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禁煙成功率の方法による比較(2016年アメリカの知見) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
禁煙治療法の効果.jpg
今年のJAMA誌に掲載された、
禁煙法の効果を比較した論文です。

日本で主に行われている薬剤を用いる禁煙法は、
医療機関で処方される飲み薬のチャンピックス(バレニクリン)と、
市販されているニコチンガム、
そしてニコチンの貼り薬の3種類です。

アメリカでは、
チャンピックスは日本と同じ使用法で使われ、
それに加えてニコチンのドロップと貼り薬を併用する、
ニコチン補充併用療法が広く行われていると、
上記文献の記載にはあります。
ニコチンのドロップとガムは基本的に同一の使い方をするもので、
ニコチンのパッチを貼りながら、
それでも辛い時には適宜ドロップを使用する、
というのが併用療法で、
ニコチンのガムや貼り薬の単独治療よりも、
有効性が高いとされています。

しかし、この治療法を直接比較した場合の、
長期の有効性については、
あまり精度の高いデータが存在しませんでした。

そこで今回の研究では、
1086名の喫煙者に、
チャンピックス単独とニコチンの貼り薬単独、
そしてニコチンの貼り薬とニコチンドロップの併用療法という、
3種類の禁煙法をくじ引きで割り付け、
その半年後(26週間)までの効果を検証しています。
当初の比較は26週間ですが、
実際には1年後(52週)までの経過観察が施行されています。

その結果…

26週の時点で禁煙を継続していたのは、
ニコチンパッチ単独で22.8%、
チャンピックス単独で23.6%、
ニコチンパッチとドロップの併用で26.8%、
52週の時点でも禁煙を継続していたのは、
ニコチンパッチ単独で20.8%、
チャンピックス単独で19.1%、
ニコチンパッチとドロップの併用で20.1%と、
長期の禁煙に対する効果は、
この3種類の禁煙法で有意な差は認められませんでした。

論文の結論としては、
主にチャンピックスによる禁煙治療の効果に、
懐疑を呈するものとなっています。

今回の結果はかなり禁煙の達成率が低く、
実際に禁煙治療を行っている医療者の端くれとしては、
あまりに低いように思います。
治療が終了する12週の時点で、
既に3割5分程度しか禁煙に成功していないのですが、
日本の診療において、
禁煙の希望のある方を対象とした場合には、
概ね6から7割程度の成功率はあるのが、
妥当な線ではないかと思うので、
かなりの乖離があるように感じます。
「この人達、本当に禁煙する気があったの?」
と問い掛けたいくらいの気分ですが、
実態はどのような方を対象としていたのか、
よく分かりません。

いずれにしても、
多くの禁煙法がありながら、
未だ決定的な方法がないこともまた事実で、
現状は個々の禁煙法のメリットとデメリットを見極めつつ、
その方に最も適切な方法を選択するしかないのかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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