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甲状腺腫瘍の悪性度と年齢との関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療には出掛ける予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
甲状腺腫瘍と年齢との関連.jpg
今月のJ Clin Endocrinol Metab誌に掲載された、
甲状腺腫瘍の悪性度と年齢との関連についての論文です。

甲状腺の腫瘍の性質に与える年齢の影響については、
報告によりその結果は様々で、
必ずしも統一された見解が得られていません。

今回のデータはアメリカの単独の施設によるものですが、
20から95歳の成人の1センチ以上の大きさの甲状腺腫瘍の事例を、
6391例(腫瘍は12115個)蓄積し、
年齢毎の傾向を比較検証しています。

基本的に1センチ以上のしこりについては、
しこりに針を刺して細胞を調べる、
穿刺吸引細胞診が全例で施行されています。

その結果…

甲状腺腫瘍の数は、
年齢と共に増加する傾向を示しました。
20から30歳のグループでは、
平均1.5個であったものが、
70歳を超えるグループでは、
平均2.2個となっていて、
1年で1.6%複数腫瘍のリスクは増加していました。

このしこりが癌であった頻度は、
20から30歳のグループでは22.9%であったのに対して、
70歳を超えるグループでは12.6%で、
こちらは年齢を重ねる毎に低下する傾向を示し、
1歳当たり2.2%癌の相対リスクは低下していました。

その一方でより悪性度の高い、
未分化癌や低分化の癌、転移をするタイプの癌や甲状腺髄様癌の比率は、
高齢者でより高い傾向にありました。

こちらをご覧下さい。
甲状腺腫瘍と年齢の図.jpg
結果を図示したものですが、
上のグラフは年齢とそのしこりが癌である頻度を示し、
下のグラフは癌と判明した事例のうち、
悪性度の高い癌の頻度を示しています。

つまり、
20歳以上の成人に限って検討すると、
年齢が若いほど1センチを超えるしこりが、
癌である可能性は高いのですが、
その癌が悪性度の高いものである可能性は、
高齢者の方が高い、
ということになります。

何故こうした傾向があるのかは、
現時点では不明ですが、
臨床的には超音波検査で1センチを超えるしこりが見付かった場合、
年齢が若ければ積極的に細胞診を行なった方が良く、
高齢者では超音波での悪性所見を検討の上で、
必要性の高い事例に細胞診を行なうのが、
癌の早期発見という意味合いでは、
重要なことのように思われます。

また、甲状腺癌の予後が良いということは、
トータルに見れば事実ではあるけれど、
高齢者においては悪性度の高い癌の比率も増えるので、
必ずしもそうとは言い切れない、
という点にも注意が必要だと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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