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宇宙旅行の脳に与える影響(MRIによる検証) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
宇宙旅行と脳変化.jpg
今年のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
宇宙旅行が脳の与える影響について、
脳のMRIを撮影して検証した論文です。

宇宙旅行、特に宇宙ステーションへの長期滞在は、
人間の脳のどのような影響を与えるのでしょうか?

2011年に長期の宇宙旅行から帰還した飛行士が、
視力障害と脳圧亢進症状を来したという報告が発表されました。
これは無重力もしくは低重力の環境に長期滞在することで、
脳脊髄液中の浮かんでいる脳の偏りが起こり、
それが地球に戻って重力の影響を受けることで、
一部の神経が圧迫されたり、
脳の圧力が変動することがその原因と想定されていますが、
その根拠はあまり明確ではありませんでした。

今回の研究では平均で6.7日という短期間の宇宙滞在と、
平均で287.5日という長期の滞在をした飛行士達の、
宇宙旅行前と帰還後の頭部MRIを撮影して、
その変化を検証しています。
NASAが主導した研究で、
18名の長期滞在者と16名の短期滞在者が対象となっています。

その結果、
脳の上方への偏位と頭頂部髄液腔の狭小化が、
長期の滞在では高頻度に認められました。

こちらをご覧ください。
宇宙旅行前の脳.jpg
これは宇宙滞在前のMRIです。
次にこちらをご覧ください。
宇宙旅行後の脳.jpg
こちらは宇宙から帰還後の脳です。
明らかに脳が上方に偏位しているのが、
お分かり頂けるかと思います。

こうした変化のおそらくは結果として、
長期滞在者のうちの3名では、
視神経乳頭浮腫と中心溝の狭小化が認められ、
それが視力障害や脳圧亢進の、
原因であると想定されました。

そうしたリスクはおそらく脳の構造の個人差にも、
影響をされていると思われますから、
飛行前のMRIなどによるチェックを行うことにより、
リスクの高い個人を選別し、
予防的な対策を取ることが、
可能となるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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よろしくお願いします。

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