク.jpg
先月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
心臓手術直前のアスピリンの使用と、
その有効性とリスクを検証した論文です。

心臓の手術を受けるような患者さんでは、
アスピリンのような抗血小板剤や、
ワルファリンなどの抗凝固剤を、
狭心症発作の予防や心筋梗塞の再発予防のために、
内服しているケースが多いと思います。

それでは、
術前にはこうした血が固まり難くなる薬を、
どのようにすれば良いでしょうか?

従来行われていた方法は、
手術の1週間くらい前から薬剤を中止し、
術後落ち着いてから再開する、
と言う方法でした。

しかし、手術などの侵襲のある時には、
血液は凝固し易くなり、酸化ストレスも高まるので、
それだけ心筋梗塞なども起こり易くなります。
従って、
むしろ手術や処置などの際には、
アスピリンのような薬は継続した方が良いのではないか、
という意見が最近は強くなっています。
また、特にワルファリンで言われていることですが、
一時的な中断により、
その時期の血栓症のリスクが、
急上昇する、
というような知見もあり、
そうした点からも、
極力一旦継続した抗血小板剤や抗凝固剤は、
安易に中断しない、
というのが近年のコンセンサスになっています。

ただ、抜歯や胃カメラの時の生検でしたら、
慎重に止血を確認すれば問題はないと思いますが、
心臓バイパス手術のような大きな手術の場合には、
血が止まり難いことが患者さんの予後に本当に影響を与えないのか、
出血の合併症が増えるのではないか、
という危惧が簡単には拭い去れません。

そこで今回の研究では、
世界5か国の19の専門施設(オーストラリアが中心です)において、
心臓の冠動脈の手術を行なう予定の2100人を登録し、
くじびきで2群に分けると、
一方は術前1から2時間前にアスピリン100ミリグラムを使用し、
他方は偽薬を使用して、
術後30日間の予後を比較しています。
(トラネキサム酸の効果も同時に検証されていますが、
今回の論文ではデータは開示されていません)

アスピリンを登録の時点で継続していた患者さんでは、
4日前にはその使用を一旦中止しています。
中止したアスピリンは、
概ね術後24時間以内には再開されています。
ワルファリンやクロピドグレルを使用していた患者さんでは、
手術の7日前には一旦中止されています。
それ以外の抗凝固剤や抗血小板剤については、
主治医の判断にその中止の有無は任されています。

その結果…

アスピリンを使用してもしなくても、
術後30日の予後には有意な差はありませんでした。
術中術後の出血系の合併症のリスクには差はなく、
その一方で術中術後の血栓症の発症や死亡のリスクにも、
有意な差は認められませんでした。

今回の結果は悩ましいもので、
手術の直前にアスピリンを使用しても、
使用しなくても、
その後の急性期の経過には、
あまり影響はなかった、というデータになっています。

ただ、今回の研究では、
薬の管理の多くは主治医の判断に委ねられていて、
実際にはアスピリン以外の抗血小板剤や抗凝固剤を使用している患者さんが、
比率的に高かったので、
アスピリンの術前中断の影響は、
相対的に低くなってしまった可能性があります。

これまでのデータの蓄積から考えれば、
基本的にはアスピリンの中止はせずに、
心臓手術は行った方が、
患者さんの予後に良い影響を与えるか、
少なくとも悪い影響はない可能性が高い、
と考えて頂くのが、
現状では良いように思います。

ただ、侵襲の高い手術に関しては、
患者さんの状態により、
どちらのリスクを高く見積もるのかについては、
専門医の高度な判断が必要になることは確かで、
一般論として決めることは、
適切ではないような気もします。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

リードレスペースメーカの短期安全性について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
リードレスペースメーカの論文.jpg
先月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
リードのないペースメーカの短期の安全性についての論文です。

