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糖尿病治療薬SGLT2阻害剤によるグルカゴン上昇について [医療のトピック]

こんにちは。
石原藤樹です。

前職を先月末で退職し、
今10月1日の北品川藤クリニック開院に向けて、
バタバタと準備をしています。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
SGLT2阻害剤によるグルカゴン上昇論文.jpg
今年の4月のNature Medicine誌に掲載されたレターですが、
新しいメカニズムの糖尿病治療薬が、
糖尿病の原因の1つであるグルカゴンの上昇を招く、
という刺激的な内容です。

この問題は、
現象としてはこれまでにも報告されていたのですが、
今回はそのメカニズムにより踏み込み、
またネズミの実験のみならず、
脳死の患者さんから摘出された膵臓の細胞においても、
検証されている点が今回の文献のポイントです。
つまり、その臨床的な意義については、
今後の検討課題ですが、
こうした現象が人間において存在していること自体は、
ほぼ実証されたと言って良いと思います。

さて、現在最も力を入れて製薬会社が販売している糖尿病の治療薬は、
SGLT2阻害剤というタイプの飲み薬です。

SGLT2阻害剤とは、
どのようなタイプの薬でしょうか?

これは端的に言えば、
おしっこに出るブドウ糖を増やす薬です。

糖尿病という名前は、
尿にブドウ糖が出ることから名付けられています。

血液には一定の濃度のブドウ糖が含まれていますが、
糖尿病のない人ではおしっこにはブドウ糖は出ません。

これはどうしてかと言えば、
一旦腎臓の糸球体という濾紙のような場所を通過した尿の元が、
尿細管という管を通過する際に、
殆どのブドウ糖が再び吸収されて血液に戻るからです。

これを尿細管におけるブドウ糖の再吸収と呼んでいます。

このブドウ糖の再吸収を行なっているのが、
SGLT(ナトリウムイオン/グルコース共輸送体)です。

SGLTにはSGLT1とSGLT2の2種類があり、
尿細管にはその両方が分布していますが、
主に働いているのはSGLT2で、
SGLT1は尿細管でも弱い働きをしていると共に、
主に小腸でブドウ糖の吸収に大きな働きをしています。

糖尿病のない方では、
血液中のブドウ糖のほぼ100%が、
SGLT2とSGLT1の働きで、
尿細管から再吸収されるので、
殆ど尿には糖は出ません。
平均で大人の場合、
1日に180グラムのブドウ糖が、
糸球体で濾過された後に再吸収されるのです。
血糖値はせいぜい140mg/dLくらいです。

それが糖尿病により血糖値が上昇し、
血液の濃度が170から180mg/dLくらいを越えると、
濾過された全てのブドウ糖を再吸収することは出来なくなり、
その余分が尿に出るのです。
これが尿糖で、
糖尿病と言われる所以です。

糖尿病の薬として今回注目されているのは、
選択的SGLT2阻害剤です。

SGLT2は尿細管でのブドウ糖の再吸収をしているので、
それが阻害されるということは、
結果として尿のブドウ糖の量が増えることになります。

こちらをご覧下さい。
SGLT2阻害剤の尿細管作用の図.jpg
これは上記文献のNew England…誌の解説記事にある図ですが、
上の図が通常の状態での尿細管からのブドウ糖の吸収を示し、
下の図はSGLT2阻害剤を使用した場合の、
尿細管における変化を示しています。

確かに通常より余計ブドウ糖が尿から排泄されれば、
それだけ血糖値も下がるように思います。

しかし、必要なブドウ糖が身体で利用されないのが、
糖尿病の病態ですから、
これは何か本質的なことではないような気がします。

本当にこうした薬を使うことで、
糖尿病の患者さんを治療したと言えるのでしょうか?

