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唐十郎「ジャガーの眼2008」(日本の30代版) [演劇]

こんにちは。
石原藤樹です。

今日は1日ヒーヒーしながら事務作業をしていて、
昼も夜も良く分からないような不穏な感じです。

それでもチケットを取っていたものですから、
午後はこちらに行って来ました。
ジャガーの眼.jpg
唐先生の旧作「ジャガーの眼」を、
木野花が演出し、
劇団の垣根を越えた、
気鋭の30代の役者さんのユニットでの上演が、
今下北沢の駅前劇場で本番を迎えています。

唐先生の「ジャガーの眼」は、
状況劇場時代に初演され、
唐組でも何度も再演がされた演目です。
再演の度に台本にも手が入れられていて、
今回のものは2008年に上演され「唐組熱狂集成」に収録された、
2008年の改訂版が採用されています。

狂言回し的な田口という役割を、
初演から長く唐先生自身が演じていたのですが、
このヴァージョンでは唐先生は「闇坂」という、
新たに書かれた役柄を演じています。

これはまあ、何と言うのでしょうか、
「あっ、初演のビデオを見てるな」
と分かるような、
唐演出をリスペクトしたような芝居もちょっとあり、
トータルにはもうちょっと小奇麗な、
やや素人っぽい演出がされています。

80年代の頃に渡辺えり子(当時)さんが、
劇団300でされていた芝居のような感じです。
彼女の当時のお芝居は、
唐先生の影響が顕著で、
それがちょっとポエジーで奥ゆかしい感じになっていたのです。

役者さんは非常に充実しているので、
お芝居自体は素人仕立てですが、
見応えはあります。
普通絶対キャスティングはされない、
平岩紙さんの唐芝居のヒロインが観られるだけでも、
とても贅沢な気分になりますし、
ヒロインでありながら、
その他大勢も何役もこなす怪演で楽しめます。
少路勇介さんのDr弁というのも凄いでしょ。
最後はちょっと息切れを感じましたが、
2幕の唐芝居をのままの怪演は、
とても楽しく観劇しました。

原作は3幕劇ですが、
今回の上演では幕間は取らず、
カットはしないで2時間の尺に収めています。

初演の音効は丁度公開されていた、
映画の「キリングフィールド」がガンガン掛かるのですが、
今回はそれは使用せず、
繰り返しの音効や、
個々のキャストのテーマ曲を、
ワーグナーのライトモチーフみたいに流す、
唐先生の音効はあまり使いません。
劇中歌は初演のものをそのまま使用し、
編曲は変えて、
ギターなどの生楽器も交えて歌っています。

小道具はオリジナルより可愛く出来ていて、
アングラ好きからすると、
ちょっと残念さはあるのですが、
それなりに上手く機能しています。

良い点から言うと、
戯曲のセリフを非常に大事にしていて、
唐先生自身の演出では、
独特の勢いの中で埋没されてしまう細部に、
意外に面白い部分があることが分かります。

役者は皆分をわきまえた快演です。
きちんとボイスコントロールのされた歌唱が、
なかなか新鮮です。

ただ、それなら面白かったかと言うと、
そこは微妙なところです。

この芝居を普通のお芝居のように演じると、
特に後半は動きが少なく、
キャストが揃って不毛で自分勝手な議論を続けているだけ、
というように見えます。

舞台に実際にはあまり動きがなく、
セリフも多くは観念的で交わりに乏しいものであるのを、
奇矯な登場人物の登場や、
人目を惹き付ける個性的な台詞廻しとアクション、
執拗で過剰な音効と照明、
時に人物以上に存在感を持つ舞台装置などで、
あれよあれよと見せ切ってしまうのが、
唐先生の芝居のマジックです。

それは魅力のある反面、
もっと正当的な演出をすれば、
違った魅力があるのではないか、
という考えを抱かせるのですが、
実際にはそうした唐芝居の読み替えが、
上手く機能した事例を、
僕は殆ど知りません。

今回の舞台も、
前半はかなり上手くその辺をクリアしていましたが、
後半はかなり退屈で、
キャストが棒立ちで話をしているだけ、
というような印象になっていて、
ラストはテントのような屋台崩しは望むべくもなく、
みんなで舞台に出て来て歌を歌って終わり、
という脱力的なものになっていました。

これじゃガッカリです。

僕はこの芝居を6パターンくらいで観ていると思いますが、
矢張り状況劇場の初演が、
色々と欠点は合っても、
最もこの作品を光り輝くものにしていたと思いました。

唐先生の戯曲は、
唐先生の演出を含む1つの様式を、
離れたところでは成立し難いもののようです。

それでは今日はこのくらいで。

もうおやすみなさい。

石原がお送りしました。

吉田寺「丈六阿弥陀如来坐像」 [仏像]

