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非ステロイド系消炎鎮痛剤の急性心筋梗塞リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
NSAIDSと急性心筋梗塞.jpg
今年のBritish Medical Journal誌に掲載された、
一般に使用されている解熱鎮痛剤の、
心筋梗塞発症リスクについての論文です。

こうした研究は多くあり、
これまでにも何度かご紹介していますが、
実臨床の大規模なデータを用いて解析をしている点と、
最近流行のベイジアン解析という手法を用いている点が、
今回の特徴です。

非ステロイド系消炎鎮痛剤は、
商品名ではボルタレンやブルフェン、
ロキソニンなどがそれに当たり、
一般に幅広く使用されている解熱鎮痛剤です。

しかし、この薬には多くの有害事象や副作用があり、
心筋梗塞の発症リスクの増加は、
ほぼ確認されている有害事象の1つです。

しかし、個別の薬剤間でどの程度のリスクの差があるのか、
と言う点や、
薬剤の量や期間とリスクとの関連などの事項については、
論文によっても結論が異なる部分があり、
まだ確実と言えるような知見は得られていません。

今回の研究はカナダとヨーロッパの医療データをまとめて解析したもので、
61460件の急性心筋梗塞の発症者を、
385303名の対照群と比較して、
心筋梗塞のリスクと個々の薬剤の使用との関連性を検証しています。

その結果、
1から7日間という短期間の使用においても、
心筋梗塞を起こした当日24時間以内の非ステロイド系消炎鎮痛剤の使用は、
有意にその発症リスクを増加させていました。

薬毎の解析では、
未使用と比較して、
急性心筋梗塞のリスク(オッズ比)が、
イブプロフェンで1.48倍(95%CI;1.00から2.26)、
ジクロフェナクで1.50倍(95%CI;1.06から2.04)、
ナプロキセンで1.58倍(95%CI;1.07から2.33)、
それぞれ有意に増加していました。

一般的な非ステロイド系消炎鎮痛剤より、
有害事象のリスクが少ないと想定される、
COX2選択的阻害剤では、
セレコキシブでは1.24倍(95%CI;0.91から1.82)と、
有意ではないもののリスクは増加する傾向を示し、
ロフェコキシブでは1.58倍(95%CI;1.07から2.17)と、
こちらは有意なリスクの増加を認めました。

薬の1日の使用量が多いほど、
心筋梗塞の発症リスクも高くなりましたが、
使用期間は1か月を超える使用であっても、
リスクはより増加するという傾向は示しませんでした。

このように、
非ステロイド系の消炎鎮痛剤を使用することにより、
若干ながら急性心筋梗塞の発症リスクが増加することは、
ほぼ間違いがなく、
1回の使用量が多いほどそのリスクは高まりますが、
慢性の使用が1か月未満の使用より危険、
ということはなく、
個々の薬剤間のリスクの差も、
それほどはないと考えておくことが妥当なようです。

特に心疾患のリスクのある患者さんにおいては、
非ステロイド系消炎鎮痛剤の使用は、
最小限最小用量に留めることが、
必要であると考えておいた方が良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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