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リラグルチドの非アルコール性脂肪性肝疾患改善効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
リラグルチドの肝臓脂肪減少効果.jpg
今年のJ Clin Endocrinol Metab 誌に掲載された、
糖尿病治療薬により脂肪肝を改善する試みについての論文です。

肝機能障害が命に関わるのは、
肝硬変や肝臓癌になった場合で、
その原因としてはB型肝炎やC型肝炎による慢性肝炎や、
アルコール性肝障害が知られています。
ただ、最近それ以外で注目されているのが、
アルコールを飲まないのに脂肪肝や脂肪肝炎を発症し、
中には肝硬変に至り肝臓癌を合併する事例もある、
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)です。

この非アルコール性脂肪性肝疾患の治療には、
今の時点で確実と言われる方法が認められていませんが、
最近注目されている治療薬の1つが、
2型糖尿病治療薬であるGLP1アナログの使用です。

GLP1アナログはインクレチン関連薬と呼ばれる注射薬で、
インスリン抵抗性の改善作用もあり、
また体重減少効果のあることで、
肥満症の治療薬としても研究が進められています。

メカニズムは必ずしも明確ではありませんが、
これまで動物実験や少数例の臨床研究において、
GLP1アナログの使用により非アルコール性脂肪肝炎の状態が、
改善したという報告が複数存在しています。
ただ、例数は概ね10例程度と少なく、
糖尿病とそうでない患者さんとが混在しているなど、
その効果を実証するにも充分なものとは言えませんでした。

そこで今回の研究では、
2型糖尿病でメトホルミンなどの治療を行なっていても、
HbA1cが7%を超えている患者さんに対して、
GLP1アナログであるリラグルチド(商品名ビクトーザ)を、
1日1.2mg皮下注で使用し、
半年間の経過観察を行っています。
対象者は68名でこれまでで最も大規模なものです。
問題は脂肪肝の改善をどのように計測するかですが、
これまでの研究では肝生検を行って、
直接細胞の状態を比較しているのですが、
今回は使用前後でMRスペクトロスコピーという検査を行い、
非侵襲的に肝細胞の脂肪含量を測定して、
その比較を行っています。
これは非アルコール性脂肪性肝疾患を確認している訳ではないのですが、
肝障害の指標であるALTは、
対象者では平均で45.9とやや上昇はしています。

その結果、
リラグルチドの治療により、
その前後で体重は減少してHbA1cは低下、
肝障害の指標であるALTも有意に低下して、
それに伴い肝臓の脂肪含量は31%有意に低下していました。
この脂肪含量の低下は、
対象者の年齢、体重減少、
ララグルチド使用前の脂肪含量との相関が認められ、
リラグルチドによる体重減少が認められなかった患者さんでは、
脂肪含量の有意な減少も認められませんでした。

要するに、
2型糖尿病の患者さんにリラグルチドを使用すると、
非アルコール性脂肪性肝疾患のあるケースでも、
肝細胞内の脂肪含量の低下が認められるのですが、
それは主に体重減少に伴うものの可能性が高そうだ、
と言う結果になっています。

GLP1アナログは肥満や脂肪肝の改善にも、
一定の効果があることは間違いがなさそうですが、
その効果はそれほど著明と言えるほどのものではなく、
高価な注射薬であるという点も考えると、
その適応をどうするかは、
慎重な判断が必要であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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