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非機能性副腎腫瘍と糖尿病のリスクについて [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ノンファンクショニングアデノーマと心血管疾患リスク.jpg
今月のAnnals of Internal Medicine誌に掲載された、
ホルモン分泌が確認出来ないタイプの副腎腫瘍と、
糖尿病や心血管疾患リスクとの関連についての論文です。

副腎腫瘍には、
アルドステロンを分泌する原発性アルドステロン症や、
ステロイドを分泌するクッシング症候群、
カテコールアミンを分泌する褐色細胞腫などの、
ホルモン産生腫瘍があることが知られていますが、
比率から言うと、
副腎腫瘍の多くはホルモンの過剰な産生を確認出来ない、
非機能性の腫瘍です。

腹痛などの時や人間ドックなどの時に、
お腹のCTやMRIを撮るという機会が増えたので、
偶然に副腎腫瘍が診断されるというケースが増えました。

これまで報告された統計によれば、
人口の1から10%は副腎腫瘍を持っていて、
その比率は高齢になると増加します。
ホルモン産生腫瘍と診断されるものは、
その極一部なのですが、
一方で非機能性副腎腫瘍の約10%では、
臨床的にクッシング症候群と診断はされないレベルの、
軽度のステロイドホルモン(糖質コルチコイド)を分泌している、
という推計が存在しています。

この軽度のホルモンの過剰や日内変動の乱れは、
健康上に何か有害な作用を持つのでしょうか?

その根拠は現時点では明確ではないのですが、
少数例での検討としては、
コントロールと比較して非機能性副腎腫瘍を持っている人で、
インスリン抵抗性などの、
心血管疾患のリスクが高い傾向が認められた、
というものがあります。

確かに軽度のステロイドの過剰であっても、
糖質や脂質の代謝異常の要因となり、
心血管疾患や糖尿病のリスクになることは想定が可能です。

今回の研究ではアメリカの医療機関グループのデータを活用して、
腹部のCTもしくはMRIで副腎腫瘍の有無を同定可能な被験者を登録し、
166名の非機能性副腎腫瘍と診断された患者さんを、
副腎腫瘍のない740名のコントロール群と比較して、
最低でも3年間の経過観察を行い、
腫瘍の有無と心血管疾患や糖尿病のリスクとの関連を検証しています。

その結果…

副腎腫瘍のない人と比較して、
非機能性副腎腫瘍のある患者さんでは、
糖尿病の発症リスク(2型糖尿病と前糖尿病状態との合算)
が1.87倍(1.17から2.98)有意に増加していました。
前糖尿病状態(HbA1cが5.7から6.4%)のリスクも、
副腎腫瘍のある患者さんで、
3.19倍(1.83から5.59)有意に増加していました。
一方で高血圧や脂質異常症、
心血管疾患や慢性腎臓病のリスクには、
有意な増加は認められず、
2型糖尿病のみのリスクも有意な増加は示していませんでした。

ここでステロイドホルモンの数値は、
デキサメサゾン抑制テストにより正常に抑制されるものの、
尿中の遊離コルチゾールが正常より高めのものを、
潜在性ステロイド過剰症と定義すると、
非機能性副腎腫瘍よりも、
潜在性ステロイド過剰症における糖尿病発症リスクは、
より高いことが確認されました。

要するに、
非機能性副腎腺腫の中には、
軽度ではあれステロイドホルモンの過剰分泌が、
存在している事例が多いので、
何もない人よりは、
糖尿病の発症リスクが高いということが想定されるのです。

仮にそうであるからと言って、
抜本的に原因を治療する方法はないので、
臨床的には難しいところですが、
ホルモン産生はない副腎腫瘍とは考えられても、
糖尿病の発症リスクは高い可能性を想定して、
定期的な血糖やHbA1cのチェックは、
しておくと共に、
生活改善には日々留意する必要はありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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