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運動が歯周病を改善する? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
歯周病と運動の効果.jpg
2018年のTherapeutics and Clinical Risk Management誌に掲載された、
運動や食事などの生活改善が、
歯周病に与える影響についての論文です。
筑波大学の歯科口腔外科教室の研修者らによる日本の研究成果です。

歯医者さんに掛かる病気の代表は、
虫歯と歯槽膿漏(歯周炎)です。

この2つでは何となく虫歯の方が主体で、
虫歯が悪くなると、
歯肉炎などを伴う、というように考えがちですが、
実際には虫歯より遥かに怖いのが歯周炎で、
しかもこの2つの病気はその原因が異なります。

虫歯はグラム陽性通性嫌気性菌の感染症ですが、
歯周炎はグラム陰性嫌気性菌の感染症です。

虫歯は歯垢のコントロールにより予防が可能ですが、
歯周炎は原因も明確でない上に、
慢性化すると治療も決定打がなく、
歯を失うことになる可能性は、
歯周炎の方が遥かに高いのです。

この歯周炎と糖尿病などの生活習慣病には、
関連が深いことが以前から知られていました。
これまでにはっきりしているものとしては、
糖尿病以外に心血管疾患と誤嚥性肺炎、
また非アルコール性脂肪肝炎との関連も報告されています。
歯周病はまた生活習慣病の元とも言える肥満や内臓脂肪の増加とも、
関連のあることが報告されています。
そのメカニズムはまだクリアには分かっていませんが、
インスリン抵抗性が炎症性サイトカインの増加などに結び付き、
歯周の炎症や細菌の増殖を促すとも言われています。

それでは、
生活習慣を改善して肥満を改善することにより、
歯周病にも改善が見られるのでしょうか?

今回の研究はその点を明らかにする目的で、
年齢が31から64歳、
BMIが25以上の肥満男性で、
定期的な運動習慣のない71名を登録し、
そのうちの50名は運動プログラムを実施し、
残りの21名は食事指導のみを実施して、
12週間の治療を行ない、
その前後での歯周病の状態と、
運動プログラムを実施した場合と、
食事療法のみの場合との比較を行なっています。
運動は有酸素運動もしくは加圧運動を、
週に3回継続して行っています。
食事療法は1日の摂取カロリーの目標を、
1680キロカロリーに設定して指導を行なっています。

その結果、
運動療法群においては、
12週間の治療の前後で、
あまり体重の変化は認められませんでしたが、
歯周病の重症度の指標である、
歯周ポケットの深さが4ミリを超える比率は、
治療前の14.4%から5.6%へと有意に減少していました。
また、BOPと呼ばれる検査時の歯周からの出血率も、
39.8%から14.4%に減少していました。

つまり、運動療法を施行することにより、
特に歯周病の局所の治療などを行うことなく、
対象者の歯周病の状態は改善していたのです。

そして、興味深いことに食事療法群では、
より体重減少には効果が認められたのですが、
歯周病の指標の改善は認められませんでした。

歯周病の運動による改善効果は、
体重やLDLコレステロール、空腹時のインスリン値とも、
関連が認められました。

つまり、運動による内臓脂肪の減少や脂質代謝の改善が、
歯周の炎症にも良い影響を与え、
歯周病を改善するという可能性が示唆されたのです。

今回の結果は例数もそれほど多くありませんし、
試験のデザインもそれほど厳密なものではありません。
従って、今回の結果をもって、
歯周病に運動が有効、というようには言い切れないのですが、
それほどの関連がなさそうな、
歯周病と運動との間に関連があり、
食事との間にはそれほどの関連がなかったという結果は興味深く、
今後の更なる検証を期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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fujiki

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by fujiki (2018-04-02 08:50) 

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