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TRASHMASTERS「「猥リ現(みだりうつつ」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

色々とやることが溜まっているので、
少しでも今日進めたいと思います。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
TRASHMASTERS.jpg
社会派で骨太の芝居を上演し続けている、
TRASHMASTERSが、
新作公演を今赤坂のレッドシアターで上演しています。

前回の「そぞろの民」が、
大島渚映画のような力作だったので、
今回も楽しみにして出掛けたのですが、
2日目でまだ練れていない、
ということもあったと思うのですが、
いつもの知的好奇心をくすぐるようなところがなく、
後半のディスカッションも内容が空疎で、
ラストは何処かのデモの呼び掛けみたいになってしまうので、
その主張はともかくとして、
演劇としての完成度は、
あまり高いものではなかったことが残念でした。

ただ、今までになくコミカルなパートがあり、
優柔不断な大学教授であるとか、
振られて逆ギレする塾講師のようなキャラが、
なかなか面白く描かれていて、
普通に笑いが客席から、
自然に発生していたのが新鮮でした。
大学教授はその存在にひとひねりがあるので、
人格は分裂してしまうのが、
劇作としては少し残念ですが、
塾講師に関しては、
意識の流れが巧みに持続して、
ある種の人間的成長が、
舞台上で自然に描かれていることに、
作者の筆の成長を感じる思いがしました。

今回のお芝居は、
むしろコメディにしてしまった方が、
より面白く完成度の高い作品になったように、
個人的には思いました。
勿論ラストの緊迫や不気味な感じに、
衝撃を覚える観客もいると思いますし、
ラストのアジテーションに、
共感する観客もいると思うのですが、
本当に普通に生きている人達が、
ちょっとした事件をきっかけに考えを深め、
議論を深めた上で、
ある決断をする、というような、
それだけの芝居にした方が、
作品の核にあるものは、
より輝きを放ったのではないでしょうか?

勿論今でなければ成立しない演劇というものはあり、
前作の「そぞろの民」はまさにそうした作品であったと思うのですが、
今回の作品の、
少なくとも前半で描かれている世界は、
普遍的で重要なものだと思うので、
それが今のみのアジテーションのようなもので、
ラストには単色に染められてしまうのが残念に思うのです。

端的に言えば、
主役として描かれている弁護士の川崎初夏さんのキャラが、
常に正論を主張し、常に正義である、
という感じに観ている方が引いてしまうのです。
これまでの中津留さんの劇作は、
そうではなかったと思うのですが、
今回については、
彼女が常に正義であり、
その主張も人格も全く揺るがないので、
劇中で戦わされる多くの議論が、
全て空疎で不毛なものに感じられてしまうのです。

矢張り主人公によりゆらぎがあり、
悩みや苦しみや考えの変化がないと、
演劇としてはまずいのではないでしょうか?

役者は、
久しぶりに龍坐さんが登場したのが嬉しく、
その得体の知れない大学教授は、
彼の面目躍如の芝居だったと思います。
ただ、前述のように、
ラストには別人のようになるのが少し残念です。
高橋洋介さんの毎回異なる丹念な役作りも、
いつもながら惚れ惚れしますし、
倉貫さんの直情な気合は、
最近のTRASHMASTERSに、
なくてはならないものになった、
という気がします。
塾講師の長谷川景さんも素敵でした。

すいません。
今回はちょっと僕には乗れませんでした。

でも、これからも頑張って下さい。
陰ながら期待しています。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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