こんにちは。
石原藤樹です。

六号通り診療所での診察も、
残すところ2日となりました。

まだやらないといけないことは多く、
プレッシャーもきつく、
やり切れるかどうか分かりません。
今は全身を神経のようにして、
やれることをやれるスピードでやるだけです。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
吉田寺.jpg
奈良の斑鳩町、
法隆寺にほど近い場所にある吉田寺(きちでんじ)の本尊、
丈六阿弥陀如来坐像のお姿です。

ちょっと知名度的には地味な存在なのですが、
ご覧のように、
極めて完成度の高いフォルムをしています。
平安時代の後期に造られたものだとされていますが、
本丈六と言って、
このままお立ちになると5メートルを超える、
座像でもお身体だけで2メートルを超える、
非常に大きな仏様ですが、
それでいて、
工芸品のような完成度を示しています。

特徴的な光背は江戸時代のもので、
そう思って見ると、
ちょっと詰めの甘い感じがあるのですが、
お身体とのマッチングはしっかりと出来ていて、
お身体の金箔が、
状態良く残っているのが良いのです。
当初からのものではないと思いますが、
江戸時代に塗り直したような金箔は、
もっと大雑把で下品な感じのものになるので、
そうではないと思います。

お顔にちょっと神秘的な感じがあります。
これも平安時代の末頃の所謂定朝様の規格品の仏様には、
ない特徴であるように思います。

この仏様は、
本堂に続く収蔵庫に安置されていて、
薄暗い中、
お堂の奥に仄かに金色に輝いているように見えます。

この神秘的な感じが非常に良くて、
金箔を貼られた仏像本来の姿を、
昔の人になったような気分で、
そのまま感じることが出来ます。

まさに陰翳礼讃の世界です。

大谷﨑が言われるように、
暗闇の中で仄かに光る金色ほど、
美しくも幽玄なものはなく、
確かに浄土というのは、
そうしたものではないかというようにも思えます。

今はほぼ失われたその感触が、
斑鳩の古寺にひっそりと残っていることが、
一段と味わい深く思われるのです。

拝観環境はまずまずなのですが、
僕が行った時には、
ご住職はいらっしゃらずに、
遠目に仏様を拝むことしか出来ませんでした。
ネットの情報などを見ると、
お近くで拝観させて頂くことも可能であったようなので、
その辺りは不公平に少し感じました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

何とか今日一日僕も走り続けることが出来ますように。

石原がお送りしました。

現時点で最良のピロリ菌除菌法はどれか? [医療のトピック]

こんにちは。
石原藤樹です。

朝から意見書など書いて、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ピロリ菌除菌のメタ解析.jpg
今年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
ピロリ菌の除菌法の効果と安全性を比較した、
システマティック・レビューとメタ解析の論文です。
中国の研究者によるもので、
これまでの類似の研究の中で、
最も緻密に検証されているように思います。

ピロリ菌は胃の中に生息する細菌で、
胃癌や胃潰瘍、萎縮性胃炎などの、
多くの胃の病気のリスクとなることが分かっています。

従って、ピロリ菌の感染が見付かった場合、
多くのケースでは除菌治療が勧められます。

ただ、問題なのは、
現時点で世界標準となるような、
第一選択の除菌法が存在しない、
ということです。

標準的な3剤併用療法という治療法があり、
これはプロトンポンプ阻害剤という胃薬に、
マクロライド系の抗生物質であるクラリスロマイシンと、
ペニシリン系抗生物質であるアモキシシリン、
もしくはメトロニダゾールを1週間併用するものです。

日本の保険診療においては、
アモキシシリンを使用した標準治療が第一選択で、
それで失敗した場合に、
二次除菌としてクラリスロマイシンの代わりにメトロニダゾールを併用する変法が、
1通りのみ認められています。

しかし、世界的にはこれ以外にも、
非常に多くの別個の除菌法のレシピが施行されています。

日本の治療の問題点は、
第一選択の治療法が、
クラリスロマイシンに対する耐性の多さなどから、
有効率が低いということが一番で、
二次除菌は有効率は高くなりますが、
それでも100%ではありません。

保険診療の範囲で可能なオプションとしては、
より強力なプロトンポンプ阻害剤であるとされる、
ボノプラザンフマル塩酸の使用により、
除菌率が格段に改善した、
とするデータが注目されていますが、
確かにそうしたことはありそうではあるのですが、
あまり世界的に注目されているような知見ではありません。

