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庭劇団ペニノ「地獄谷温泉 無明ノ宿」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
ペニノ.jpg
怪人タニノクロウさんの作・演出による、
庭劇団ペニノの「地獄谷温泉 無明ノ宿」の、
横浜での再演の舞台に足を運びました。

マメ山田さん扮する人形師の老人とその息子が、
翌年には新幹線の開通で閉鎖される予定の、
「主人」のいない温泉旅館に、
一通の謎の手紙で招かれるのですが、
招いた主人は存在せず、
旅館に集う老婆や盲目の男などの、
この世界から忘れ去られた「過去」の人間達の心に、
人形芝居で触発された一夜限りの異様な欲望が、
奇怪な華を咲かせるという物語です。

この作品は2015年の夏に森下スタジオで初演されて、
その時から非常に評価が高く、
第60回岸田國士戯曲賞を受賞しました。
ただ、この時はクリニックの開院準備の時期で、
忙しくて観に行けませんでした。
それで今回の再演はとても楽しみにしていたのです。

これは期待通りの見事な舞台で、
セットの緻密な造り込みは尋常ではありませんし、
音効や照明も完璧に磨き込まれています。
内容の得体の知れなさと、
常人には理解不能の露悪的な淫靡さなどは、
今回も基本的には同じですが、
ナレーションまで付けられた物語は、
これまでのペニノの舞台とは段違いに分かり易くなっています。

特に「国中が気狂い、血に飢え出したいま、
百福の容姿と人形芝居はとくに求められました。
人々はいま惨めさを求めているのです。圧倒的な惨めさを!」
というようなタニノクロウさんとしては、
異例の感じのするアジテーション的なナレーションがあるので、
そこに反応して評価をされたという部分も、
今回はあるように思います。

ただ、言葉は基本的に平明で、
物語のアウトラインも追うこと自体は簡単な一方で、
実際に舞台で起こったことは何なのか、
豊穣で奇怪なディテールには何の意味があるのか、
というような点については、
例によって常人にはとても理解が出来ない部分が、
多々あることは、
これまでのペニノの舞台と同じでもあるのです。

しかし、そうしたモヤモヤは残っても、
祖母の思い出とともにある富山の田舎の情景が、
新幹線とともに葬られた、
という現実に虚構として対決するために、
忘れ去られた怨念と欲望とを取り込んで、
実際に現実より現実的な完璧な温泉旅館を、
舞台に造り上げてしまったタニノさんの執念のようなものには、
素直に脱帽を感じるのです。

僕がこれまで観た中では、
間違いなく最高のペニノの芝居であったことは間違いがありません。

これは小劇場の歴史に残る傑作だと思います。
必見です。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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