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心不全におけるビタミンB12濃度測定の意義 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ビタミンB12と心不全.jpg
2018年のTherapeutics and Clinical Risk Management誌に掲載された、
心不全の患者さんにおける血液のビタミンB12濃度の意味についての論文です。

ビタミンB12 は肉や魚、貝や乳製品などの、
動物性食品のみに含まれるビタミンで、
その不足は細胞の正常な成熟を妨げ、
貧血や神経障害などの原因となります。

心不全では効率に貧血が合併していて、
貧血の存在は心不全の予後を悪くする要因であることが分かっています。

そのうち最も多いのは鉄欠乏による貧血で、
鉄欠乏性貧血の存在は、
心不全の予後に悪影響を与えます。

次に心不全で多い貧血が、
ビタミンB12や葉酸の欠乏によるものですが、
血液中のビタミンB12は、
心不全ではむしろ増加することが知られています。

それは何故かと言うと、
心不全特に心臓の右側の機能が低下する右心不全では、
肝臓がうっ血してその機能が低下し、
それに伴って肝臓に蓄えられていたビタミンB12が、
血液中に流出するためです。
同じ仕組みによって、
慢性肝炎や肝硬変の時にもビタミンB12は増加するので、
血液濃度でその不足を判断することは、
非常に困難になるのです。

今回の研究では安定した状態の心不全の患者さんにおいて、
血液のビタミンB12濃度がどのような意義を、
その経過に持つのかを検証しています。

対象は129名の安定した心不全の患者さんと、
心不全のない50名のコントロールです。
血液のビタミンB12の濃度は、
コントロールでは198pg/mL(140から321)であったのに対して、
心不全では271pg/mL(188から415)となっていて、
心不全の患者さんにおいて有意に高くなっていました。

他の関連する因子や数値との関連を見たところ、
このビタミンB12の濃度は血液のビリルビン濃度と、
相関が認められました。
これは肝臓のうっ血により、
心不全の患者さんではビタミンB12濃度が、
上昇しているという可能性を示唆しています。
ビタミンB12濃度が独立して、
心不全の予後を左右しているというような結果は、
今回の検証では得られませんでした。

心不全においてビタミンB12濃度が高くなることは、
ほぼ事実と考えて良さそうですが、
その臨床的な意義については、
まだ明確ではないと考えた方が良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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