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偏桃体の活性化と心血管疾患との関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ストレスによる動脈硬化進行のメカニズム.jpg
今年1月のLancet誌にウェブ掲載された、
ストレスによる脳の反応と、
身体の反応との関連を検証した論文です。

慢性のストレスが動脈硬化を進行させ、
心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクとなることは、
多くの疫学データで実証された事実です。

しかし、このストレスの実体とは何でしょうか?

また、脳が感じたストレスが、
どのような経路で身体の血管に影響を与えるのでしょうか?

そうした点の詳細は、
実はまだほとんど分かっていません。

身体が不安や恐怖を感じると、
情動に関わる脳の一部である、
偏桃体と言われる部位が活性化します。
周辺の血流が増加し、細胞へのブドウ糖の取り込みが増し、
神経回路の電気的な興奮も高まります。
これは実際に機能性MRI検査やPET検査で、
確認出来る事項です。

また動物実験においては、
ストレスにより骨髄の造血能は活性化して、
血管の炎症が亢進することが認められています。

そこで、今回の研究では、
ストレスによる偏桃体の活性化が、
身体のストレス反応に繋がっているという仮説の元に、
機能性MRIとPET検査による偏桃体の活性化と、
PET検査によって計測された、
血管の炎症と骨髄の造血能との関連を検証しています。

対象は30歳以上で心血管疾患のない293名の男女で、
中央値3.7年の観察期間のうちに、
そのうちの22名が心血管疾患に罹患しています。

計測された偏桃体の活性化は、
動脈の炎症と骨髄活性と有意な相関を示しました。
また、心血管疾患のリスクと偏桃体の活性化との間にも、
有意な関連が認められました。

その関連を図示したものがこちらです。
ストレスで動脈硬化の起こるメカニズムの図.jpg
心理的なストレスは脳偏桃体を活性化させ、
それが交感神経系の興奮を介して、
血管の炎症の要因となります。
また、それとは別個の経路によって、
骨髄の活性化も惹起されるのです。

まだ詳細は不明な点が多いのですが、
これまであまり数値的な指標が存在しなかったストレス反応において、
非観血的な手法により、
偏桃体の活性化の程度でそれが検証可能であるとすれば、
その指標としては非常に有用であると考えられ、
今後の知見の蓄積に期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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