今回の研究においては、
古いものから新しいものまで、
古今東西の除菌法を比較検証し、
その有効性と安全性のバランスを、
ランキング形式にして報告しています。

その結果…

最も低評価であったのは、
所謂標準治療とされる日本の一次除菌のレシピでした。
何と言っても、
7割程度という低い除菌率が致命的です。

逆に優れた評価が得られたのは、
以下の5種類のレシピでした。

7日間の4剤併用療法、
これはプロトンポンプ阻害剤と、
アモキシシリン、クラリスロマイシン、5-ニトロミダゾールを、
全て同時に服用するものです。

それから標準治療のレシピに生菌製剤(プロバイオティクス)を加えて、
10から14日間継続する治療。

レボフロキサシンというニューキノロン系の抗生物質に、
もう1種類の抗生物質(たとえばアモキシシリン)と、
プロトンポンプ阻害剤を加えて、
10から14日間継続する治療。

最初の7日間は、
プロトンポンプ阻害剤とアモキシシリンを使用し、
その後でそこにクラリスロマイシンと5-ニトロミダゾールを上乗せする方法。

そして、
最初の5から7日間は、
プロトンポンプ阻害剤にアモキシシリンを併用し、
次の5から7日間は、
クラリスロマイシンを上乗せする、
という方法の5種類です。

同じ方法でも使用する日数を増やせば、
その効果は高まりますが、
その一方で副作用も強くなります。
そうした効果と安全性の両面から見て、
上記の5つの方法はバランスが取れていた、
ということのようです。

このように、
理想的な除菌法はまだ見付かっていない、
というのが現状ですが、
一次除菌に除菌率の低い方法を行なっているという日本の状況は、
あまり望ましいものとは思えず、
早期の方針の変更が、
望まれるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

静脈血栓塞栓症と癌との関連について [医療のトピック]

こんにちは。
石原藤樹です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
静脈血栓塞栓症の癌スクリーニング.jpg
今月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
原因不明の静脈血栓塞栓症における、
癌のスクリーニングの意義についての論文です。

足の静脈などに血の塊が詰まり、
炎症を起こして足の腫れや痛みが生じる、
静脈血栓塞栓症は、
手術で安静を続けたり、
長時間同じ姿勢を取っていたり、
遺伝性の血栓の出来易い体質など、
様々な原因で起こりますが、
それに加えて鑑別診断として、
見落としてはいけないと考えられているのが、
癌の初期の兆候としての静脈血栓塞栓症です。

ある疫学研究によると、
原因不明の静脈血栓塞栓症の患者さんの、
1割は1年以内に新たに癌が発見される、
という結果が得られています。

こうした知見から、
原因不明の静脈血栓塞栓症の患者さんに対しては、
特に症状がなくても、
積極的な癌の検査が行われることが通例です。

ただ、それでは一体どの程度の水準の検査を行なうのが、
最もそうした場合に適切であるか、
というような具体的な事項になると、
意外と明確なことが分かっていません。

2015年のコクランレビューでは、
この分野で信頼の置ける解析データは、
トータルで396名の患者データに過ぎませんでした。

そこで今回の研究ではカナダの複数施設において、
原因不明の静脈血栓塞栓症の患者、
トータル854名を登録し、
くじ引きで2つのグループに分けると、
一方は乳癌等の簡単なスクリーニングのみを行ない、
もう一方はそれに腹部から骨盤のCT検査を追加で行ないました。

そして、その後1年までに、
新たに癌が発見された比率を比較するのです。

簡単なスクリーニング群では、
50歳を超える女性では乳癌の触診と、
マンモグラフィのどちらかか両方、
18から70歳の女性では、
子宮頸癌の細胞診と直腸診、
40歳を超える男性では、
前立腺癌のPSA検査と、
直腸診のどちらかか両方、
というのが検査の内容となります。

そして、CT検査追加群では、
仮想大腸内視鏡を含んだ、
通常より詳細なCT検査が追加で施行されています。

胸部CTは検査に含まれていませんが、
実際には静脈血栓塞栓症では、
肺塞栓症の合併があるので、
多くの患者さんではそのために胸部CT検査が施行されています。

その結果…

血栓塞栓症が発症後1年以内に、
潜在的な癌が発見された頻度は、
簡単なスクリーニング群では、
431例中3.2%に当たる14例であったのに対して、
CT検査追加群では、
423例中4.5%に当たる19例で、
統計的に両群に差はありませんでした。

最初の検査で見逃されて、
その後1年までの間に発見された癌は、
簡単なスクリーニング群では4例(29%)であったのに対して、
詳細CT検査追加群では5例(26%)でこれも差はなく、
癌発見までに掛かった時間も、
両群で差を認めませんでした。

つまり、
以前の報告の10%より、
今回のデータでは潜在癌の比率はかなり少なく、
詳細なCT検査を行なっても、
それで新たな癌が早期に発見される可能性は低い、
という結果になりました。

