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PCSK9遺伝子のメンデル無作為化解析 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
PCSK9阻害剤とメンデル遺伝子解析.jpg
今年のLancet Diabetes Endocrinology誌に掲載された、
PCSK9阻害剤というコレステロール降下剤の新薬と、
2型糖尿病リスクとの関連を、
遺伝子変異を活用した解析法により、
検証した論文です。

これは昨年の12月に同様の論文が、
New England…誌に掲載されていて、
その時にブログ記事にしています。

今回の研究も昨年の論文を補足するような内容で、
ほぼ同一の結論に至っています。

つまり、これはほぼ事実となったと考えて良さそうです。

コレステロール降下剤としては、
長くスタチンというタイプの薬剤が主流でした。
スタチンはコレステロール合成酵素の阻害剤で、
その作用は強力で安定しており、
心血管疾患の予防効果のあることも実証されています。

ただ、幾つかの有害事象があることも知られています。

そのうちの1つが、新規2型糖尿病発症リスクの増加です。

遺伝子の解析からは、
この血糖上昇はスタチンによるコレステロール合成酵素の阻害それ自体と、
リンクしていることがほぼ明らかになっていて、
その意味では解消することは困難な有害事象です。

最近スタチンと同じような有効性を持つ、
コレステロール降下剤の新薬として、
PCSK9阻害剤という注射薬が発売されました。

スタチンが肝臓でのコレステロール合成を阻害する薬であったのに対して、
このPCSK9阻害剤は、
細胞へコレステロールを取り込むのに必要な、
LDL受容体を増やす、
というメカニズムの薬です。

PCSK9というのは、
LDL受容体を分解する酵素なので、
それを阻害することによって、
LDL受容体は増加し、
それによりコレステロールがより多く細胞に利用されて、
血液中のコレステロールが低下する、
という仕組みです。

この薬は注射薬として、
2週間から4週間に一度皮下注射として行われ、
従来のスタチンより強力に、
LDLコレステロールを低下させることが確認されています。

それでは、PCSK9阻害剤とスタチンとを比較した時、
糖尿病の発症リスクには、
どのような違いがあるのでしょうか?

PCSK9阻害剤の臨床データはまだ限られていて、
長期成績や長期の安全性はまだ確立されていません。

そこで今回の研究では、
PCSK9阻害剤のターゲットである、
PCSK9遺伝子の変異を解析することにより、
その検証を行っています。
遺伝性変異のあるなしは無作為に決められているとして、
その比較を行う、
メンデル無作為化解析という手法です。

その結果、
今回の検討においても、
PCSK9遺伝子の変異により、
LDLコレステロールが低くなると、
それにリンクして空腹時血糖が増加し、
体重も増加して、
海外のメタボの基準であるウエスト・ヒップ比も増加していました。
コレステロールが38.7㎎/dL低下するごとに、
1.6mg/dLの血糖上昇が起こるリスクがあると計算されています。

つまり、PCSK9阻害剤を使用するということ自体で、
矢張りスタチンと同じように、
糖尿病のリスクはやや増加する可能性が高い、
と想定をしておいた方が良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

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