これについては幾つかの知見があります。

まず、SGLT2の遺伝子を働かなくしたネズミの実験のデータがあります。

SGLT2のないネズミでは、
尿量が通常の3倍になり、
尿糖は通常の500倍に増加します。
このネズミは過食になり水分も沢山とって良く動きますが、
糖尿病にはならず、
低血糖にもなりません。
つまり、SGLT2のないネズミは、
そう不健康ではないようです。

人間にもこれに似た病態があります。
腎性尿糖と呼ばれる状態です。

健康診断などで尿糖が出ているのに、
血糖値が正常で糖尿病のない人がいます。
これは生まれつきの体質で、
こうした人は別に糖尿病にはなりませんし、
寿命が短い、というようなこともありません。

実はこの腎性尿糖は、
SGLT2をコードする遺伝子の変異です。
SGLT2が部分的に阻害されているので、
尿に出るブドウ糖が増えるのです。

従って、簡単に言えば、
選択的SGLT2阻害剤というのは、
腎性尿糖にする薬なのです。

完全に尿細管のブドウ糖の再吸収が止まってしまったら、
それはそれで大きな問題ですが、
実際にはSGLT1が代償的に働くので、
再吸収の抑制はせいぜい全体の5割から6割程度に留まります。
つまり、SGLT2が働かなくなると、
それを補うためにSGLT1の働きが高まるので、
一定レベルのブドウ糖は、
SGLT1の働きで再吸収され、
選択的にSGLT2を阻害することは、
そう大きな健康上の問題にはならないのです。

それでは、
糖尿病の患者さんにおける、
選択的SGLT2阻害剤の意義は何処にあるのでしょうか?

実は高血糖になると、
SGLT2の活性が高まり、
通常より多くのブドウ糖が、
再吸収を受けることが分かっています。

これは食事にも影響を受け、
糖質を多く摂るとSGLT2の活性が高まり、
糖質を制限するとSGLT2の活性は低下します。

つまり、血糖値があるレベルを越えて上昇すると、
おしっこに出るブドウ糖の量も抑制されてしまうので、
尚更に血糖値が下がらない、
という悪循環が生じるのです。

そう考えると、
選択的SGLT2阻害剤を使用するということは、
糖尿病の悪循環のメカニズムのうち、
その一部を解除する効果が期待出来る、
ということになります。

糖尿病の専門家の先生が、
この薬に注目するのは、
そうした点があるからなのです。

ただ、問題は矢張りありそうです。

現状問題として指摘されているのは、
脱水症状の出現や、
尿糖の増えることによる性器や尿路感染症の併発などですが、
それ以外に、
2型糖尿病の患者さんにこの薬を使用した際に、
実際にどのようなブドウ糖代謝の変化が、
身体で起こるのか、と言う点については、
人間でのデータはまだ乏しいのが実際です。

その疑問を埋めるものとして、
昨年4月のJournal of Clinical Investigation誌に、
別々の研究グループより興味深い知見が報告されました。

まずこちらです。
SGLT-2阻害剤によるブドウ糖産生刺激効果.jpg
この文献ではダパグリフロジンという選択的SGLT2阻害剤を、
12名の2型糖尿病の患者さんに使用し、
偽薬を使用した6名の患者さんと、
治療前及び使用2週間後に、
人工膵臓を用いたチェックを行なっています。
これは定時的に血糖値をモニタリングしながら、
それを一定に保つように、
ブドウ糖やインスリンの注入を行ない、
その注入量からブドウ糖の身体での動態を解析するもので、
僕も以前少しお手伝いしたことがありますが、
結構大変で手間の掛かる検査です。

その結果によると、
ダパグリフロジンの使用により、
尿中に出るブドウ糖は増加し、
空腹時血糖は低下します。
筋肉へのブドウ糖の取り込みは増加し、
インスリン抵抗性の改善が確認されました。
しかし、同時に不思議なことに、
肝臓からのブドウ糖の放出は増加し、
グルカゴンの血液濃度も増加していました。

同様の結果を別個の研究手法で検討した文献が、
同じ医学誌面に載っています。
それがこちら。
SGLT-2阻害剤の代謝効果.jpg
こちらの文献においては、
エンパグリフロジンというまた別個のSGLT2阻害剤を用いて、
66名というより例数の多い2型糖尿病の患者さんを対象に、
治療前と1回のみの使用時、
そして4週間の治療継続時における、
ブドウ糖代謝の状態を、
食事と一緒に摂取した、
微量の放射能を付けたブドウ糖を利用して解析しています。

こうした検証に放射能を使用するというのは、
倫理的にどうなのかと思います。
これはイタリアでの臨床研究です。

その結果…

エンパグリフロジンの使用により、
たった1回の投与においても、
尿中のブドウ糖は著明に増加し、
それに伴って血液のブドウ糖は低下、
インスリンの感受性も改善して、
筋肉へのブドウ糖の取り込みは増加しています。
しかし、その一方で血液のインスリンの濃度自体は低下し、
相対的にグルカゴンの比率が増加しています。