ただ、今回の研究の対象者の平均年齢は54歳で、
以前のデータは60代という差があります。

当然年齢が若ければ、
それだけ癌の頻度は低くてもおかしくはなく、
より高齢者ではもっと別の結果が出る、
という可能性もあります。

従って、
今後年齢による違いなどを、
再検証する必要が残りますが、
従来言われていたほど、
原因不明の静脈血栓塞栓症に、
癌が潜んている可能性は高くはなく、
詳細なCTなどの検査までは必要のない可能性が高い、
と現時点では考えた方が良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

体格と腎機能低下との関連について [医療のトピック]

こんにちは。
石原藤樹です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
BMIと腎機能低下の関連.jpg
今年の7月のLancet Diabetes Endocrinol誌にウェブ掲載された、
体格と腎機能、そして年齢の関係を検証した論文です。

肥満は多くの病気の原因であると考えられています。

その代表は所謂メタボリックシンドロームで、
内臓脂肪が増加することにより、
インスリンの効きが悪くなるなどの変化が身体に起こり、
それが糖尿病や高血圧を増やし、
しいては心血管疾患のリスクを増加させて、
生命予後にも悪い影響を与えるとされています。

体格の指標として広く使用されているのが、
BMIという数値です。

これは、キログラム表記の体重を、
メートル表記の身長で2回割り算したもので、
日本では概ね22くらいが標準体重とされ、
25以上が肥満とされています。
18.5未満はやせ過ぎです。

こうした基準があるのは、
BMIが19から22くらいの間が、
最も病気になり難く、生命予後も良い、
という考えがあるからですが、
それを裏打ちするようなデータがある一方で、
特に糖尿病のなどの病気の患者さんでは、
BMIが25を超えるくらいの方が生命予後が良い、
とする報告も複数あって、
これを肥満パラドックスなどと呼ぶこともあります。

ただ、概ねBMIが35を超えるような肥満は、
明確に健康に悪影響を与えることは、
間違いはないようです。

さて、肥満で悪化するというデータのある病気の中に、
慢性腎臓病があります。
ただ、腎機能は年齢と大きな関連を持ち、
高齢者では腎機能低下のリスクは、
当然大きくなるのですが、
その点をしっかり検証したデータは、
これまでに意外に存在していなかったのです。

そこで今回の研究では、
アメリカの退役軍人の3376187名という、
膨大な健康データを活用して、
40歳未満から80歳以上までの、
様々な年齢層でのBMIの数値と、
その後の慢性腎臓病の発症との、
関連性を検証しています。
対象者は推計の糸球体濾過量が、
60mL/min/1.73㎡を超えていることが、
条件となっています。

推計糸球体濾過量が、
観察期間中に1年で5mL/min/1.73㎡を超えて低下することを、
腎機能の急速低下と定義すると、
そうした現象は全体の8.1%に当たる、
274764名で起こっていました。

この腎機能急速低下のリスクは、
BMIが25以上30未満の時に、
最も低くなっていました。

各年齢層毎に見てみると、
こうしたBMIとの関連は、
40歳以上の全ての年齢層区分で認められました。

平均観察期間6.8年における総死亡のリスクは、
全ての年齢層で同じ傾向を取り、
BMIが25から35くらいで最も低く、
35を超えた場合と、
特に20を切った場合に高くなっていました。

つまり、今回の年齢別のデータからは、
通常であれば少し太り気味と言える、
BMIが25から30の辺りが、
年齢に関わらず腎機能が低下し難く、
生命予後にも良い影響を与えるということになります。
リスクがあるのは、
BMIが20未満の痩せと、
35以上の高度肥満なのです。

このデータのみでBMIと腎機能との関連を、
断定的に語ることは慎むべきだと思いますが、
どうも少し肥満気味の方が、
健康上のメリットが大きい、
という点については、
少なくとも欧米のデータからは、
最近旗色が良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

男性ホルモンを正常化することで心筋梗塞は予防可能なのか?(ネガティブなデータ) [医療のトピック]

こんにちは。
石原藤樹です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
男性ホルモン補充のネガティブ論文.jpg
今年のJAMA誌に掲載された、
男性ホルモンの補充療法により、
動脈硬化が予防出来るかを検証した論文です。

昨日退役軍人の膨大なデータの解析によって、
男性ホルモンを補充して、
血液のテストステロン濃度を正常化することにより、
心血管疾患の予後や生命予後が改善する、
という論文をご紹介しました。

ただ、そうしたデータは実際にはあまり多くはありません。

確かに疫学データとしては、
テストステロン濃度が低いと、
糖尿病や心血管疾患のリスクは増加する、
というものが複数あります。

しかし、実際にテストステロン補充の治療を行なって、
行わない場合と比較したような臨床試験においては、
むしろ治療により心血管疾患が増加する、
というような、
ネガティブな結果が多いのです。

