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治療抵抗性高血圧の頻度とその推移(2017年イギリスの報告) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は木曜日なのですが、
午後は石原が研修会出席のため休診とさせて頂きます。
受診予定の方はご注意下さい。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
治療抵抗性高血圧の疫学.jpg
今年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
イギリスにおける治療抵抗性高血圧の頻度を、
年代毎に検証した論文です。

治療抵抗性高血圧というのは、
利尿剤を含む3種類以上の降圧剤を、
充分量使用しても血圧が140/90mmHg以上ある、
という重症の高血圧のことを指していて、
上記文献では利尿剤を含む4種類以上の降圧剤を使用しないと、
目標血圧に達しない場合も、
その定義に含めています。

治療抵抗性高血圧の患者さんは、
通常の高血圧の患者さんの2倍以上、
心血管疾患のリスクがあると報告されていて、
その管理をどうするかは臨床上の大きな問題です。

これまでの報告によると、
高血圧の患者さん全体の14から16%は、
この治療抵抗性高血圧であると推計されています。

ただ、こうしたデータはそれほど精度の高いものではなく、
また時代による変化も反映はしているとは言えません。

今回の検証は、
イギリスのプライマリケアのデータベースを活用したもので、
1995年から2015年という20年間の、
131万人余りのデータを解析した、
非常に大規模なものです。

その結果、
年齢を平均化した1996年の治療抵抗性高血圧の発症率
(その年に新規に診断された患者さんの比率)は、
高血圧の患者さん年間100人当たり0.93件(95%CI;0.87から1.00)で、
2004年には2.07件(95%CI;2.03から2.12)とピークに達し、
その後は低下に転じて、
2015年には0.42件(95%CI; 0.40から0.44)まで低下しています。

年齢で平均化した、
その時点での高血圧の患者さんに占める比率である有病率は、
1995年には1.75%(95%CI;1.66から1.83)であったものが、
2007年には7.76%(95%CI;7.70から7.83)とピークに達し、
その後はほぼ横ばいとなって、
2015年には6.46%(95%CI;6.38から6.54)とやや減少に転じています。

年代は問わない傾向として、
治療抵抗性高血圧は、
65から69歳の年齢層と比較して、
80歳以上でより有病率が高い傾向にありました。

このようにイギリスにおいては、
1995年から2004年までは増加していた、
治療抵抗性高血圧の発症率が、
それ以降は著明に減少に転じています。

この説明として上記文献の解説では、
1995年以降高血圧の健康への悪影響が重要視され、
より多くの患者さんが診断されることになったため、
その頻度は増加したが、
治療の進歩や強力な降圧作用を持つ薬剤の普及、
また生活習慣の改善などによって、
その発症率は減少に転じたのではないかと推測しています。

確かに減塩の普及は1つの要因ではあると思いますし、
上記文献には記述はありませんが、
原発性アルドステロン症などの二次性高血圧症が、
より適切に診断されることが多くなったことも、
その現象の一因にはなっているように思います。

どうやらこれまで言われていたより、
一般の高血圧の患者さんにおける、
治療抵抗性高血圧の比率は低いものであるようです。

おそらく日本においても同様の傾向はあると思いますが、
高齢化の進行に伴い、
その発症率は減少しても、
実際にはその有病率は当面は増加を続けると思われるので、
治療抵抗性高血圧の管理の重要性は、
今後も増すことは間違いがないように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。



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コメント 6

ゆま

質問です。
ある方が心血管疾患で亡くなったとき、
「この人は(例えば)原発性アルドステロン症が原因である心血管疾患で亡くなったんだな」
というふうにわかるものなのでしょうか。

by ゆま (2017-09-28 10:28) 

AF冠者

庭仕事の過労からか妻(78歳)が血圧が180になり日赤に救急外来を電話でお願いしたところ市内の休日当番医を指定され受診、アダラートをその場で服用、130になったので帰宅、翌日かかりつけ医を受診しアムロジンが処方されましたが、服薬するとかえって上昇するので日赤に甲状腺検査を含めて受診したところ「気にせいだ」でミカルデスが3日分処方され後はかかりつけ医でとなりましたが検査結果を聞くついでに違う医師も「気のせいだ」で160位は・・・で隣市の大学病院を義息(医師)の紹介状で受診、検査等で7日間入院、その間医師の診察1回、点滴(降圧と嘔吐)2回、処方薬なし。痴呆患者同室で自主退院。娘からインデラルとドグマチールが送られてきて服薬、ようやく眩暈もなく血圧も朝から日中は100:60と。しかし深夜0時から3時ごろ150前後になる深夜型高血圧?です。そのような型の降圧剤は必要か、どうか。その時はデパスとサイレースをそれぞれ1/4位服用し眠ります。高齢者の服薬は問題だともききましたが。
by AF冠者 (2017-09-28 11:05) 

fujiki

ゆまさんへ
これは個別には分かりません。
心血管疾患の原因は様々だからです。
ただ、その方に他の心血管疾患のリスクがほぼなければ、
その可能性が高い、というくらいは言えると思います。
原発性アルドステロン症で心血管疾患のリスクが高い、
というのは、
他のコレステロールや年齢などの因子を補正した時に、
上乗せでこのくらい発症が多くなっている、
というような統計的な計算によるものだと思います。
たとえば原発性アルドステロン症がないとすると、
100人が心血管疾患になるところが、
アルドステロン症があることにより150人が発症しているとすると、
その差し引きの50人分はアルドステロン症が原因の可能性が高いので、
50%リスクが増加している、
というような計算です。
by fujiki (2017-09-29 06:39) 

fujiki

AF冠者さんへ
奥さまご心配なことと思います。
検査で大きな問題が見つからなかったとすると、
お疲れなどによる一時的な上昇かも知れません。
そうであればご様子をみて、
薬を減らして中止も検討する、
という方針で良いように思います。
夜の150前後は体調が悪くなければ、
許容範囲と考えて良いのではないでしょうか?
ベンゾジアゼピンは飲まないにこしたことはないのですが、
少量で眠れていて翌朝への持越しもないようであれば、
落ち着かれるまで継続されても、
大きな問題はないと思います。
by fujiki (2017-09-29 06:48) 

AF冠者

ご教示有難うございました。おかげさまで落ち着いてきております。ITで総合病院間がつながっいてセカンドオピニオンもサードも田舎では不可能に近いことは患者にとって困ったことです。夫婦ともども医療機関にお世話になっておりますが、Dr.の「何とか治してあげよう」という姿勢が田舎では望めません。
by AF冠者 (2017-09-29 10:55) 

ゆま

どうもありがとうございました!よくわかりました!いつもわかり易く解説してくださって感謝しています。

by ゆま (2017-09-29 12:02) 

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