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認知症は減っている?(アメリカの大規模疫学データの解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
認知症の30年の発症率.jpg
今月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
アメリカの大規模疫学データの解析による、
この30年間の認知症の発症頻度の推移についての論文です。

認知症は言うまでもなく、
高齢化社会における大きな問題です。

認知症は病気ではありますが、
老化の1つの形態であると言うことも出来るので、
高齢化が進むにつれ、
患者さんの数も増加することが想定されます。

ところが…

実は最近認知症は減っている、
という予想外のデータが、
アメリカでは報告されています。

これは、総数が減っている、という意味ではなく、
特定の年齢層の認知症の発症率が、
年を追って減少傾向にある、
という意味です。

しかし、研究によっては、
その反対の結果も報告されており、
この問題については、
明確な結論が出ていない状態でした。

今回の研究は、
アメリカで最も有名な疫学研究である、
フラミンガム心臓研究の対象者に対して、
認知症に対するサーベイランスを行ない、
年代毎の認知症の発症率を比較検証しています。

その結果…

年齢性別で補正した、
各年代の認知症発症率は、
1970年代後半から1980年代前半には、
100人5年当たり3.6人であったのに対し、
1980年代後半から1990年代前半には、
100人5年当たり2.8人、
1990年代後半から2000年代前半には、
100人5年当たり2.2人、
2000年代後半から2010年代前半には、
100人5年当たり2.0人と、
年代が下る毎に認知症の発症率は低下していました。

1970年代後半から1980年代前半と比較すると、
2000年代後半から2010年前半の認知症発症率は、
実に44%低下していることになります。

この発症リスクの低下は、
学歴が高校卒業以上という、
比較的学歴が高い群に限って認められていました。

しかし、APOEのε4遺伝子の有無や、
他の心血管疾患のリスクなどで、
その低下は部分的には説明可能でしたが、
全ては説明することは出来ませんでした。

つまり、
少なくともアメリカにおいては、
この30年で認知症の発症率は低下していて、
その原因は現時点では不明ですが、
学歴の高いグループで低下率が高いという事実は、
生活習慣病の改善のための公衆衛生的な取り組みが、
一定の効果を認知症予防に対しても、
挙げている可能性を示唆している、
という結論に、上記文献はなっています。

本当にそうでしょうか?

正直疑問に感じるところがあるのですが、
このような傾向が日本にもあるかの検証を含めて、
データの蓄積とその解釈の進展に期待をしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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