今回の研究はアメリカにおいて、
年齢が60歳以上で、
血液のテストステロンの数値が、
正常下限か異常低値である308名の男性を対象として、
対象者にも治療者にも分からないように、
くじ引きで2つのグループに分け、
一方はテストステロンの外用剤を使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
3年間の経過観察を行ないます。

そして、
超音波検査による頚動脈の内中膜複合体の厚みと、
CT検査による冠状動脈の石灰化の程度を、
動脈硬化進行度の指標として、
その治療による変化を検証しています。

テストステロンの数値は、
総テストステロン値が100から400ng/dL、
遊離テストステロン値が50pg/mL未満、
が登録の条件となっています。

3年という観察期間は、
心血管疾患そのものの発症を見るには短いのですが、
それ以外は非常に厳密な方法による研究です。

昨日の大雑把な疫学データとは、
雲泥の差です。

その結果…

頚動脈の所見もCTによる冠状動脈石灰化の所見も、
テストステロン値には相関せず、
治療群と偽薬群との間で、
所見の変化には有意な差は認められませんでした。

つまり、テストステロンの3年間の治療は、
動脈硬化のその間の進行に対して、
予防的には働いていない、
ということを示唆する結果です。

ただし…

昨日のデータはもっと観察期間が長く、
実際の心血管疾患や生命予後を検証しています。
頚動脈の所見や冠状動脈の石灰化は、
実際の病気と比較すれば、
かなり間接的な所見に過ぎないので、
それで有効ではないと言い切るのも、
また行き過ぎのように思えます。

つまり、こうした厳密な臨床試験を、
もっと長期間の観察期間で行なって、
対象者の病気の発症や生命予後に、
明確な差が出るような結果が得られて初めて、
この問題はクリアに解決するように思います。

男性ホルモンを正常化することで心筋梗塞は予防可能でしょうか?

まだ、その答えは正確には得られていないのです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

男性ホルモンを正常化することで心筋梗塞は予防可能なのか?(ポジティブなデータ) [医療のトピック]

こんにちは。
石原藤樹です。

朝からカルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
男性ホルモン補充のポジティブ論文.jpg
今年のEuropean Heart Journal誌に掲載された、
男性ホルモンの補充療法を行なうことにより、
高齢男性の心筋梗塞の発症が抑制され、
総死亡も抑制された、という結論の論文です。

加齢と共に減少する性ホルモンを、
外から補充しよう、という試みは、
アンチエイジングというような観点からは、
大変魅力的なもので、
男女を問わず実際には盛んに行われています。

しかし、
一定の効果が確認され、
どの程度のリスクがあるのかもほぼ明らかな、
女性の更年期の治療と比較すると、
男性更年期への男性ホルモンの補充は、
その効果も安全性も不明確なままである、
という問題があります。

日本では2007年にLOH症候群という名称の元に、
男性更年期を血液の遊離テストステロン濃度で診断し、
主に注射薬の男性ホルモン製剤で、
その治療を行なうというガイドラインを発表し、
一時的はテレビや週刊誌などでも、
画期的な治療として盛んに取り上げられました。

しかし、この日本の独自基準には多くの問題があり、
今ではあまりその通りに治療をされる先生は、
ガイドラインの作成に関わった先生の中でも、
あまりいらっしゃらないようです。

日本独自基準の遊離テストステロンの測定は、
多くの検査会社でもう施行されない検査になっています。

更には最近の欧米の研究の多くは、
テストステロンの補充療法には有効性があまりない、
という結果で、
それどころか心筋梗塞などのリスクを増加させる、
という報告すら複数あるほどです。

男性ホルモン補充療法の旗色は、
近年世界的にはかなり悪くなっているのです。

ただ、その一方でアメリカなどでは、
アンチエイジングの観点からそうした治療を受ける需要は根強くあり、
そのことが問題である、という指摘もあります。

実際に今月のthe New England Journal of Medicine誌の解説記事でも、
アメリカのFDAが増加する高齢者への男性ホルモンの使用を、
問題視しているという内容がありました。

ただ、専門家の間でも、
決して否定的な見解のみではなく、
男性ホルモンの補充により、
健康上のメリットがあるのではないか、
という見解も根強くあるのです。

上記文献の著者らは、
これまでの研究において、
実際にテストステロンの血液濃度が、
正常化したかどうかが、
殆ど確認されていない点に着目し、
アメリカの退役軍人の医療データを後から解析する手法で、
血液中の総テストステロン濃度が基準値に満たない集団において、
男性ホルモン補充療法によって、
その数値が正常化した場合と、
そうでない場合、
そして補充療法を行わなかった場合の3つのグループに分けて、
4から6年程度の観察期間中の、
総死亡や脳卒中と心筋梗塞の発症リスクの差を、
比較検証しています。

