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2型糖尿病へのGLP1アナログとSGLT2阻害剤の併用療法 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
SGLT2とGLP1の併用.jpg
今月のLancet diabetes&endocrinology誌にウェブ掲載された、
近年注目されている2種類の糖尿病治療薬の、
併用治療の効果を検証した論文です。

これはアストロゼネカ社がお金を出して、
発売している2種類の薬剤の併用効果を、
厳密な方法で検証した臨床試験の結果です。

2型糖尿病の治療における、
国際的な第一選択薬はビグアナイト系のメトホルミンです。

メトホルミン単剤でHbA1cが7.0%未満にならない時には、
そこに他の薬剤を上乗せで使用することになります。

現行のガイドラインにおいては、
上乗せする薬剤には特に序列は設けられていません。

HbA1cを極力正常化することを目標と考えると、
血糖降下作用が強力であるのは、
飲み薬のSU剤と注射薬のインスリンです。

しかし、このいずれかをメトホルミンに上乗せして治療を行なうと、
高率に低血糖が有害事象として起こります。
そして、メタ解析の結果などを見ると、
インスリンやSU剤の使用は、
長期的に患者さんの生命予後を改善せず、
心血管疾患のリスクも減少はさせていません。
内臓肥満は2型糖尿病の大きな要因の1つですが、
インスリンやSU剤を使用すると、
高インスリン血症により内臓肥満はむしろ悪化します。

HbA1cは低下しても、体重は増加して、
生命予後や心血管疾患のリスクは改善しない、
というのが2型糖尿病の治療における、
大きな問題として残っているのです。

最近、比較的新しい糖尿病治療薬である、
GLP-1アナログのリラグルチドと、
SGLT2阻害剤のエンパグリフロジンが、
いずれもメトホルミンへの上乗せにより、
心血管疾患のリスクの低下と、
生命予後の改善を認めたとするデータが発表されました。
いずれも厳密な手法を用いた臨床試験で、
その真偽を含めて非常に注目を集めました。

この両者の薬剤は、
そのメカニズムは異なりますが、
いずれも体重減少をもたらす効果もあります。
また、低血糖も来たしにくいという特徴があります。

それでは、
このGLP-1アナログとSGLT2阻害剤を併用したら、
より相乗的な改善効果が得られるのではないでしょうか?

今回の研究は、
GLP-1アナログのエキセナチド(パイエッタ、ビデュリオン)、
SGLT2阻害剤のダパグリフロジン(フォシーガ)という、
両者の薬剤を持つアストラゼネカ社が、
それぞれをメトホルミンに単独で上乗せした場合と、
両者を併用して上乗せした場合との、
効果と安全性を比較したものです。

製薬会社主導の臨床試験である点は、
少し割り引いて考える必要があるのですが、
厳密な手法を用いた多施設の介入試験であり、
今後のメタ解析などの素材としても意義のあるものだと思います。

世界6カ国の109の専門施設において、
18歳以上の2型糖尿病の患者さんで、
メトホルミンを1日1500mg以上使用していても、
HbA1cが8から12%とコントロールが不良である695名の患者さんを、
患者さんにも主治医にも分からないように、
くじ引きで3つの群に分け、
第1のグループは週1回のGLP1アナログの皮下注射
(商品名ビデュリオン)と、
毎日1回内服のSGLT2阻害剤(商品名フォシーガ)を併用し、
第2のグループはGLP1アナログのみを使用し、
第3のグループはSGLT2阻害剤のみを使用します。
単剤のグループでは偽薬や偽の注射液を使用して、
どちらのグループであるのかが、
分からないように調整するのです。

薬剤の使用量は、
ビデュリオンが週に2mgの皮下注で、
フォシーガが1日10mgの内服です。
いずれも日本での使用可能な用量設定です。
(ビデュリオンは基準量で、フォシーガは上限量)

経過観察期間は28週間です。

その結果…

メトホルミン単独での平均HbA1cは9.3%です。
それがGLP1アナログとSGLT2阻害剤の併用群では、
使用前より2.0%(-2.1から-1.8)低下し、
GLP1アナログ単独群では1.6%(-1.8から-1.4)、
SGLT2阻害剤単独群では1.4%(-1.6から-1.2)、
それぞれ有意に低下しました。

併用療法により観察期間終了時に、
45%の患者さんが、
目標であるHbA1c 7.0%未満に達しており、
食前および食後血糖は有意な低下を示し、
33%の患者さんでは、
体重は5%以上減少していました。
これらの変化は、
単独群より有意に良好なものでした。

いずれの群においても、
重篤な低血糖は発症せず、
主な有害事象は、
GLP1アナログの使用では、下痢、吐き気、
接種部位のしこり、
そしてSGLT2阻害剤では尿路感染症でした。

これまでGLP-1アナログが良いと言っても、
主なデータはリラグルチドのみで、
SGLT2阻害剤が良いと言っても、
主なデータはエンパグリフロジンのみでしたから、
今回別個の広く使用されている2種の薬剤において、
その併用の効果と安全性が、
確認されたことの意義は大きいと思います。

ただ、これは心血管疾患のリスクや、
生命予後に踏み込んだデータではないので、
それについてはおそらく今後発表される、
追加の研究結果を待ちたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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