洞不全症候群と言って、
心臓のリズムを作る機能が低下し、
脈がとても遅くなって、
時には3秒間を超えて停止をし、
めまいなどの症状が起こることがあります。

こうした病気が確認されれば、
心臓の中にペースメーカーという医療器具を植え込みします。

僕も大学病院で循環器の診療をしていた時に、
10例程度のペースメーカーの植え込みを行ないました。

心臓の中に…
という表現をしましたが、
使用されるペースメーカーには、
大きめの金属製のライターのような本体があって、
そこから1本もしくは複数本のリードが伸び、
それが心臓の中に挿入され、
心臓の内腔に、
押し付けるようにして固定されます。

この本体は、
通常患者さんの左の鎖骨の下の、
皮膚を切り裂いてポケットを作り、
そこに埋め込むのが一般的です。

手技としては、
まず皮膚を切開してポケットを作り、
それから鎖骨下静脈を穿刺して管を入れ、
その管に沿わせてリードという、
太目の針金のような電極を心臓の中に挿入します。

挿入したら、
リードを外部の計測器に繋いで、
固定する位置を決め、
問題がなければリードを押し付けるようにして固定して、
そのもう一方を本体に繋げてから、
本体をポケットの中に入れて、
皮膚の傷を閉じます。

この方法は、
慣れればそう難しいものではありません。

合併症としては、
ポケットの部分に血の塊が出来たり、
ポケットの周辺などに感染を起こしたり、
鎖骨下穿刺の時に、
肺を傷付けて気胸になったりする、
ということが主なものです。

ただ、個人的にはそうした経験は1例もありませんでした。
確かに患者さんが抗凝固剤など、
血が止まり難くなるような薬を使用していると、
血腫は出来易いと思いますし、
感染を起こし易いような病気があると、
敗血症などのリスクは高くなると思いますが、
こうしたことが非常に起こり易い、
というまでのことはないと思います。

鎖骨下穿刺については、
ペースメーカー挿入の場合、
皮膚を切開した後に、
皮下から穿刺するので、
そのリスクはそれほど高いものではないと思います。

むしろ、
固定したリードの位置が動いていまったり、
適切な電圧が出なくなることの方が問題で、
装置の不具合で再度傷を開き、
リードを再挿入した、
というようなケースはありました。

さて、ペースメーカーの本体は、
結構ゴツゴツしたもので、
特に痩せている方の場合には、
外見的にもかなり気になるケースがあります。
また、挿入している側の腕を大きく上げると、
リードが引っ張られるというような、
生活上の不都合もあります。

そんな訳で、
リードのないタイプのペースメーカーが、
最近開発され治験に入っています。

こちらをご覧下さい。
リードレスペースメーカの図.jpg
これが上記の論文で使用されている、
リードのないペースメーカーです。

現状で2つの商品が実用化されていますが、
その機能には基本的には大きな違いはないようです。

ペースメーカーの本体は、
小さな乾電池のような器具で、
これを心臓カテーテル検査と同様に、
大腿静脈を穿刺してガイドとなるカテーテルを挿入し、
それに沿わせて心臓の中に押し込み固定するのです。

この小さな器具が、
電源とリードの両方の役割を兼ねている訳です。

今回の文献では、
このリードレスペースメーカの植え込みを行なった、
多施設の725例の患者さんの、
植え込み時の合併症などの安全性や植え込みの成功率を、
従来のリードのあるペースメーカーのそれと比較し、
術後半年の経過を追えた297例では、
半年後に問題なくペーシングが行われているかどうかを、
確認しています。

その結果、
植え込み自体は99.2%で成功し、
安全性の指標も達成していました。
植え込み半年後においても、
データが解析可能であった事例の98.3%で、
問題なく機能していることが確認されました。
合併症は25例で28件の発生があり、
そのうちの11例は心外傷で、
穿孔や心嚢水の貯留が認められた、
と記載にあります。

トータルな結果としては、
術後半年の時点で、
リードレスペースメーカの安全性にも有効性にも、
大きな問題はない、というものになっています。

これとは別の会社の製品ですが、
リードレスペースメーカは日本でも、
臨床試験が実施されていて、
近い将来通常の保険診療として行われると思います。

現時点でリードレスペースメーカを、
どう評価するのが妥当でしょうか?

