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医療事故調査制度について [仕事のこと]

こんにちは。
石原藤樹です。

本日から北品川藤クリニックが開院します。
数日は電子カルテなど新しものづくめなので、
お待たせすることが多いと思います。
どうかご了承下さい。

10月1日から北品川藤クリニックは開院しますが、
今年の9月から10月に掛けては、
医療行政においても、
節目となる幾つかの変化があります。

そのうちの1つは、
今年の10月1日から、
新しい医療事故調査制度が始まる、
ということです。

これは去年の6月18日に成立した、
医療法の改正の中に含まれているもので、
それが今年の10月から実際に行われることになったのです。

医療には予期しない急変や死亡は付き物です。

病院に入院中や治療後の急死は、
患者さんの体に、
何らかの急な変化が起こったためかも知れませんし、
薬などの治療の副作用であったり、
医者の処置に問題のあった可能性もあります。

医者にとっても、
何故患者さんが急変したのか、
ということはとても知りたいことですし、
もし自分の治療や処置に問題があったのであれば、
それを知ることは、
その患者さんにとっては残念ながら手遅れですが、
今後そうした患者さんを出さないために、
重要な情報になります。

これまでの制度では、
こうしたケースは「異状死」とされ、
警察へ届け出ることが義務付けられていました。

しかし、
全ての予期せぬ死亡が「異状死」ということになると、
警察も全てに対応は出来ませんし、
警察の捜査が入れば、
それが医療のミスによる犯罪である、
というイメージがあるので、
遺族は医者に対して不信を持ちます。

また、
医療機関もおおごとになることを嫌うので、
結果として届出はせずにうやむやにすることが多くなります。

これが後から問題となって、
遺族の訴えで警察が捜査に入り、
医療機関が警察への届けをしなかったことが、
犯罪であるとして処罰の対象になるような事例が、
多く起こるようになりました。

これではいけないということで、
決められたのが今回の制度です。

異状死の届出自体は残っているのですが、
犯罪の疑われるようなケース以外は、
届出は不要と運用が変わり、
その代わりに医療機関や医師(管理者)が、
原因不明の急死で医療の関与も否定出来ないケースを、
「医療事故」と認定。
事故の原因調査を医療機関で行なうとともに、
第三者機関である「医療事故調査・支援センター」への報告を行います。

このセンターというのは、
当面は医師会や大学病院などに、
部署が設けられるということのようです。

このセンターは医療機関に対しては、
事故の調査のサポートを担い、
遺族に対しては、
相談の窓口となります。

院内での調査の結果は、
遺族に説明され、
その後センターへも報告されます。

遺族からの依頼があれば、
センターが医療機関とは別個に
、独自の調査を行なうこともあります。

この制度は基本的には、
同じような「医療事故」の再発防止が主な目的になります。
医療機関や医師の責任追求が目的ではないのです。

その辺りのポリシーをどう考えるかが、
今回の仕組みを評価するかどうかのポイントになります。

予期せぬ医療と関わる可能性のある患者さんの急死の、
原因を追求することは、
患者さんの遺族にとっても、
医療機関や医師にとっても、
意義のあることは間違いがありません。

しかし、一番難しいのは、
その結果をどのような形で発表し、
記録に残すのか、ということで、
今回の仕組みでも、
その点が大きな議論となり、
院内調査については、
遺族への説明は口頭でも良いことになっています。

最初から患者さんの死に、
ご遺族が不信を持っている場合には、
勿論これで納得する筈がありませんから、
センターへの再調査が依頼されることになり、
その結果は報告書として交付されることになります。

その結果は、
そのまま医療過誤の訴訟にも直結しますから、
果たして何処まで踏み込んだ報告書が再調査で作成されることになるのか、
という点が一番のポイントと思われますが、
具体的な指針のようなものは、
まだないように思います。

センターは医師会や大学病院が担う、
ということになると、
医師会はこれまでも医療過誤の仲裁に当たっていた訳で、
それでも充分な解決が得られない事例が、
問題となって来た経緯がある訳ですから、
これまで以上に踏み込んだ結論に至るかは、
甚だ疑問に感じますし、
大学病院にそうした当事者能力があるのか、
という点も疑問に感じます。

院内調査には、
多くの費用やマンパワーが必要ですが、
そうした手当を国が殆どしてはくれない、
という点も充実した調査を端から困難にしているようにも思います。

制度が出来たことは、
一歩前進であることは間違いがありません。

しかし、
実際に運用される制度は、
かなり玉虫色の、
面倒なことには踏み込まず、
ただただ医療現場への負担を強要するだけの側面のあるものなので、
今後実際の事例において、
どのような報告がされ、
どのような経緯を辿るのかを、
注視する必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 5

AF冠者

開院おめでとうございます。病める患者を一人でも多くご援助くださいますよう切にお願い申し上げます。
by AF冠者 (2015-10-01 11:28) 

お名前(必須)

いつも読ませていただいております。30代女性ですが五年前二センチの腺腫様甲状腺腫が見つかり一昨年までは毎年検診にいっておりましたが変化なしということでいっておりません。自分でさわってみたところ特に変わらぬようなのですが検診にいった方がよいものなのでしょうか。またこのような腫瘍がある場合がんかする確率はない人と比べるとたかいのでしょうか。甲状腺の場合決まった検診等もくにからはないのでどんなものなのかなと思っております。
by お名前(必須) (2015-10-01 17:55) 

fujiki

AF冠者さんへ
ありがとうございます。
引き続きお読み頂ければ幸いです。
by fujiki (2015-10-02 09:47) 

fujiki

30代女性さんへ
これは難しいところで、
腺腫様甲状腺腫で、
特に甲状腺癌の発症が多い、
ということはないのですが、
全く何もない方よりは、
ややそのリスクは高いかも知れません。
ポイントはエコー所見にあり、
所見として悪性を疑わせるものがなければ、
数年に一度の経過観察くらいで、
問題はないように個人的には思います。
by fujiki (2015-10-02 09:50) 

30代女性

ありがとうございました。
甲状腺の検診により死亡率がむしろ上がり韓国でも甲状腺の検診はあまり効果を示していないというような記事を読み、むやみに検診をして過剰医療になりなるのもと考えておりました。ひとまずこのまま自分で観察しておこうと思います。ありがとうございました。
by 30代女性 (2015-10-02 10:05) 

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