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ジム・シャーマンの「帽子からウサギの出現」 [マジック]

こんにちは。
石原藤樹です

今日は日曜日で診療所は休診です。
もう診療所での診察も、
15日を残すだけになりました。

休みの日は趣味の話題です。

今日は珍しくマジックの話題です。

マジックは一時は大分入れ込んでいたのですが、
才能がありませんでした。
ただ、今でも時々ムラムラと練習したくなったりもします。

カードひと組だけを武器に、
マジックを見せながら世界を放浪することが夢でした。

僕がマジックに入れ込んでいた当時は、
マリックさんはまだ松尾さんという本名で、
手品の通販をしたりしていました。
ビデオはあっても1本3万円とか非常に高価で、
マジックは本で覚えるのが本道でした。
日本の本にはあまり良いものがなく、
洋書を専門店で購入して、
英語を読みながらトリックの練習をしたのです。

その頃に覚えたマジックの方が、
DVDで覚えたマジックよりも、
意外に忘れず出来も良かったりするのが、
人間の不思議です。

今日は僕がかつて感動した、
マジックの解説の話です。

それがこちら。
ターベルコースインマジック.jpg
マジックの本で感動するなどということは、
滅多にないのですが、
この本の巻末にある、
ジム・シャーマンの「帽子からウサギの出現」の解説には、
掛け値なしの感動を覚えました。

ジム・シャーマンは脱出王として名高いハリー・フーディニと、
同時期に活躍したアメリカのマジシャンで、
その当たり芸が、
シルクハットから生きたウサギが出現する、
というマジックです。

皆さんは代表的なマジックを、
何か1つ思い浮かべるとしたら、
何になりますか?

今は空中浮遊のイリュージョンとか、
カードやコインのマジックでしょうか?

戦中戦後くらいの時期には、
それは鳩が空中やスカーフの中から出現するマジックで、
それ以前の20世紀初頭の時代には、
この「帽子からウサギが出現する」
というマジックでした。

そして、
このマジックを流行させたマジシャンこそ、
ジム・シャーマンです。

「帽子からウサギの出現」は、
彼の舞台の一番最後に演じられました。

消えた大きなサイコロが、
シルクハットの中から出現するマジックがあり、
それが終わったタイミングで、
1人の観客を舞台に上げます。
勿論サクラではありません。

シャーマンはサイコロを取り出した後のシルクハットの中に、
何もないことを、
その観客に確認させます。
そしてもう一度観客にシルクハットを渡し、
それを頭の上で掲げて持たせるのです。
この時点でシルクハットの周囲に何もないことは、
客席の観客にも間違いなく見えています。

シャーマンがシルクハットに合図を送ると、
それが急に重くなったことが、
その観客によって確認されます。

そして、
掲げた手を下させて、
シャーマンが「空の」手をシルクハットに入れると、
生きたウサギが見事に姿を現すのです。

本当に無の世界から、
忽然とウサギが出現したように見えます。

このマジックの凄いところは、
一般の観客だけではなく、
同時代のプロのマジシャンにとっても、
このマジックが奇跡のように見えたことにあります。

脱出王のフーディニは、
「絶対にある筈がないのに、
それでもウサギが現れる」
とその妙技を絶賛しました。

上にご紹介した「ターベル・コース・イン・マジック」は、
世界で初めてのマジックの百科事典という触れ込みの大著で、
日本版は第8巻まで刊行されています。

元の作者のハーラン・ターベルは、
自身もプロマジシャンで、
後進を育てるために、
マジックの一種の通信教育を始めました。
1926年のことです。
そのテキストがこの本の始まりで、
後半はターベル以外の作者による解説も、
同時に納められています。

その内容は今読むと他愛のないものもありますが、
シャーマンの「帽子からウサギの出現」や、
チン・リン・フーの「マスター・ロープ・ミステリー」、
アンネマンの「不可能な予言」など、
かつての名マジシャンの、
伝説的な至芸の真実を、
マジックの愛に満ちた抜群の筆致で、
後世に記録として残した意義は大きいと思います。

シャーマンの件はこのように始まります。

【何年もの間、ジム・シャーマンはこの帽子からウサギをとり出す手品によって、一般の観客や手品師をあざむいてきました。(中略)たしかにたくさんのウサギの出現現象がありますが、この方法は巧妙に構成されており、センセーショナルな効果をあげるものです。本当に自然であり、単純明快な現象です。シャーマンの演じた方法そのものが公開されるのは今回が初めてです。当書のために貴重な秘密を提供し、手品界に残してくれたことに対し、シャーマンに心から感謝いたします。】

その後、素晴らしいその秘密の開示があり、
そしてラストには次のような感動的な締め括りがあります。

【シャーマンがこの手品を演じ、観客に対して強烈な効果を与えているのを、私は何回もこの目で見ていますが、読者諸氏へのお願いがあります。以上のさし絵を見ただけで、この手品をすぐ演じようなどとは考えないでください。そんなにすぐにこの手品をうまくできる人は1人もいません。タイミングと視線の角度がしっかりと心に溶けこむまで、さらに、いろいろな動作とセリフにまごつかなくなるまで、何回も何回も練習してください。手品師仲間か家族の人に手伝ってもらい、客の役をやってもらい、練習に練習を重ねてください。そのあといつかあなたがみごとに演じているところを拝見したいものです。】

ね、
何か感動的でしょ。

このマジックはあまりタネらしいものはなく、
要するにタイミングだけの至芸なのです。
従って、
絶対にテレビで演じるようなことは出来ません。
真のマジックとはこうしたもので、
一部の人に真の感動と感銘を与えながら、
一般には記録に残ることもなく、
歴史の闇に消えて行く、
儚く美しい藝術の煌きのことなのです。

今日は僕が感動したマジック解説の話でした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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アヨアン・イゴカー

マジックはできませんが、とても興味があります。
そして、演劇はマジックの知識があると魅力的な作品になることがあるだろうと思っています。
奇術のたのしみ、と言うような本を2冊ほど読んだことがあります。
by アヨアン・イゴカー (2015-08-09 18:55) 

nemo1962

もしかして、このマジックですか?
https://www.youtube.com/watch?v=yzjCbvPyo6c
by nemo1962 (2015-08-10 09:56) 

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