そして、最初の文献と同じように、
肝臓からのブドウ糖の放出は増加しています。
そして患者さんの身体では、
ブドウ糖の利用から、
脂質の利用へとエネルギー代謝はシフトしています。

別個の手法を用いて、
使用されている薬も別個でありながら、
ほぼ同じ結論が出ているということから、
この結果は選択的SGLT2阻害剤の特徴であると考えて、
それほどの間違いはないもののように思います。

これまでの考えにおいては、
選択的SGLT2阻害剤を使用することにより、
尿に出るブドウ糖の量が増え、
血糖値が低下するので、
血糖が上昇していることによる「糖毒性」が解除され、
インスリンの感受性も改善すると考えられています。

そうなれば相対的なグルカゴンの増加によって生じる、
肝臓からのブドウ糖の放出も減る、と考えるのが通常です。

しかし、実際には血糖が低下してインスリン感受性も良くなっているのに、
グルカゴンが増加してその効果を部分的には相殺しているのです。

何故こうしたことが起こるのでしょうか?

その点を部分的に解明したのが、
今日ご紹介する論文です。

上記論文では人間の膵臓のグルカゴン産生細胞であるα細胞の、
グルカゴンの分泌調節の仕組みを詳細に検証しています。

グルカゴンの分泌調節のメカニズムは、
まだ部分的にしか明らかになっていないのですが、
α細胞におけるグルカゴン分泌シグナルには、
インスリン分泌細胞であるβ細胞からの影響と、
ブドウ糖による影響、
そして自律神経による調節の、
3つがあることは分かっています。

通常糖尿病のない状態では、
血液中のブドウ糖が増加すると、
β細胞からのインスリン分泌は増加して、
その反対にα細胞からのグルカゴン分泌は抑制されます。
インスリンが分泌されることによって、
筋肉や脂肪ではブドウ糖が利用され、
グルカゴンが抑制されることによって、
肝臓からのブドウ糖の産生が抑制されるので、
血糖値は正常に保たれるのです。

α細胞にはGLUT1という、
糖を細胞内に輸送する3種類の蛋白質が発現していて、
その働きで細胞内に入ったブドウ糖は、
代謝され、その代謝物がATP感受性Kチャネルを閉じるので、
細胞内のカルシウムは上昇せず、
グルカゴンの分泌は抑制されます。

これはインスリン分泌細胞であるβ細胞と、
ほぼ同一の仕組みです。
同じ仕組みを介しているのですが、
結果として起こることは違っているのです。

今回の研究で初めて明らかになったことは、
人間のα細胞にはGLUT1以外に、
SGLT1とSGLT2も同時に発現していて、
それがグルカゴンの分泌に関与しているという事実です。

これこそが、
SGLT2阻害剤でグルカゴンが上昇するメカニズムなのです。

こちらをご覧下さい。
SGLT2阻害剤のα細胞作用の図.jpg
これも上記文献を解説した、
New England…の解説記事より引用したものです。
上の図は通常の状態での、
α細胞におけるグルカゴン分泌調節メカニズムです。

SGLT2を利用して、
α細胞の中にブドウ糖が流入します。
細胞内に入ったブドウ糖は代謝を受け、
その結果としてATP/ADP比が上昇するので、
ATP感受性Kチャネルが閉鎖し、
細胞内へのカルシウムの流入が阻止され、
結果としてグルカゴンの分泌が抑制されるのです。

下の図はSGLT2阻害剤を使用した場合です。

SGLT2が阻害されると、
α細胞内へのブドウ糖の流入がブロックされ、
ブドウ糖の代謝が減少するので、
ATP感受性Kチャネルが開放して、
カリウムが細胞外へ流出。
それがカルシウムの細胞内への流入に繋がり、
グルカゴンの分泌が促進されるのです。

つまり、SGLT2は尿細管細胞のみならず、
グルカゴンを分泌するα細胞にもあり、
それが直接的にグルカゴンの分泌に関わっているので、
それが阻害されることにより、
グルカゴンの分泌が促進されるのです。

