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森林浴の血圧降下作用 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
森林浴の効果.jpg
今年のBMC Complementary and Alternative Medicine誌に掲載された、
森林浴の血圧への影響を検討した論文です。
これまでのデータをまとめて解析した、
所謂メタ解析の論文で、
日本の群馬大学の研究者による報告です。

森林浴はForest bathingと訳されていますが、
論文の殆どが日本のものである点から考えて、
海外であまりこうした概念が一般的、
ということはないようです。

森や自然の中で豊かな自然の緑に触れ、
散歩やハイキングをしたり運動をしたりすることは、
心身のリラックス効果のあることは、
自然に触れた人なら誰でも実感することだと思います。

実際にどのような変化が、
その時身体には起こっているのでしょうか?

これまでの報告によると、
緑の多い環境に身を置くことにより、
1から2時間という短時間においても、
脈拍や血圧が低下し、
自律神経のバランスは副交感神経優位となって、
交感神経の活動は抑制されます。

ただ、それではどのくらい血圧が下がるのか、
というような点については、
また一致した見解がある、
という訳ではありません。

今回の研究はこれまでの臨床研究のうち、
森林浴の血圧への影響を検証した、
20の研究データをまとめて解析したものです。

その内訳は17論文は日本の研究者による国内の研究で、
残りの2論文は韓国の、そして1論文は中国の研究となっています。
日本の研究も同じ研究グループによるものが多いので、
それほどこの問題が、
世界的に研究されている、
ということはどうもないようです。

日本の研究は森林浴の期間が2時間以内というものが全てで、
その同じ時間を室内などで過ごした場合との比較を行っています。
より長期の報告は3日と7日という報告があり、
いずれも海外のものです。
トータルな被験者の人数は732名ですが、
多くの研究はかなり少人数のものです。

森林浴により収縮期血圧(上の血圧)は、
トータルでは3.15mmHg(95%CI; 2.18から4.12)低下しています。
この下げ幅は血圧が130mmHg以上のグループではより大きく、
6.33mmHg(95%CI; 3.32から9.35)となっていました。
森林浴の効果は森の中のような自然の豊かな場所でより大きく、
若い人より中高年で大きい傾向がありましたが、
これは元の血圧値の影響を見ている可能性もありそうです。
拡張期血圧も森林浴で、
1.75mmHg(95%CI; 1.13から2.38)有意に低下していました。

このように森林浴に一定の血圧降下作用のあることは、
ほぼ間違いのない事実と思われますが、
データは殆どが日本のものでかなり偏りがあるので、
森林浴をどのように活用することが、
日頃の健康維持や健康増進に繋がるのか、
具体的な事項に結論を出せるような、
精度の高いデータはまだ存在していない、
というのが実際のようです。

森林浴自体にはほぼリスクはなく、
健康に良い習慣であることも間違いはありませんが、
自然は怖いものでもありますので、
虫刺されなどを含めて自然のリスクには注意しつつ、
適度に自然と親しむ習慣を持つことが、
現状では最善の健康法であるような気がします。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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