まず、このペースメーカーの適応についてですが、
リードが1本で右室のみを刺激するようなぺースメーカーの代用にしか、
現状ではならないので、
その意味で適応はかなり限定されます。

生理的に近い刺激をするには、
右房も刺激して、
2本でシンクロさせる必要があるのですが、
そうした方法は現状では無理なのです。

ポケットの血腫や感染、
鎖骨下穿刺による肺気胸などの合併症が、
なくなることがメリットとして強調されているのですが、
手技上そうした合併症がないことは当たり前で、
その代わり心外傷は11例報告されていますから、
必ずしもリードレスペースメーカの方が、
リスクが低いとは言い切れません。

また、
内臓されているバッテリーの寿命は、
10年以上はあるとされていますが、
それが事実であるかどうかは、
まだ明らかではありません。
寿命が切れた時点での交換は、
理屈の上では可能ですが、
従来のリードのあるペースメーカーの場合、
リードには触れずに本体のみを取り換えれば良いのですが、
リードレスでは本体を心内腔から引きはがして交換する必要があり、
交換時のバックアップの方法を含めて、
まだ議論の余地を残しているような気がします。

当面の適応としては、
高齢者の洞不全症候群のケースは、
身体への負担は小さいに越したことはありませんし、
良い適応なのではないかと思います。

若い方への使用については、
現時点では慎重に考えた方が良いのではないでしょうか。
(敢くまで私見です)

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

健康肥満の慢性腎臓病リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
健康肥満と腎臓病.jpg
今月のAnnals of Internal Medicine誌に掲載された、
高血圧や糖尿病のない肥満でも、
慢性腎臓病のリスクになるかどうかを検証した論文です。

慢性腎臓病というのは、
腎臓の機能が病的に低下した状態のことですが、
心筋梗塞などの心血管疾患とも大きな関連を持っていて、
その患者さんの予後に大きな影響を与える病態の1つです。

進行すれば腎不全となり、
生命の維持のためには透析が必要になります。

慢性腎臓病の発症リスクとして、
高血圧や高コレステロール血症、
糖尿病、喫煙などと共に、
指摘されているのが肥満です。

ただ、肥満は所謂メタボというような、
内臓脂肪の増加による様々な病態と結び付いています。
高インスリン血症やインスリン抵抗性があり、
糖尿病などの耐糖能異常や、
高血圧、脂質異常症を伴います。
従って、肥満が慢性腎臓病のリスクであることは事実としても、
それがメタボのような代謝異常によるものなのか、
それとも、そうしたこととは別個に、
肥満自体が慢性腎臓病のリスクであるのか、
という点はこれまで明確ではありませんでした。

そこで今回の研究では、
韓国において、
メタボリックシンドロームの要素がなく、
登録の時点で慢性腎臓病や蛋白尿のない、
健康成人62249名に平均6年間の経過観察を行ない、
肥満の有無と慢性腎臓病との関連を検証しています。

対象者は18歳以上で、
空腹時血糖は100mg/dL未満、
血圧は130/85未満、
中性脂肪は150mg/dL未満、
インスリン抵抗性の指標も正常であること、
などが条件となっています。

体格はBMIという指標が、
18.5未満がるい痩、
18.5以上22.9までが正常体重、
23.0から24.9までが過体重、
25以上が肥満と定義しています。

その結果…

正常体重と比較して、
5年間累積の慢性腎臓病の新規発症率は、
るい痩では1000人当たり4.0件の減少、
過体重では3.5件の増加、
そして肥満では6.7件の増加という結果になりました。

つまり、
特に高インスリン血症のような代謝異常がなくても、
肥満や過体重自体が、
慢性腎臓病のリスクを増加させるのではないか、
という結果です。

このデータのみで、
この結果が事実であるとは言えませんが、
健康肥満も慢性腎臓病のリスクの1つであると考えて、
特に中年以降に体重が増加したような場合には、
無理のない体重管理をすることは、
健康全般に有意義であると、
考えても良いように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