トータルな例数は8万人余りと非常に多いのですが、
患者さんを登録して、
治療効果を見たような試験ではなく、
条件に合う人を後から選択しただけ、
という点には注意が必要です。

その結果…

ホルモン療法未施行群と比較して、
ホルモン補充により総テストステロン濃度が正常化した群では、
総死亡のリスクが0.44倍(0.42から0.46)、
心筋梗塞のリスクが0.76倍(0.63から0.93)、
脳卒中のリスクが0.64倍(0.43から0.96)、
それぞれ有意に抑制されていました。

ホルモン療法を施行したが、
テストステロン濃度は正常化しなかった群との比較では、
総死亡のリスクが0.53倍(0.50から0.55)、
心筋梗塞のリスクが0.82倍(0.71から0.95)、
脳卒中のリスクが0.70倍(0.51から0.96)と、
矢張りテストステロン濃度が正常化することにより、
リスクは有意に抑制されました。

ホルモン療法を施行しなかった群と、
施行はしたけれどもテストステロン値が正常化しなかった群の間で、
心筋梗塞や脳卒中のリスクには差はありませんでした。

つまり、
今回のデータにおいては、
血液の男性ホルモンが低値の人が、
ホルモン療法によって確実にその数値を正常化すると、
そのことによって、
心血管疾患の予後と生命予後に、
良い影響が得られる可能性が示唆されています。

これまでのデータでは、
ホルモン療法の施行の有無のみが焦点になり、
実際にホルモン値が上昇した場合とそうでない場合の比較を、
しっかりとしたデータはあまりありませんでしたから、
一定の説得力を持つ結果ではあると思います。

ただ、前述のように、
このデータは後からグループ分けをしていて、
ホルモン値の正常と異常も、
きちんと統一的に解析されていないなど、
データの扱いにかなり荒い面があり、
このデータを単独で信用することは、
まだ早急ではないかと思われます。

丁度同時期にどちらかと言えばネガティブなデータが、
この問題で発表されましたので、
明日はその結果の方をご紹介したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

東大寺四月堂 [仏像]

こんにちは。
石原藤樹です。

今日は日曜日で診療所は休診です。でも、色々とやることは山積みで、
更新は夕方になってしまいました。

休みの日は趣味の話題です。

今日は比較的マイナーな仏像とお堂の話です。

それがこちら。
普賢菩薩四月堂.jpg


東大寺の四月堂に安置されている、
普賢菩薩像です。

普賢菩薩は文殊菩薩と対のような存在で、
お釈迦様の両脇侍となっていることが多いのですが、
普賢菩薩が独立して祀られることもあり、
その場合はこのように、
象の上に乗った姿で造形されます。

対になる文殊菩薩は獅子に乗った姿で造形され、
こちらは作例が多く残っているのですが、
象に乗った普賢菩薩の仏像は、
それほど古仏としては見ることが出来ません。
その中では岩船寺の普賢菩薩像が有名で、
次に語られることの多いのが、
この東大寺四月堂の仏様です。
ただ、時代は室町と少し下るので、
重要文化財などの指定は受けていません。

四月堂は三月堂のすぐそばにある小さなお堂です。
現在のお堂は江戸時代の再建になるもので、
当初は普賢菩薩が本尊であったという記録があるようです。
ただ、お堂のご本尊としては、
現在安置されているお像は小さいので、
別個の仏像であった可能性の方が高いと考えられています。

このお堂には明治の頃から、
長く平安時代の千手観音像が本尊として安置されていました。

特異なフォルムを持つ魅力的な仏様で、
僕は小学生の時に、
一度そのお姿をこのお堂で拝観しています。

それが諸般の事情があり、
東大寺ミュージアムという博物館に、
その千手観音が移動したために、
平成25年から平安時代の十一面観音像が、
代わりにご本尊としてお出ましになっています。

それほどの特徴はない、
水準作という感じの仏像ですが、
このこじんまりとしたお堂には、
非常にマッチしているように思います。

その隣には鎌倉時代の阿弥陀如来坐像がおられて、
この2つの仏様が重要文化財の指定を受けています。

そして、お堂の右奥に、
ひっそりとした感じで、
普賢菩薩を安置した厨子の戸が開いています。

岩船寺の普賢菩薩像は、
最近LEDライトが入ったので、
細部をそのまま見て取ることが可能ですが、
この四月堂ではそうしたものはないので、
目の前で拝んでも、
仏様は殆どシルエットのようにしか見えません。

