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体重の変動が心臓に与える影響について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
体重の変動と心血管疾患リスク.jpg
今月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
体重の変動が心臓に与える影響についての論文です。

肥満が心筋梗塞などの心血管疾患のリスクであることは、
多くの疫学データで立証された事実です。
その一方で体重の変動が大きいことも、
虚血性心疾患のリスクとなることが報告されています。

これは体重の急激な増加は勿論のこと、
急激な減少やダイエット後のリバウンドなども、
その振り幅が大きければ病気のリスクになるのでは、
という意味合いです。

ただ、実際に心筋梗塞などを起こした患者さんにとって、
その後の体重変動がどのような影響を与えるのか、
というような点については、
これまでにあまり精度の高いデータが存在していませんでした。

今回の研究はTNT研究という、
大規模な臨床研究のデータを活用して、
心筋梗塞や狭心症の患者さんにおける、
体重変動の影響を検証しています。

元になっている臨床試験は、
狭心症や心筋梗塞の明確な既往があり、
血液中のLDLコレステロールは130mg/dL未満と、
それほどの上昇はない患者さんを対象として、
スタチンの上乗せ効果を検証したものですが、
そこで登録された9509名の中央値で4.9年という観察期間中の、
体重の変動幅と虚血性心疾患の予後との関連が検証されています。

その結果、
他の心血管疾患の危険因子や平均体重、体重の変化量で補正した結果として、
体重変動の標準偏差が1増加する(つまり体重の数値のばらつきが大きくなる)毎に、
狭心症や心筋梗塞のリスクが4%、
その死亡リスクが9%、
それぞれ有意に増加していました。

体重の変動の大きさを5分割すると、
最も変動が大きい群の平均の変動幅は3.86キロで、
最も変動の少ない群(平均の変動幅0.93キロ)と比較して、
狭心症や心筋梗塞のリスクが1.64倍(95%CI;1.41から1.91)、
心血管疾患のリスクが1.85倍(95%CI;1.62から2.11)、
死亡リスクが2.24倍(95%CI;1.74から2.89)、
心筋梗塞単独のリスクが2.17倍(95%CI;1.59から2.97)、
脳卒中のリスクが2.36倍(95%CI;1.56から3.58)、
糖尿病の新規発症のリスクが1.78倍(95%CI;1.32から2.40)、
それぞれ有意に上昇していました。

このように体重の大幅な変動は、
それ自体が独立した心血管疾患のリスクである可能性が、
心筋梗塞や狭心症の患者さんで示されたことは、
体重などの生活指導に当たるスタッフにとっては重要な知見で、
一部で流行っているような短期間で急激なダイエットは、
その後のリバウンドのリスクも考えると、
こうした患者さんでは推奨されないということは、
認識をしておくことが重要だと考えられます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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