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カルシウムをサプリメントとして摂取するリスクについて [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。

今日はこちら。
カルシウムサプリメントとそのリスクレビュー.jpg
今年のJ Clin Hypertens.誌のレビューですが、
カルシウムをサプリメントとして摂取することと、
心血管疾患のリスクとの関連を解説したものです。

この話題はこれまでにも何度も取り上げました。

カルシウムやビタミンDをサプリメントとして摂ることは、
世界中で広く行われていて、
その理由は骨粗鬆症や骨折の予防と、
高血圧症の予防が2つの柱です。

日本の場合には必要なミネラル成分のうち、
カルシウムだけが必要量の1日600ミリグラムを下回っているとして、
国レベルで積極的な摂取の推奨が行われています。

ただ、最近になり特にサプリメントとしてカルシウムを摂ることが、
心筋梗塞などの心血管疾患のリスクを高め、
生命予後にも悪影響を与えるのではないか、
という疑念が多く寄せられるようになりました。

以前何度かご紹介したことがあるのは、
2013年のBritish Medical Journal誌に掲載されたスウェーデンの疫学データで、
6万人以上の中高年の女性の統計として、
1日のカルシウムの摂取量が1400㎎以上のグループは、
少ないグループと比較して、
心筋梗塞などの心臓病のリスクが2倍以上増加していました。

同様の報告は他にもあります。

こちらをご覧ください。
カルシウムサプリメントと心血管疾患.jpg
これは同じ2013年のJAMA Intern Med.誌に掲載されたものですが、
アメリカで39万人弱の、
50歳から71歳の男女を平均で12年間観察した結果として、
男性で1日1000mgを超えるカルシウムを摂取している男性では、
サプリメントを摂取していない男性と比較して、
心血管疾患のリスクが1.20倍(95%CI;1.05から1.36)、
心臓病による死亡のリスクが1.19倍(95%CI;1.03から1.37)、
とそれぞれ有意に増加していました。
心血管疾患による死亡には有意な増加はなく、
女性での同様の検討では有意なリスクの増加は認めませんでした。
更に食事からのカルシウムの摂取量が多くても、
このような心血管疾患リスクの増加は認められませんでした。

この報告ではBritish Medical Journalのものとは異なり、
女性ではなく男性でリスクが増加している、
という結果になっています。

より直近の2016年にも次のような論文が発表されています。
カルシウムサプリメントと心血管リスク(2016).jpg
これは2016年のAm J Clin Nutr誌に掲載された論文ですが、
アメリカの癌予防の疫学データを元にした解析です。
13万人余りの男女を平均で17.5年という長期に渡り観察した結果、
1日1000mg以上のカルシウムをサプリメントで摂取している男性は、
サプリメントを使用していない男性と比較して、
総死亡のリスクが1.17倍(95%CI; 1.03から1.33)有意に増加していました。
しかし、女性では総死亡のリスクはサプリメント群で有意に低下していました。
食事由来のカルシウムの摂取量と、
総死亡のリスクとの間には関連は認められませんでした。

つまり、どうもサプリメントでカルシウムを、
1000mgを超えて摂取することは、
心臓病のリスクの増加に、
結び付く可能性が高そうです。
その影響はどうやら男性に強そうなのですが、
スウェーデンの検証では女性にも認められています。

しかし、明確な差とまでは言えない上に、
そのメカニズムも明確ではありません。

最近注目すべき研究としては、
冠動脈へのカルシウムの沈着と、
サプリメントとの関連を見た次のような論文があります。
カルシウムサプリメントと冠動脈石灰化.jpg
これは2016年のJ Am Heart Assoc.誌に掲載されたものですが、
5448名を10年間観察した、
動脈硬化に関しての疫学データの解析で、
動脈硬化の指標として、
心臓CTによる冠動脈の石灰化を利用しています。

カルシウムの摂取量をトータルで見ると、
多いほど10年後の冠動脈の石灰化病変の出現は低いのですが、
カルシウム量を補正した上でサプリメントの使用の有無で解析すると、
サプリメントの使用により新規の石灰化病変出現のリスクは、
1.22倍(95%CI;1.07から1.39)有意に増加していました。
このリスクの増加は、
元のカルシウムの摂取量が不足していると、
より大きなものになっていました。

つまり、どうやらサプリメントのカルシウムと、
食品からのカルシウムの摂取とは別個に考えるべきで、
食事からのカルシウムは多いほど健康に良いですが、
サプリメントのカルシウムは、
逆に心血管疾患のリスクを増加させる可能性があるのでは、
ということを示唆する結果です。

何故このような現象が起こるのか、
そのメカニズムは現時点では不明なので、
この結果を鵜呑みにするのは時期尚早と思いますが、
カルシウムのサプリメントの使用については、
今後より慎重に考えた方が良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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