それが、
お昼間の時間帯にゆっくりと目を凝らしていると、
少しずつ闇の中から仏様の美しいお顔が、
静かに浮かび上がって来るのです。

要するに陰翳礼讃の世界です。

こうしたところに、
些細な感動が潜んでいるのです。

四月堂は最近とても気に入っているお堂です。

重要文化財の仏像を2躯蔵しながら、
控え目で静かな感じでそこにあって、
補修を終えてそれほど経たないので、
極めて清潔で埃も殆ど積もっていません。
拝観料を取るようなこともなく、
いつも静かで、
それでいて係の方は常駐しているので、
御朱印をもらうことも出来ます。

仏像を拝観する環境としては、
結構理想的なのではないかしら、
といつも思うのです。

最後に御朱印をお見せします。
東大寺四月堂.jpg
それでは今日はこれだけです。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

映画「進撃の巨人」(前編ATTACK on TITAN) [映画]

こんにちは。
石原藤樹です。

朝からカルテの整理などして、
それから今PCに向かっています。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
進撃の巨人.jpg
映画版の「進撃の巨人」を、
たまたまタイミングが良かったので、
見て来ました。

原作の漫画は、
15巻目くらいまでは全て読んでいます。
トリッキーなミステリーと、
皆が信じていた共同体が、
意外な綻びから無残に崩壊するドラマは大好きなので、
最初の1から2巻目くらいは、
絵が下手過ぎて作品世界に入れず、
内容もおやおやという感じでしたが、
その後女型の巨人の正体が分かる辺りからは、
ふむふむという感じになり、
トリッキーなストーリーに魅了されて、
楽しく読み進むことが出来ました。

ただ、RPGの世界観に、
怪獣映画のエッセンスを散りばめた物語は、
実写映画化としては、
最初から失敗を約束された企画のようにも感じました。

つまり、
成功形態を思い描くことが出来ません。

それでも、これまでに僕は、
「宇宙からのメッセージ」や「惑星大戦争」、
「さよならジュピター」などの、
大失敗作のお数々を、
封切りの映画館で恥じらいながら見ているので、
今回もそんな恥ずかしい映画鑑賞の歴史に、
新たなページを刻むつもりで出掛けました。

見た感想は…

うーん、
思ったよりは酷くありませんでした。
平成ガメラシリーズの樋口真嗣監督なので、
東宝怪獣映画の「サンダ対ガイラ」の感じが出ています。
特撮は意外に良いです。

原作の1から2巻目のみが、
2時間の映画になっていて、
ラストの廃墟で巨人に取り囲まれる辺りなどは、
かなり忠実に原作を実写化しているのですが、
ストーリーの世界観は大分改変され、
キャストもその多くはオリジナルになっています。

この辺は無理のない改変だと感じました。

ただ、アジア人のキャストでこの物語、
というのは矢張り本質的な部分で無理があります。
仕方のないことですが、
オープンセットで表現された町の部分などはかなり貧相で、
映画というスケールには達していません。
巨人の造形も、
原作重視ですが、
もう少し工夫があってしかるべきと感じました。

最初のエレンが不発弾みたいな物の上で喋る場面が、
とても恥ずかしくなるような酷い感じで、
「さよならジュピター」を彷彿とさせました。
樋口監督は、
何故か昔からこういう耐えられないような場面を、
最初に入れますよね。

ただ、巨人出現以降は、
ストーリーはそれなりの速度で経過し、
怪獣映画として見る分には、
元は取れた、という気分になりました。

一部で酷評の石原さとみさんのハンジは、
作品世界には一番フィットしていた楽しい芝居と感じました。
石井輝男監督なら絶賛ではないでしょうか?
こういうバカバカしい芝居を、
もっと多くのキャストがやった方が、
こうした基本的に間抜けな映画には、
合っているのだと思うのです。
逆にエグザイル・ファミリーの映画にすれば、
作品の無国籍感が邪魔されずに、
結構面白かったかも知れません。
要するにまともでリアルな芝居は、
恥ずかしくなるだけなのです。

最後にチラと予告が流れた、
9月に公開予定の後編は、
何か「2001年宇宙の旅」めいた場面もあり、
映画の「ケイゾク」のような、
脱力大失敗の予感もしなくはありませんが、
原作と同じ展開には成り得ないので、
逆にどう物語を転がすつもりなのか、
少し興味は湧きます。
「猿の惑星」のように、
ラストで日本人のキャストでやった意味が、
明らかになったりするどんでん返しがあると、
面白いのですが…

そんな訳で9月の後編にも行くつもりですが、
ガックリと虚脱した力ない感じで、
映画館を後にするような気もします。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

リラグルチドの体重減少効果(糖尿病への使用) [医療のトピック]

