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納豆とビタミンKの話 [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日は昨日のワルファリンとビタミンKの話題に関連して、
特殊な食品である納豆の話です。

通常の食生活は、
それが安定したものであれば、
ワルファリンの効果を特に気にする必要はありません。

しかし、
例外は製品により、
多量のビタミンKを含む、
クロレラや青汁と、
ビタミンKをそれ自体が産生するという特徴を持つ、
納豆の存在です。

納豆は納豆菌(Bacillus subtilis)により、
大豆を発酵させた発酵食品です。

この納豆菌がビタミンKの一種である、
ビタミンK2(MK-7)を産生するので、
納豆は多くのビタミンK2を含む食品になっています。

ビタミンKにはK1とK2とがあり、
K1は植物由来で、
K2は納豆菌や人間の腸内細菌などで産生されます。

K2は更にMK-4からMK-10までに分かれ、
人間の腸内細菌が産生するのは主にMK-4で、
それに対して納豆菌が産生するのは、
主にMK-7です。

納豆1パックには、
概ね400μgを超えるビタミンKが含まれている、
と書かれています。

ただ、
これは納豆の種類によってもかなりの幅があり、
当然発酵の仕方や程度によっても、
産生されるビタミンKの量は異なります。

手元にある1989年の資料では、
納豆2パックに当たる100グラム中に、
ビタミンK1が47μg、MK-4が2μg、
MK-7が211μg含まれていた、
というデータが紹介されています。
(医学のあゆみ1989;Vol.149 No.13:955-956参照)

随分と量が違いますが、
その主体が納豆菌の産生するMK-7で、
元の大豆にはK1が主に含まれている、
ということが分かります。

さて、
他の食品にない納豆の特殊性は、
納豆を食べることにより、
一部の納豆菌は死滅せずに腸に留まり、
そこで数日間MK-7を産生する、
という知見にあります。

これも1989年の日本の文献にありますが、
納豆を1回食べると2日後にも血液のMK-7濃度は、
高値を持続していて、
それは腸内での納豆菌によるMK-7の産生による可能性が高い、
と説明されています。

2006年に日本人による、
より詳細な検討が行なわれていて、
これによるとMK-7の高値は、
摂取後4日までは持続し、
便への納豆菌の排泄も、
摂取後8日まで認められています。
(J Nutr Sci Vitaminol 2006;52:297-301参照)

つまり、
一旦納豆を1パック食べると、
納豆菌はその後1週間以上腸内に存在し続け、
その間少ないながらもビタミンKを、
腸内で産生し続ける、
ということになります。

ビタミンKの不足を心配されるような方は、
1週間に一度納豆を食べれば、
その心配はほぼなくなる、
という言い方が可能です。

2006年の文献では、
納豆から納豆菌を取り除くための調理法が、
色々と検討されていて、
納豆を洗って煮込むと、
ほぼそのビタミンKとしての活性は、
消失する、という結果になっています。

ただ、
それでは煮豆を食べるのと同じですから、
わざわざ納豆を食する、
という意味合いはなくなってしまうように思います。

理屈から言えば、
毎日納豆を食することは、
ワルファリンの効果を少なからず減弱すると思いますが、
たとえば週に1回曜日を決めて、
1パックずつ食するようにすれば、
ビタミンKの吸収量はかなり平均化され、
ワルファリンの効果も、
それほど減弱はせずに安定するのではないか、
と想定されますが、
それを検証したようなデータは、
あまりないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 4

モカ

引き続き、ワルファリンと納豆のお話、とても興味深いです。
納豆菌は腸内で生きて、ビタミンKを作り続けるのですね。
毎日食べれば腸内細菌叢の一部になるのでしょうか…。

しかし、ワルファリン服用中は絶対に納豆は厳禁と言われる状況で少しは大丈夫かもしれないというのは多くの患者さんへの福音だと思いました。

ありがとうございます。
by モカ (2013-05-10 18:28) 

fujiki

モカさんへ
コメントありがとうございます。
勿論現時点では週1回の摂取でも、
問題はないと言い切れませんから、
安全面を優先すれば、
矢張り「食べないのが無難」という判断にはなるかと思います。
ただ、「絶対に食べてはいけない」とい根拠は、
それほど明瞭なものではなく、
ワルファリンの効きが急に不安定になる事例があり、
後から調べてみたら、
納豆を食べていたらしい、
というようなものが殆どで、
それもせいぜい数例の報告に留まっています。
by fujiki (2013-05-11 08:27) 

masaki

納豆について、このような情報に初めてめぐり合いました。
血液サラサラ効果があるとの宣伝を信じて、脳梗塞予防などに効果が出ることを期待して、1日に2パック食べてきましたが、1パックにするのが良いでしょうか?
ワルファリンは服用経験ありません。
なお、子供の頃からの便秘症で、20年来 消化器内科で処方されたラキソベロン錠2.5mgを3日おきに2錠飲んでいます。
(64歳男性です)
納豆の食べ方について、お教え下さい。
by masaki (2013-05-11 11:48) 

fujiki

masaki さんへ
これは絶対のものではありませんが、
1日1パックで充分ではないかと思います。
納豆に含まれるナットキナーゼは酵素ですから、
納豆を食べても吸収はされません。
ビタミンK以外の納豆の効能は、
基本的に他の大豆製品と変わりません。
勿論ビタミンKを多めに摂っても、
現状特に害は知られていませんが、
特別な効能があるという根拠もないと思います。
by fujiki (2013-05-13 06:03) 

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