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ニトログリセリン製剤の心不全への効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ニトロールの心不全への効果.jpg
今月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
心機能がある程度保たれた心不全の患者さんに対する、
ニトロの製剤の効果を再検証した論文です。

ニトログリセリンは心臓を栄養する冠状動脈を拡張する作用を持ち、
このため狭心症の発作などの改善に効果があります。

また、抹消の動脈の拡張作用も併せ持っていることから、
トータルに心臓への負担を軽減するので、
心臓の働きが低下した心不全において、
運動への耐用能を高める上で有効だとされています。

しかし、躯出率と呼ばれる心臓の働きの指標が、
それほど低下していない多くの心不全の患者において、
ニトログリセリンに本当に有用性があるのか、
という点については、
あまり裏付けとなるデータが存在していませんでした。

ニトログリセリンの心不全への有効性を確認した臨床試験は、
心機能が高度に低下した患者を、
その主な対象としていたからです。

そこで今回の臨床研究においては、
アメリカの複数施設において、
50歳以上の心不全の患者で、
治療により心臓の働きの躯出率という指標が、
50%以上に保たれている110名を登録し、
患者にも主治医にも分からないように、
くじ引きで2つのグループに分けると、
一方は一硝酸イソソルビドという、
持続性のニトログリセリンを、
1日30ミリグラムから開始して120ミリグラムまで増量し、
もう一方は偽薬を使用して、
運動耐用能のチェックを施行しています。

6週間の経過観察を行なった後、
同じ患者さんで偽薬とイソソルビドを入れ替えて、
再度6週間の観察を行なう、という手法が取られています。

その結果…

運動耐用能や心不全の状態は、
両群に違いはなく、
生活活動量についてみると、
偽薬群の方が、
イソソルビド群より優っている、
という結果が得られました。

つまり、ニトログリセリン製剤を、
心機能の安定している心不全の患者さんに使用することは、
有用性がないばかりか、
むしろ有害である可能性が高い、
という結果です。

ニトログリセリン製剤は、
狭心症においても、
発作時はともかく、
漫然とした長期使用は、
高率に耐性化を招くという知見もあり、
その使用はより限定されたものと、
考えた方が良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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