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フェリーニ「カサノバ」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は祝日でクリニックは休診です。
昼間はのんびりして、
夜は根本宗子さんのお芝居を観に、
新宿まで出掛ける予定です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
カサノバ.jpg
1976年に製作されたイタリア映画の巨匠、
フェデリコ・フェリーニ監督の「カサノバ」です。
これは海外版のソフトのパッケージです。

フェリーニは幻想的でセクシャルでグロテスクで豊穣なイメージを、
巨大なセットで仰々しく描く一方、
ノスタルジックな監督の幼少期の原風景を、
こちらは繊細かつ叙情的に綴り、
また実質的処女作の「道」から続く、
芸人達の生活を哀感を持って描く手法も味があります。

イタリア映画は戦後すぐのネオ・リアリズムの諸作
(たとえはデ・シーカの「自転車泥棒」)から、
1960年代には不条理映画として、
時代を先取りしたアントニオーニや、
ヨーロッパ的文化の豊穣さを感じさせる、
藝術的なモニュメントのようなヴィスコンティなど、
多くの監督の名品を輩出して、
一時は「高級映画」の代表としてブランド的イメージがありました。

その一角を間違いなく担っていたのが、
フェデリコ・フェリーニ監督で、
封切りで観たのは、
この「カサノバ」と、
「女の都」、「そして船は行く」、「ジンジャーとフレッド」など、
数作品だけでしたが、
名画座では特集上映がしばしば行われ、
「サテリコン」、「フェリーニのアマルコルド」、
「フェリーニのローマ」、「魂のジュリエッタ」など、
多くの作品を幸いなことにスクリーンでフィルムで観ることが出来ました。

「甘い生活」と「道」は、
京橋のフィルムセンターで「映画史上の名作」で観ました。

一番多く映画を観ていた、
高校時代のことです。

フェリーニの作品は当時はその幻想性が僕の好みで、
多くの作品では幻想的な巨大セットの撮影画面と、
ロケ撮影のリアルな場面とが混在していて、
それがトータルにはギクシャクした感じに思えて、
幻想場面は大満足であったものの、
映画全体としてはいつも不満が少し残りました。

「道」はリアリズムに徹して素晴らしかったのですが、
フェリーニの本領発揮とは言えない部分もありました。
カラー撮影となった「魂のジュリエッタ」以降では、
この「カサノバ」が、
全ての場面をセットで描き、
非常に退行的で閉鎖的ではありますが、
巻頭からラストまで一貫した幻想世界を展開して、
公開当時にスクリーンで観た時には、
「これぞフェリーニ」と、
膝を打つような思いがありました。

内容は中世の色事師カサノバの一代記を、
性豪のホラ吹き絵巻として、
幻想的かつグロテスクに、
また一抹の哀感を持って描いたもので、
フェリーニの脳内世界をそのまま見させられているような怪作です。

公開時に観て特に印象的だったのは、
巨大な鯨に呑まれる夢を見る場面と、
自動人形に恋をする場面です。

音楽は勿論ニーノ・ロータで、
この作品では擬似オペラまで作曲しています。
こがまた魅力的なのです。

ただ、一時期偏愛していたこの「カサノバ」ですが、
本当に久しぶりにWowowで再見すると、
性描写がややステレオタイプで凡庸に感じました。

その一方でかつてはダメだと思っていた、
「フェリーニのアマルコルド」や「フェリーニのローマ」が、
意外に良かったのだと再認識しました。

映画というのは、
観る時期によってもその印象は変わるようです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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