こんにちは。
石原藤樹です。

朝からカルテの整理などして、
紹介状など書いて、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
リラグルチドの糖尿病体重減少効果.jpg
今月のJAMA誌に掲載された、
糖尿病の治療に用いる注射剤を、
糖尿病の患者さんの体重のコントロールに活用した、
臨床試験の論文です。

これは先月New England…誌に掲載された論文の、
姉妹篇的なものです。

New England…の論文は糖尿病のない、
肥満のみの患者さんを対象としているのに対して、
今回の論文は2型糖尿病の患者さんのみを対象として、
ほぼ同じデザインでの研究を行なっているのです。

結果もほぼ予想通りで、
糖尿病のあるなしに関わらず、
ほぼ同等の体重減少効果が認められています。

肥満は世界的な健康上の問題ですが、
薬物治療という観点では、
満足のいくような、
第一選択薬と言えるような薬剤は、
未だに見付かっていません。

その候補として今回臨床試験が行われたのが、
インクレチン関連薬と呼ばれるタイプの薬の一種で、
現在日本でも2型糖尿病の治療薬として使用されている、
リラグルチド(商品名ビクトーザ)という注射薬です。

この薬はGLP-1アナログと呼ばれ、
消化管ホルモンでインスリン分泌を、
食後のみに刺激する作用を持つ物質です。
インスリンの拮抗ホルモンであるグルカゴンを抑制する働きがあり、
また食事の胃からの排出時間を延ばし、
満腹が得やすくなるので、
当初より体重減少に結び付くことが期待されていました。

同じインクレチン関連薬には、
代謝酵素の阻害剤であるDPP4阻害剤がありますが、
効果が間接的でGLP-1のみを増加させる訳ではないので、
体重減少効果はあまり認められていません。

現状のビクトーザの日本での適応用量は、
最大で1日0.9㎎です。
海外での用量の上限はその倍の1.8㎎です。

しかし、その効果を見る臨床試験においては、
1日3.0㎎までの用量が使用され、
その範囲では用量依存的に体重の減少が、
確認されています。
これは主に食欲の減少によると考えられています。

現行の用量が低く抑えられているのは、
安全性の面での懸念もありますが、
主にはその血糖減少作用自体は、
0.9から1.8㎎くらいで頭打ちになっているからです。

しかし、この薬を肥満症に対して使用するとすれば、
より高用量で効果が期待出来る、
と言う可能性があるのです。

今回の臨床試験は、
この高用量のリラグルチドを、
2型糖尿病でBMIが27.0以上と肥満があり、
血糖コントロールがHbA1cで7.0から10.0%の患者さんに使用し、
56週間の経過観察を行なっているものです。

患者さんは18歳以上で、
3種類までの薬物治療は認められ、
世界9ヶ国の126の施設で登録されています。
総数は846名です。

この患者をくじ引きで2対1対1に分け、
423名の患者にはリラグルチドを1日3.0㎎毎日使用し、
211名には少ない用量の1.8mgを使用し、
残りの212名の患者には偽薬の注射を同じように施行して、
56週間経過後の、
体重の減少幅、及び血糖やインスリンなどの検査数値、
薬の安全性などを比較しています。

その結果…

登録の時点での患者の平均年齢は55歳で、
平均のBMIは37を超えています。
日本ではあまりお目に掛かれないような、
高度の肥満の方が多い、と言うことが分かります。

56週間の時点で、
偽薬の使用群では体重減少は平均2.2㎏であったのに対して、
リラグルチド低用量使用群では平均5.0㎏、
リラグルチド3.0mg群では平均6.4kg減少しており、
リラグルチドは有意に体重を減らしていることが分かります。

体重が5%以上減少した割合は、
偽薬が21.4%に対して、
リラグルチド3.0mg群が54.3%、
10%以上減少した割合も、
偽薬が6.7%であったのに対して、
リラグルチド3.0mg群で25.2%と有意に低下していました。

血糖コントロールについては、
リラグルチド3.0mgを使用しても、
HbA1cは1%程度の低下にとどまっていて、
それほど血糖効果作用は強くは認められませんでした。

有害事象については、
リラグルチド群で吐き気や下痢は有意に多くなっていました。
これはリラグルチドの発売当時、
吐き気がするので食事が摂れずに、
それで体重が減るのは当たり前、
というように揶揄されたこともあったのですが、
今回は1年を超えるような長期の試験ですから、
単にそれだけで体重が減少している訳ではないと思います。
膵炎の発症の事例はなく、
それ以外に目立った有害事象の報告はありませんでした。

個人的には長期使用の成績が是非欲しいところで、
その上で大きな問題がなければ、
今後の肥満を伴う糖尿病の診療において、
補助的な治療薬となる可能性は、
潜在的には充分あるように思います。
薬物でのこうしたクリアな体重減少の効果は、
実際にはこれまであまり例のないことだからです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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