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ホルモン補充療法で認知症は予防出来るのか? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
閉経後ホルモン補充療法と認知症.jpg
今月のNeurology誌に掲載された、
女性ホルモン補充療法による認知機能への影響についての論文です。

女性には更年期があり、
女性ホルモンの急激な低下により、
発汗や頭痛、のぼせなどの多くの不快な症状が起こります。
そうした症状が強い場合には、
女性ホルモンの補充療法が行われます。
補充療法により、こうした更年期症状の多くは軽減されます。

女性ホルモンと認知機能との関連については、
多くの報告があります。
その影響は一定していませんが、
女性ホルモンの大きな変動があれば、
認知機能の低下を招く可能性のあることは、
ほぼ間違いがないようです。

その意味で女性ホルモンが急激に低下する更年期は、
認知機能にも悪影響を与えることが想定されます。

それでは、更年期以降の女性にホルモン補充療法を行なうと、
その後の認知機能の低下が予防されるのではないでしょうか?

そうした仮定の元に、
複数の臨床試験が行われましたが、
明確な認知症予防効果が確認されたものはありません。

ただ、これまでの臨床試験の多くは、
高齢の女性を対象としていて、
もっと若年で閉経からそれほど経たない時期であれば、
その効果があるのではないか、
という指摘が以前からありました。

その問題を検証する目的で、
今回の研究では、
閉経から6年以内か、
もしくは10年以上経過している、
41から84歳の女性トータル567人を、
本人にも担当医にも分からないようにくじ引きで2群に分け、
一方は女性ホルモン製剤
(17βストラジオールを1日1ミリグラム)
を使用、
もう一方は偽薬を使用して、
2.5年と5年の段階で両群を比較検証しています。

その結果…

閉経後6年以内の群においても、
閉経後10年以上の群においても、
女性ホルモンの補充の有無と、
認知機能の低下との間に、
有意な差は認められませんでした。

今回の結果においては、
閉経後それほど経たない時期から使用を開始しても、
女性ホルモン補充療法に、
明確にその後の認知機能の低下を予防するような効果は、
数年という経過では確認されませんでした。

ただ、アルツハイマー病は、
老人斑や神経原線維変化から、
10年以上の経過を経て症状が発症するような性質のものなので、
閉経後間もない時期からの長期のホルモン補充療法により、
将来の認知症の予防に繋がる可能性は、
まだ否定はされてはいないように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 2

ラララ

先生こんにちは。更年期障害で足ががすくんで身の縮むような不安感や認知機能低下が強くなり、ホルモン補充療法を始めて1ヶ月経ちます。症状はかなり楽になりました。
頭が回らない、気力か無くなると仕事に支障が出て辛く、毎日泣きたかったです。
子宮内膜症治療でピルを飲んでいたので、女性ホルモンのバランスは崩さないと思い込んでいて、この2年ほどの不調の原因を見逃してました。50歳手前になり、内膜症も治っているのでピルをやめたところ、一気に症状が強くなり、血液検査で閉経段階とわかりました。
甲状腺機能低下での認知機能低下も経験してますが、女性ホルモンについては無知過ぎました。一昨年に脳検査を勝手に受けたりして、勘違いもいいところでした。婦人科の主治医に相談すれば、もっと早く楽になれたのだと思います。
by ラララ (2016-07-25 20:44) 

fujiki

ラララさんへ
コメントありがとうございます。
ホルモン補充療法の適応は難しいところもありますが、
症状が改善されて良かったと思います。

by fujiki (2016-07-28 07:52) 

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