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「リップヴァンウィンクルの花嫁」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも、
石原が外来を担当する予定です。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はまずこちら。
リップヴァンウィンクルの花嫁.jpg
昨年の春に公開された岩井俊二さんの新作映画が、
先日1回のみ品川のシネコンで上映されました。

これは評価が高かったのですが、
昨年見逃がしていたので、
これはチャンスと思って映画館に足を運びました。

岩井俊二監督の作品は、
「Love Letter」と「スワロウテイル」しか観ていないので、
あまり良い観客ではありません。
両方ともヒットした作品ですが、
正直あまりピンとはきませんでした。

ただ、今回の作品はとても面白くて、
特に前半の1時間半くらいは目がスクリーンに釘付けになり、
作品世界に完全にのめり込みました。

主人公の黒木華さんが次々と理不尽な不幸に襲われるのですが、
先の読めない展開が斬新で、
ディテールも演出も面白く、
岩井俊二さんは天才ではないかしら、
と思いを新たにしました。

実際にはここまでが前置きで、
そこから本筋の「リップヴァンウィンクルの花嫁」の話に入るのですが、
本筋も確かに面白いものの、
バランス的にやや長過ぎる感じがするのと、
そこまで黒木華さんの「移動」で見せる物語が、
本筋に入ると謎のお屋敷という場所に固定されるので、
物語が少し弾まなくなるのです。
ただ、Coccoさんの最後のモノローグは、
凄まじくも素敵でした。

「コンビニへ行くと、自分が選んだ品物を、自分のためだけに、袋に詰めてくれていて、それを見るだけで世界の優しさに身体が壊れそうになる。それがつらいのでお金で物を買うのだ。世界が幸せで満ちているので耐えられなくなる」
というようなことを例の調子で言うのですが、
とてもとても素敵で衝撃的で、
こちらまで幸せな世界に耐えられなくて死にそうな気分になるのです。

その後の皆で裸になって泣いたりするのは、
ちょっと余計に感じました。

岩井俊二さんの独特の世界ですが、
今回の作品はこなれていて分かりやすく、
入り込みやすい作品でした。
プロの役者さんが主体のキャストですが、
それでいて全編がドキュメンタリーや素人の記録映像の様に撮られています。
独特の空気感の映像と、
わざわざ隠しカメラみたいな位置からのアングルが、
無造作に見えて極めて技巧的で完成度が高く、
そうかと思うと実際に隠しカメラの映像だった、
という落ちまで用意されています。
黒木華さんが全てを捨てて彷徨うところでは、
一転して非常に美しい都会の廃墟が、
スクリーン一杯に広がるのです。
実に素晴らしいバランス感覚でした。
2人の花嫁を上から撮った長いワンカットも、
勿論最高です。

役者は黒木華さんが振幅の大きな受けの演技で素晴らしく、
Coccoさんも存在全体を画面に残し、
また綾野剛さんの得体の知れない心地良い存在感も抜群でした。

テーマには重く暗い部分もあるのですが、
どんな苦境でも平然と生きることしか選択肢にない、
黒木さんの生き様が一筋の光として利いていて、
これは岩井監督の「こんな世界でも貪欲に生き続けろ」
という強いメッセージだと感じました。

ちょっと長過ぎることを除けば、
文句のつけようのない傑作で、
最近詰まらない映画を何本も観てしまったので、
本当に清々しく心に残りましたし、
この作品を大きな映画館の大スクリーンで観られて、
本当に幸せでした。

それでは2本目の映画記事に続きます。
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