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1型糖尿病のインスリン分泌とサイトカインとの関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
1型糖尿病の残存インスリン分泌.jpg
2017年のDiabetes Care誌に掲載された、
1型糖尿病のインスリン分泌についての論文です。

糖尿病には1型と2型とがあり、
1型は自己免疫の炎症により、
小児期よりインスリン分泌が進行性に低下し、
初期からインスリン自己注射が必要となります。

これまでの一般的な考え方では、
自己免疫の炎症による膵臓のインスリン分泌細胞の破壊は進行性で、
インスリン分泌が回復することはない、
というように考えられていました。
ただ、2010年以降くらいの報告では、
10年以上という長期間を経過した1型糖尿病においても、
内因性のインスリン分泌の指標となる、
血液のCペプチドは測定が可能で、
これはインスリン分泌細胞が残存していることを示しています。

しかし、
実際にどのような患者さんにおいて、
1型糖尿病にも関わらずインスリン分泌が保たれ、
どのような患者さんにおいてほぼ完全に枯渇してしまうのか、
その違いについては殆ど分かっていません。

最近自己免疫の炎症を抑制するサイトカインとして、
インターロイキン‐35の関与が報告され話題になっています。

そこで今回の研究では、
18歳以上で10年以上前に1型糖尿病と診断されている、
113名の患者さんをスウェーデンの単独専門施設で登録し、
内因性インスリン分泌の指標である血液のCペプチドの数値と、
インターロイキン‐35を含む各種サイトカインの血液濃度を測定しています。
全例ではありませんが、
細胞性免疫能の解析も行っています。

1型糖尿病の患者さんでは、
インスリンの自己注射を行なっているため、
血液のインスリンを測定しても、
身体から出ているインスリンの量は分からないので、
インスリンが身体で合成される際に、
同時に出来るCペプチドの方を測定しているのです。

その結果…

全体の6割の患者さんでは、
血液のCペプチドは感度以下でしたが、
41%に当たる46名の患者さんでは、
空腹時の血液のCペプチドが測定可能で、
それも28.6±15.0(pmol/L)と一定の分泌が確保されていました。
そしてこのCペプチド検出群と非検出群とで比較すると、
インターロイキン‐35の濃度は、
検出群が20.3±2.5(pg/mL)であるのに対して、
非検出群では9.7±1.8で、
明確に検出群でインターロイキン‐35は高値を示し、
少数例の解析でも、
実際に検出群でインターロイキン‐35産生細胞の増加が確認されました。

つまり、
自己免疫を抑制するようなサイトカインの産生が、
自己免疫性膵炎の進行阻止に働いていることを示唆する所見です。

今回のデータからはまだ、
本当にインターロイキン‐35が、
インスリン分泌細胞保護の主因であるとは特定出来ませんが、
1型糖尿病の診断から10年以上が経過しても、
4割の患者さんでは内因性インスリン分泌が残っていて、
ほぼなくなっている6割とはっきりと二分され、
それと特定のサイトカインが強い関連を持っている、
という知見は非常に興味深く、
今後の治療的な介入などの知見にも、
是非期待をしたいと思います。

1型糖尿病の治療が、
近い将来ダイナミックに変わることになるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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