MONO「裸に勾玉」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

本日2本目の記事は演劇です。

今日はこちら。
裸に勾玉.jpg
京都をホームグラウンドに活動をされている、
土田英正さん主催の劇団MONOの、
新作公演が今三軒茶屋のシアタートラムで上演されています。

この劇団はあまり観ていません。
前回は「赤い薬」と言う作品でしたから、
もう随分前のことになります。

非常に発想の面白い会話劇で、
ウェルメイドで丁寧な舞台作りも好感が持てます。
ただ、設定が非常に面白い割に、
展開があまりなく、
後半は退屈することが多かった、
というのが正直なところです。

せっかく物凄く魅力的な設定であり趣向なのですから、
もう少しワクワクするような展開や、
意外性のある着地はなかったのでしょうか?

以下ネタバレを含む感想です。

舞台は弥生時代で、
高床式倉庫や竪穴式住居が建っています。
狗奴国(?)の南の外れが舞台で、
邪馬台国との戦争前夜、
という設定のようです。

国という枠組みからはドロップアウトした疑似家族がいて、
そこに現在からタイムスリップした、
サラリーマンの男がやって来ます。
実はその国の長の妻は、
その男の妻で、
彼の同僚を含めて3人が、
半年前に同時にタイムスリップし、
サラリーマンの男以外の2人は、
うまくその世界にも適応しているようです。

疑似家族はサラリーマンの男も受け入れるのですが、
その中でも仲たがいがあり、
国から排除されようとするのですが、
ある者は犠牲になり、
ある者は邪馬台国の方へと落ち延びて行きます…
と、そこで舞台は現代に戻り、
弥生時代と思ったのは単なる遺跡のセットで、
そのナレーションが流れる中で、
物語は終わります。

これは何と言っても、
弥生時代の疑似家族の生活のスケッチが楽しいのです。

偽の弥生語のようなものを作り、
それで会話が展開される、
という趣向が凝っています。

途中から現代人が入って来るので、
2種類の言葉が対置され、
後半では融合してゆくという辺りも、
知的な魅力に溢れています。

こんな設定はこれまでになかったと思いますし、
ユニークでかつコミカルで、
客席には笑いが絶えません。

つかみとしては、
この前半は抜群でした。

ただ、話の枠組みがしっかりと見えて来ると、
単にその場所を追われて、
これから何処へ逃げてゆこう、
というだけの展開になるので、
後半はかなり退屈を感じました。

弥生時代にも現代にも、
決められた集団に縛られたくない、
という人間はいて、
集団から排除される人間もいて、
しかし、ドロップアウトした人間を、
受け入れる社会であって欲しい、
ということなのだと思いますが、
それだけで2時間をもたせるのは、
かなり苦しいというのが正直なところです。

何人もの人間がタイムスリップして、
その時代に適合して生きる、
という「信長協奏曲」のような話なのですが、
戦国時代であれば、
激動する歴史的な事件が、
どのように関わり、どのように変容するのか、
という興味が湧きますが、
弥生時代ではそうしたストーリーは描けません。

「戦争の予兆」という当たりに、
現代と通底するものを出したかったのかも知れませんが、
その試みも尻切れトンボに終わっています。

この作品におけるタイムスリップの意味は、
何処にあったのでしょうか?

ラストは主人公のただの妄想であったかのようにも、
思えるような処理がされているので、
猶更に疑問に感じます。

このままのストーリーであれば、
むしろ徹頭徹尾弥生時代の話にした方が、
すっきりした作劇であったように思いました。

キャストは過不足のない好演で、
舞台セットもしっかりと出来ていて、
奇を衒わない演出も良いと思います。

それだけに、
もう少しワクワクするような展開や、
物語上の仕掛けが欲しかった、
という思いが残ってしまうのです。

これからも頑張って下さい。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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