これがSGLT2阻害剤を使用すると、
グルカゴンが増加するメカニズムと考えられます。

問題はこのことが、
身体全体にどのような影響を与えるのか、
ということです。

グルカゴンは近年糖尿病における役割が重要視されています。

インスリンの欠乏よりグルカゴンの過剰分泌こそが、
糖尿病の本質である、という考え方があり、
実際にインスリンの欠乏のみでは血糖は上昇せず、
グルカゴンの分泌が亢進して初めて、
血糖の病的な上昇が生じる、というデータもあります。
インスリン分泌細胞が、
直接グルカゴン分泌細胞に変化する、
ということを示唆するデータもあります。

上記のように、
ブドウ糖の代謝からATP感受性Kチャネルに繋がる、
シグナル伝達経路は、
α細胞とβ細胞で共通である、
という不思議さもあります。

SU剤という経口糖尿病治療薬は、
β細胞のATP感受性Kチャネルにリンクした、
SU剤の受容体に結合して、
その作用を現しますが、
その結合部位はα細胞にもあり、
SU剤はα細胞に作用してグルカゴンの分泌を抑制します。

SU剤はβ細胞の疲弊を招き低血糖を起こし易いとして、
近年あまり評判の良くない薬です。

しかし、SU剤はインスリン分泌を刺激すると共に、
グルカゴンの分泌を抑制することで、
身体にとって良い作用を二重に持っている、
という可能性もあるのです。

SGLT2阻害剤は、
これまでにない作用の薬ですが、
α細胞に働いてグルカゴンの分泌を促進することは、
これまでのデータの蓄積からほぼ間違いはなく、
その使用が本当に患者さんにとってトータルに有用であるかどうかは、
今後の検証を待たなければならないと思います。

α細胞にはあまり影響しないSGLT2阻害剤の開発や、
SGLT2阻害剤のその点における比較。
SU剤やメトホルミン、GLP1アナログなど、
グルカゴンを抑制する可能性のある薬剤との併用効果など、
最もこの薬を効果的に使用するための、
今後の研究の積み重ねを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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認定資格のない無能な薬剤師

はじめまして、ブログを拝見させていただき、いつも勉強させていただいております。

膵α細胞に発現しているSGLT2と、グルカゴン分泌に関する解説のところで、わからないことがあるので教えてください。

NEJMから引用された解説図では、トランスポーターより取り込まれたグルコースが代謝されATPが増加して、ATP感受性のカリウムチャネルが閉じると、電位依存性のカルシウムチャネルも閉じて、グルカゴンの放出がなくなる、といった内容が説明されています。

私の記憶が間違っていなければ、ATP感受性カリウムチャネルが閉じると膜電位が脱分極側にシフトすると学びました。でも分極側にシフトすることがあるのでしょうか。あるいは、この電位依存性カルシウムチャネルは膜電位がプラスにシフトすると閉じるタイプのチャネルなのでしょうか。電位変化で開くチャネルは聞いたことがありますが、閉じるタイプは私の勉強不足で聞いたことがありません。

またSU薬の薬理作用の説明で、β細胞ではATP感受性カリウムチャネルにカップリングしたSU受容体を介して作用を示すと書かれています。

たしかその作用を示すまでの流れは、SU薬がその受容体に結合すると、カリウムチャネルは閉じて、膜電位は脱分極側にシフトし、電位依存性カルシウムチャネルが開き、インスリンが分泌されるというストーリーだったと思います。

さらにその説明は続いて、α細胞にもSU薬受容体はあり、SU薬はグルカゴン分泌を抑えると書かれています。

しかし日本大学の石原寿光が書かれた日本語の論文によると、α細胞に対するSU薬の直接作用は、グルカゴン分泌抑制ではなく、むしろ分泌増加に働くと書かれています。

たとえば増量してもSU薬の効きが伸びてこない現象は、石原寿光の解説によると、α細胞から分泌されるグルカゴンが影響しているとのことですが、先生の解説だと上手く説明がつきません。


