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潜在性甲状腺機能低下症の認知症発症リスクについて [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
潜在性甲状腺機能低下症と認知症.jpg
今年9月のJ Clin Endocrinol Metab.誌にウェブ掲載された、
潜在性甲状腺機能低下症と認知機能との関連についての論文です。

甲状腺機能低下症が認知機能に影響を与え、
高齢者の高度の甲状腺機能低下症が、
しばしば認知症と誤診されることは、
良く知られた事実です。

それでは、
甲状腺刺激ホルモンは少し上昇しているけれど、
まだ甲状腺ホルモンの数値自体は低下はしていない、
所謂潜在性甲状腺機能低下症でも、
認知機能に影響を与えるのでしょうか?

この問題については、
必ずしも明確な結論が得られていません。

潜在性甲状腺機能低下症が、
明確に将来の認知症のリスクになるのであれば、
特に他に症状はなく、
甲状腺刺激ホルモン(TSH)の上昇は軽度であっても、
ホルモン剤の補充を行なった方が、
認知症の予防になるかも知れません。

しかし、その一方で、
高齢者における軽度のTSHの上昇は、
生命予後には良い影響があり、
むしろ低めであることが心血管疾患などのリスク増加に繋がる、
という複数の知見が存在しています。

このために、
高齢者のTSHの基準値は、
少し高く設定することが望ましいとされています。

ただ、こうしたデータは、
患者さんの生活の質にまで踏み込んだものではないので、
TSHの軽度の上昇が、
認知機能に悪影響を与える影響が、
全て否定はされているという訳ではないのです。

今回の研究では、
これまでの主だったこの分野の論文を、
まとめて解析する手法で、
潜在性甲状腺機能低下症と認知機能との関連性を検討しています。

13のこれまでの臨床試験のデータを、
まとめて解析した結果として、
75歳より若い年齢においては、
5から10程度の軽度のTSHの上昇が、
認知症の発症リスクを、
1.81倍(1.43から2.28)有意に増加させていました。
 
しかし、全年齢での解析では、
そうした傾向は有意には認められませんでした。

つまり、
75歳以前においては、
なるべくTSHは基準値範囲(概ね4以下くらい)であった方が、
その後の認知機能にも良い影響が期待出来る可能性がありますが、
75歳以降では、そうした傾向は消失していて、
この年齢層においては、
TSHは10を超えないレベルであれば、
特に認知症に影響しない、
と考えて大きな問題はなさそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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