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早期胃癌治療後のピロリ除菌の効果(韓国の介入試験) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ピロリ除菌の胃癌切除後の効果.jpg
2018年のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
早期胃癌の内視鏡切除後に、
ピロリ菌の除菌治療をした場合の有効性についての論文です。

噴門部以外の胃癌の90%は、
ピロリ菌の感染が原因と考えられています。

ピロリ菌の感染が持続することにより、
胃の粘膜は萎縮し、
腸上皮化成と呼ばれるような状態となると、
そこから高率に胃癌が発生します。

ピロリ菌の除菌を行なうことにより、
胃癌のリスクはトータルで35%は減らせることが、
これまでの臨床データをまとめて解析した論文で報告されています。

ただ、ある程度萎縮性胃炎が進行した状態であっても、
ピロリ菌の除菌にコストに見合うだけの有効性があるのか、
と言う点についてはまだ見解は分かれています。

2008年のLancet誌に報告された有名な日本のデータでは、
腸上皮化成を来したような高齢の萎縮性胃炎の患者さんでも、
除菌治療をすることによりその後の胃癌のリスクは、
65%低下したという結果になっています。
ただ、その後台湾で得られた臨床データでは、
高度の萎縮性胃炎の患者さんでは、
ピロリ菌の除菌による胃癌の予防効果は確認されていません。

今回の研究は韓国の国立癌センター的施設における、
単独施設のものですが、
ピロリ菌感染に伴い発症した早期癌を内視鏡切除した患者さんを、
クジ引きで2つの群に分け、
一方はピロリ菌の除菌治療を行ない、
もう一方は偽薬による治療を行なって、
それを患者さんにも主治医にも伝えないという、
この分野ではこれまでにあまりない、
厳密な方法による臨床試験を行なっているものです。

396名の患者さんが登録され、
中間値で5.9年の観察期間中に、
治療後1年以降に診断された新たな胃癌は、
ピロリ菌除菌群では7.2%であったのに対して、
偽薬群では13.4%で、
除菌治療はその後の胃癌の発症リスクを、
50%(95%CI: 0.26から0.94)有意に低下させていました。

組織学的検討を行なったサブ解析では、
萎縮性胃炎の改善は、
偽薬群では15.0%でしたが、
治療群では48.4%に認められました。

このように比較的萎縮が進行した胃粘膜であっても、
ピロリ菌の除菌を施行することにより、
その後の胃癌の発症は5割抑制されていて、
除菌の適切なタイミングは未だ確定したものはありませんが、
少なくとも早期胃癌の術後での除菌治療は、
有効な治療であると考えて良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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