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ゴキブリコンビナート「法悦肉按摩」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が診療を担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
ゴキブリコンビナート.jpg
日本に現存するおそらく最後のアングラ、
ゴキブリコンビナートの本公演に行って来ました。

今回は東京都小金井市某所の野原に、
密閉型のテント劇場を建設し、
そこでの3日間のみの公演となりました。

場所は秘密で予約をするとメールで届くのですが、
それを見て行っても、
何処にあるのかなかなか分かりません。
当日券の人はもよりの駅で集合し、
トラックの荷台に詰め込まれて、
拉致されるように会場まで運ばれます。
とてもワクワクしますね。

設営はプロなのでさすがのクオリティです。

最初に目隠しや黒い袋を1人ずつ被せられ、
狭い空間に何も見えない状態で詰め込まれます。
何が始まるのかと思うと、
盲目の按摩を勉強中のサクラさんという少女が、
先輩で按摩の名人のヒロシ君を、
探して旅をするという自己紹介のような歌が、
闇の中で流れます。

このDr.エクアドルさん自作の歌が、
シンプルで哀愁を帯びていて、
怪しげでとても良い感じです。
これぞアングラ歌謡という、
知っている人にはたまらなくなるような、
切なく狂おしく怪しい気分になるのです。

サクラさんはヒロシ君を探して、
満員電車に乗るという話が歌で説明され、
要するに視覚を閉じられたサクラさんと同じ立場で、
同じ感触で満員電車の中に、
観客の1人1人が閉じ込められる、
ということになる訳です。

そこに狂暴な痴漢が現れて車内は恐慌状態になり…
という段取りが今回の作品では、
最も強烈で面白く、
悪魔的で得難い体験となりました。

目隠しが取られて視界が復活してからの展開は、
観客が高台と低地に分かれるなど工夫はあるのですが、
観客の1人1人が巻き込まれるという感じには乏しく、
僕はチキンなので遠巻きに観ていたら、
何となく傍観者的な気分で終わってしまいました。

内容的にもドラム缶の作業員の辺りまでは良いのですが、
その後主人公が田舎に戻る展開になると、
「物語を見ている」という感じが強くなって、
オープニングの「異常な世界を体感している」
という感じが乏しいのが物足りなく感じました。

内容的にはもっと短時間のイベントの舞台でも披露している、
アングラ・ミュージカルと言うような性質のもので、
猥雑でお下品でシュールで切なく、
奇怪で愛おしくもなるような物語が展開されます。

それはそれで面白いのですが、
時間がイベントより長い分単調になりますし、
長い割には盛り上がりに欠けるように感じました。
ラストも確かに物語としては完結しているのですが、
野外劇でこれだけ手を掛けたセットを用意しているのですから、
もう少しスケールの大きな屋台崩しのようなものが、
あっても良かったのではないかと思いました。
ただ、ゲリラ的な公演でもあったようなので、
ラストに外を使ったりすることは、
現実的に難しかったのかも知れません。

総じて後半は、
集団で誰かを襲うような光景を、
観客が周辺や上から取り囲んで見ている、
というような雰囲気の場面が多く、
観客がそこに巻き込まれたり、
物語の一部になるような感じはありませんでした。

いつもそうであれば、
そうしたものとして観られたのですが、
前回公演は観客自身が主役として物語が展開されるような、
迷路の密室劇でしたし、
今回も最初は観客が盲目の主人公と一体化する、
という参加型の始まりだったので、
どうしてもその後もそうした世界を期待してしまったのです。

特に宣伝のチラシの裏にも、
「もうこれは視覚表現ではない まるで触れてくるような 皮下に侵入してくるような 脳幹を中の肉をまさぐられるような演劇(原文通り)」
という挑発的なことが書かれているので、
余計にそうした世界を期待してしまったのだと思います。

つまり、オープニングがあまりにアングラ演劇として、
挑発的で完璧なものだったので、
その方向の展開を期待してしまったのです。
しかし、それはこちらの早合点で、
Dr.エクアドルさんの今回の作品は、
そうした方向性のものとは違っていたのだと思います。

役者さんは今回は女優陣がとても良くて、
浣腸痴漢に襲われて狂った少女が、
狂おしく身体をくねらせる感じなど、
舞踏の原風景のようなものを感じさせて味わいがありますし、
はたゆきさんやホリー・ポッターさんの声がまた、
特に闇の中で哀愁を帯びて心に沁みるのです。
地下アイドルとして鍛えられているからかも知れません。
Dr.エクアドルさんは、
歌わない方が良いと思いました。
(失礼を申し訳ありません)
男優陣で1人くらい、
歌の上手い人がいると良いと思いました。
アングラ歌謡の不気味にハモるデュエットなど、
エクアドルさん作曲の歌で、
是非聴きたいと思います。

ちょっと批判的な論調になってしまい大変申し訳ありません。
ゴキコンを愛するが故とご理解下さい。
どんな作品でもついてゆく気持ちではあるのですが、
敢えて好みを言えば、
物語と観客との境界線が、
闇や夢の中で溶けてしまうような世界を期待したいのです。
それが出来るのは今ゴキコンしかいないと思うからです。

今回は期待が大き過ぎただけに、
少し物足りない感じはあったのですが、
小劇場演劇においては至宝と言って良い存在であることは間違いなく、
これからも是非観客を楽しませ、狂わせ、
戸惑わせ、呆然とさせた上で、
覚醒させ続けて欲しいと思います。

頑張って下さい。
陰ながら応援しています。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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