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SGLT2阻害剤の降圧作用について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
SGLT2阻害剤と血圧コントロール.jpg
今月のLancet Diabetes Endocrinology誌に掲載された、
SGLT2阻害剤という糖尿病治療の新薬の、
血圧降下作用とその臨床応用を検証した論文です。

2型糖尿病の治療において、
最近注目を集めている新薬が、
SGLT2阻害剤です。

この薬は腎臓の近位尿細管において、
ブドウ糖の再吸収を阻害する薬で、
要するにブドウ糖の尿からの排泄を増加させる薬です。

この薬を使用すると、
通常より大量の尿が出て、
それと共にブドウ糖が体外に排泄されます。

これまでの糖尿病の治療薬は、
その多くがインスリンの分泌を刺激したり、
ブドウ糖の吸収を抑えるような薬でしたから、
それとは全く別個のメカニズムを持っているのです。

確かに余分な糖が尿から排泄されれば、
血糖値は下がると思いますが、
それは2型糖尿病の原因とは別物で、
脱水や尿路感染の原因にもなりますから、
あまり本質的な治療ではないように、
直観的には思います。

しかし、最近この薬の使用により、
心血管疾患の発症リスクや総死亡のリスクが有意に低下した、
というデータが発表されて注目を集めました。

こうした効果が認められている糖尿病の治療薬は、
実際には殆ど存在していなかったからです。
実際に使用されているのは、
SGLT2阻害剤の1つである、
エンパグリフロジン(商品名ジャディアンス)です。

SGLT2阻害薬のもう1つの特徴は、
血圧の低下作用のあることです。

この薬は一種の利尿剤のようなものですから、
血圧が降下することはある意味当然ですが、
2型糖尿病の患者さんの多くでは、
高血圧を合併していますから、
血糖と共に血圧を降下させる作用のあるSGLT2阻害剤は、
一石二鳥という面があります。

更に2型糖尿病の高血圧治療において、
第一選択に位置付けられる、
ACE阻害剤やARB、更にはサイアザイド系の利尿剤は、
血液のカリウムを上昇させたり低下させたりと、
電解質異常の原因となるのに対して、
SGLT2阻害剤はそうした副作用はないと考えられています。

それでは、
通常の高血圧と糖尿病の治療を受けている患者さんに対して、
SGLT2阻害剤を上乗せすることで、
血圧にどのような影響が現れるのでしょうか?

今回の研究においては、
世界16カ国の311の専門施設において、
2型糖尿病の治療を受けているものの、
HbA1cが7.0%以上と不充分なコントロールで、
血圧も上が140以上で下が85以上と上昇している、
トータル449名の患者さんを、
本人にも主治医にも分からないように、
くじ引きで2つのグループに分け、
一方はダパグリフロジン(商品名フォシーガ)という、
SGLT2阻害剤を1日10ミリグラム使用し、
もう一方は偽薬を使用して、
12週間の経過観察を行なっています。

このダパグリフロジンの使用量は、
日本でも使用が認められている用量です。

その結果…

偽薬と比較してダパグリフロジンの使用により、
収縮期血圧は平均で4.28mmHg有意に低下し、
HbA1cも0.61有意に低下しました。

ベースに使用されていた降圧剤の種類による治療効果では、
βブロッカーやカルシウム拮抗薬への上乗せは有効性が高く、
その一方で利尿剤への上乗せでは、
あまり血圧の降下が認められませんでした。

有害事象では、
ダパグリフロジンの使用において、
尿路感染や脱水、腎機能の低下が認められましたが、
その頻度はそれほど高いものではなく、
トータルには有害事象に偽薬と差はありませんでした。

要するに高血圧を合併する糖尿病の患者さんにおいては、
両者のコントロール不充分な場合に、
SGLT2阻害剤を上乗せすることで、
血圧、血糖双方に良い影響が期待出来、
特に利尿剤で電解質異常などの副作用が生じるような患者さんでは、
その代わりに使用することのメリットが大きい、
という結果です。

最近SGLT2阻害剤には良い報告が続いています。

ただ、この薬は、
グルカゴンを増加させるような働きがあり、
糖尿病の病態からすると、
それではまずいのではないか、
という危惧が個人的には拭い切れません。

今後の知見の積み重ねに注視したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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