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PL顆粒の発売を考える [仕事のこと]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

レセプトなどでちょっとバタバタしていて、
今日はかろうじて今日に間に合った、
という感じの更新になりました。

今日は論文の紹介ではなく、
「風邪薬」の話です。

毎日風邪薬のコマーシャルが流れない日はありません。
最近では医療用の風邪薬の代表でもあった、
PL顆粒が一般向けに発売されると、
仰々しい宣伝が連日行われています。

その一方で風邪に効く薬はない、
という言説も今では広く聞かれるようになりました。

風邪薬を処方する医者は確実に減っていると思いますが、
その一方でほぼ同じ風邪薬や、
PL顆粒のように全く同じ風邪薬が、
大量に商品として宣伝され、
多くの皆さんが使用されていることも事実です。

これは本当に正しいことなのでしょうか?

何か健康保険さえ使用しなければ、
役に立たないものや、
時には有害なものでも、
国民にはじゃんじゃん飲んでもらいたい、
というような利益優先の意図が透けて見えて、
あまり良い気分にはならないことも事実です。

そもそも風邪薬とはどんなものなのでしょうか?

風邪をライノウイルスなどによる急性の感染症と考えると、
それに効く薬はありませんから、
風邪薬と言われるものは、別に治療薬ではなく、
あくまで熱や鼻水、咳、咽喉などの痛みといった、
風邪に伴う症状を緩和する薬です。

風邪自体は自然に治る病気ですが、
症状が強ければつらいですから、
つらい症状を一時的に緩和する薬が、
あっても勿論悪くはありません。

ただ、現状の風邪薬の問題点は、
多くの成分が混合されていて、
その中には不要と思えるものも有害と思えるものもあり、
その評価がしっかりされていない、
と言う点にあります。

そこで、
医療用の総合感冒薬の代表とも言える、
PL顆粒の話になります。

医療用の総合感冒薬として、
最も広く知られているのはPL顆粒と呼ばれるもので、
その成分はアセトアミノフェン、サリチル酸アミド、
無水カフェイン、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩の4種類です。

PL顆粒の発売は1962年で、
その開発の時点で同種の配合剤が既に発売をされていますから、
風邪薬の歴史は非常に古い、
ということが分かります。

処方としては2種類の痛み止め(消炎鎮痛剤)を組み合わせ、
興奮剤のカフェインと、
抗ヒスタミン剤という鼻水や炎症を止める薬をミックスしたものです。
熱と鼻水と咽喉に効く、
という言い方が出来なくはありません。

ただ、わざわざ2種類の消炎鎮痛剤を組み合わせる必要があるのか、
という疑問と、
カフェインのような興奮剤を鎮痛作用の増強を期待して配合する、
という発想は、
今の目から見るとあまり科学的とは言えません。

おそらくこの発想は、
漢方薬から来ているのではないかと、個人的には思います。
個々に別個の効果のある薬を組み合わせて処方して、
より大きな総合的な作用を期待しよう、
という考え方です。

しかし、西洋医学の製剤は漢方の生薬とは違いますから、
この発症はちょっと筋が違うように思います。

PL顆粒を風邪で処方する医師は、
最近は減少していると思います。
特に小児用は問題が大きいと思いますが、
不思議なことに2014年の厚労省の再審査では、
特に問題視をされていません。

それどころか前述のように、
健康保険さえ使用しなければ、
国民にはドシドシこうした薬を使って欲しい、
というのが国やメーカーの方針でもあるようです。

市販の風邪薬は巨大なマーケットを形成していて、
売れっ子のタレントを起用したコマーシャルが、
毎日大々的にテレビでも流されています。

その中身はどのようなものなのでしょうか?

1つのサンプルとして第一三共の「ルル」を見てみましょう。
(この選択はたまたまで他意はありません。
他のメーカーの他の同種の薬でも、
全く同じことが言えるのです)

「かぜの全ての症状に効く」と銘打たれたこの薬には、
実に9種類の成分が配合されています。

痰がらみを取るブロムヘキシン塩酸塩、
神経刺激作用のあるメチルエフェドリン塩酸塩、
咽喉の腫れを抑えるトラネキサム酸、
解熱鎮痛剤のアセトアミノフェン、
副交感神経を抑えて鼻水を止めるベラドンナアルカロイド、
咳止めで依存性のあるジヒドロコデインリン酸、
興奮剤のカフェイン、
抗ヒスタミン剤のクレマチンフマル酸塩、
そしてビタミンB1の誘導体です。

皆さんは風邪症状でお医者さんに行って、
いきなり9種類の薬を出されたらどう思いますか?
さすがに多すぎると感じるのではないでしょうか?

しかし、実際には同じことをしているのが市販の総合感冒薬なのです。

こうした薬は7歳以上では服用可能となっていますが、
現在小児科を担当する医師の多くは、
この年齢の患者さんの風邪に対して、
依存性や興奮性のあるジヒドロコデインリン酸やカフェイン、
痙攣のリスクなどもある古いタイプの抗ヒスタミン剤などは、
ほぼ間違いなく処方しないと思います。

それが平気で含まれていて特に規制もされていないというのが、
風邪薬の大きな問題だと思います。

それでは、
現状の総合感冒薬とどのように付き合うべきでしょうか?

以下は私見です。

総合感冒薬と言われる薬は、使用しないのが賢明です。

カロナールなどの商品名の解熱鎮痛剤は、
成分がアセトアミノフェンだけであれば、
発熱や痛みに対して使って良いと思います。

咳止めの連用はお勧め出来ません。

鼻水止めには風邪薬ではなく、
アレグラなどの花粉症の薬の方が、
副作用が少なく使いやすいと思います。

漢方薬は体に合ったものが分かっていれば、
使用して悪くないと思います。
3日使って充分な効果のない時には、
それ以上服用しないことがお勧めです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 2

とはちは

とても勉強になりました。

ビタミンB1誘導体はどうして処方されているのでしょうか。
シヒドロコデインリン酸は依存性があるとのことですが、飲み始めるとやめにくくなったり、ちょっとしたことでも服用したくなるということでしょうか。

by とはちは (2018-01-10 23:36) 

ゆう

私自身は極力薬は飲みたくない人間ですが
風邪で辛くなるとついつい不安になって
薬に頼りたくなる気持ちも分かる気もします。
実際父はなぜかルル様々で風邪気味というと飲んでいたようで
しかも元々胃弱で近年調子悪いことが多いと思っていたら
ルルを止めたらすこぶる快調になったとのこと。
怖いことだなと思います。

また、私は個人的にPLは全く効いたことがなく
逆に飲むとなぜか悪化する傾向があるので
病院に行ってもPLは合わないと先に伝えるようにしてきました。
兄弟は効くと言っていたので体質なのでしょうが。

体調だけでなく薬の効き方も
医師任せでなく自分の体に聴きながらが必要なのでしょうね。
風邪とひとくくりにせずに症状と自分の体にあう薬を選んで
医師と相談しながらが一番いいのかなと改めて思いました。
今の時期大変参考になるお話ありがとうございました。
by ゆう (2018-01-11 22:22) 

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