【参考文献】
石原寿光. "グルカゴンルネッサンス" 日本内科学会雑誌. 102(12), 3237-3243, (2013). https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/102/12/102_3237/_article/-char/ja/

by 認定資格のない無能な薬剤師 (2015-09-12 16:14) 

fujiki

認定…薬剤師さんへ
コメントありがとうございます。
Natureのレターに書かれていることは、
α細胞において、
ATP感受性Kチャネルが閉じると、
細胞膜が脱分極して、
結果としてグルカゴン分泌は抑制される、
ということです。
そこにP/Qタイプの電位依存性カルシウムチャネルを挟んでいるのは、
NEJMの解説記事で、
何故同じ電位依存性カルシウムチャネルに、
β細胞とα細胞で逆の現象が起こるのか、
その辺りは不明です。
僕は何となくチャネルの活動する電位の差によるように、
考えていましたが、
確証はありません。
SU剤でグルカゴン分泌が抑制される、というのは、
Natureのレターの中にある実験結果で、
そこでは少量のトルブタミドで、
SGLT2阻害剤によるグルカゴン分泌の亢進がブロックされています。
従来の結果はその殆どで単離したα細胞は使用していないので、
その点で結果の解釈がまちまちであった可能性があります。
教えて頂いた石原先生の解説記事でも、
少量のSU剤ではグルカゴンは抑制される、
と書かれていて、
そのメカニズムはβ細胞との相互作用とされていますが、
その元になった実験結果は単離したα細胞を使用したものでは、
なかったように思います。
今回のデータでは単離したα細胞で同様のことが起こっており、
同じATP感受性Kチャネルの閉鎖が、
別個の結果をもたらしている、
という結果の方が説得力があるように、
個人的には思います。
「少量のSU剤」というところが、
ポイントかも知れません。
by fujiki (2015-09-12 22:56) 

認定資格のない無能な薬剤師

回答、ありがとうございました。

NEJMは購読していないので手に入りませんでしたが、紹介されたNat.Med.の記事、部屋の隅に積んであった雑誌の山から引っ張り出して、改めて読んでみました。

とはいえ、ATP感受性カリウムチャネルを閉じた後のホルモン分泌反応が、α細胞とβ細胞で違う点がよく理解できなかったので、自分で論文検索してみました。

その作業の中、先生の紹介されたNEJMの解説図が、おそらく間違った図であることに気づきました。

たぶんZhangらの論文を参考にされたのでしょうけれど、Zhangらの論文のグラフィカル・アブストラクトとは異なっています。図の中の電位依存性ナトリウムチャネルの位置が異なり、NEJMの図では、そのナトリウムチャネルがメカニズムに関わっていないように書かれてしまっています。




【参考文献】
Zhang Q, Ramracheya R, Lahmann C, et al. "Role of KATP channels in glucose-regulated glucagon secretion and impaired counterregulation in type 2 diabetes." Cell Metab. 2013 Dec 3;18(6):871-82. http://www.cell.com/cell-metabolism/abstract/S1550-4131(13)00452-X?_returnURL=http%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS155041311300452X%3Fshowall%3Dtrue


by 認定資格のない無能な薬剤師 (2015-09-13 23:55) 

fujiki

認定…薬剤師さんへ
ご指摘ありがとうございました。
ご紹介の論文もまた読んでみます。
by fujiki (2015-09-14 06:41) 

fujiki

認定…薬剤師さんへ
なーるほど。
ナトリウムチャネルの位置が違っているので、
変な具合になっているのですね。
NEJMでもこうしたことがあるのだと、
勉強になりました。
この文献は明日でも記事にしたいと思います。
本当にありがとうございました。
by fujiki (2015-09-14 06:47) 

認定資格のない無能な薬剤師

「お前、所詮、4年制だろ」とバカにされるような、無能な人間が感謝の言葉をいただくなんて、まことに恐縮いたします。

むしろツンドクにしているような論文を読む機会を与えていただき、私のほうこそ感謝いたします。正直、ブログの記事を読むことで、あの雑誌の記事は済ませてしまおうかなと、横着なことを考えてましたから。

まぁでも笹井先生がなくなられる事件にまで発展した例の雑誌といい、およそ信用がある有名専門誌なら、原稿チェックの段階でミスの雰囲気を感じ取れる編集スタッフをそろえて欲しいものですね。

運よく私は気が付くことができましたが、モヤモヤしたまま素通りする方や、何も疑問を抱かず記憶される方も、たぶん少なくないでしょう。

by 認定資格のない無能な薬剤師 (2015-09-14 19:15) 

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