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タランティーノ「ヘイトフル・エイト」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。
何もなければ1日家で過ごす予定です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ヘイトフルエイト.jpg
タランティーノの新作が比較的地味に公開されました。
感想など読むと「詰まらなくて長い」、
というものが多かったので、
どうしたものかな、と思っていたのですが、
実際に観た人から話を聞くと、
「最近のタランティーノでは一番面白かったよ」
と言われたので、
急遽観ることにしました。

観た感想としては、
初期の「レザボア・ドックス」と「パルプ・フィクション」を、
ミックスしたような作品で、
「遊星からの物体X」を換骨奪胎した後半になると、
とてもワクワクしながら観ることが出来ました。

タランティーノ好きには、
まずはお薦めしたいと思います。

ただ、確かに上映時間は長くて、
話が転がるまでが2時間近くあるので、
さすがにもう少し切り詰めるべきではないかと感じましたが、
この常識外れなところも、
ある意味タランティーノらしいと思わなくもありません。

以下少しネタバレがあります。

タランティーノが仕掛ける密室ミステリー、
のような宣伝になっているのが、
ちょっとミスリードで良くないと思うのですが、
実際には前作と同じマカロニ・ウェスタンの世界で、
吹雪のロッジに閉じ込められた8人の男女が、
血みどろの殺し合いを演じ、
全員が結局死亡して終わりになります。

元ネタはカーペンターの「遊星からの物体X」です。
これはSFサスペンス仕立てのグランギニョールの傑作で、
雪に閉じ込められた南極基地という設定が、
吹雪のロッジに変換され、
そこで捨て身になったカート・ラッセルが、
ライフルを構えて、
誰がエイリアンの変身であるのかを詰問する場面が、
サミュエル・L・ジャクソンが、
矢張り銃を構えて、
他ならぬカート・ラッセルを殺した犯人が誰かを、
詰問する場面に変換されています。

前半は本当に淡々と進むのですが、
コーヒーに毒が混入されたことが、
ナレーションで示されたところから緊迫が高まり、
2人の男が盛大に血を吐いて倒れると、
タランティーノお馴染みの、
残酷暴力絵巻が開幕します。

クライマックスに畳み込むと思うところで、
一旦時制が巻き戻されます。

これもお馴染みのタランティーノ・マジックですが、
巻き戻しのタイミングは絶妙で、
殺されたり、あっさりと殺されかかったりしている面々が、
元気にいっぱしの悪党を、
喜々として演じる姿が挿入されることで、
人間の儚さが漂い、
生と死が逆転したような不思議なムードが高まります。

多くの過去作品をモチーフにしながら、
こうした時制を操る巧さは、
さすがタランティーノだと思います。

閉じ込められる8人は、
1人を除いて同情の余地のない悪党ばかりで、
一般庶民は物語の開幕前に皆殺しにされています。
微妙な1人は北軍の将軍を演じるボケ老人ですが、
彼は一番恰好良く、
血みどろ残酷劇が始まる前に処刑されます。

観ている僕らは、
最初に既に殺されているような立ち場なのですが、
ある種神の視点になって、
その後の残酷絵巻を見守る他はないのです。

これがタランティーノの傑作であるかは、
微妙なところで、
どちらかと言えば目立たない地味な作品に分類されると思いますが、
それでも立派にカルトにはなっていて、
また何度か見直したい魅力には満ちているのです。

最後に上映環境についての不満ですが、
上映されている劇場はビスタサイズにしか対応しておらず、
70ミリフィルムで撮影されているのに、
テレビでシネスコ画面を観るのと同じ、
上下の切れた画面での上映になっていました。

昔フィルムの映画館では、
シネマスコープや70ミリの映画では、
ガーと横に画面が広がって、
それだけでワクワクしたものなのですが、
今の映画館の多くでは、
シネスコは上下がビスタサイズより小さくなってしまうので、
画面が横に大きく広がるということがなく、
とてもガッカリしてしまいました。

こんなことで良いのでしょうか?

それでは今日はもう1本映画の記事が続きます。
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