So-net無料ブログ作成
検索選択

カルシウムの過剰摂取による死亡リスクの増加について [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理などして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
カルシウムの過剰摂取のリスク論文.jpg
今月のBritish Medical Journal誌に掲載された、
カルシウムの過剰摂取の、
その後のリスクについて検討した論文です。

健康のためカルシウムと摂りましょう、
というのは、
僕が大学にいた20年くらい前にはよく聞かれ、
今でも聞かれる健康上のフレーズです。

カルシウムの不足は、
血圧の上昇やイライラと関連があり、
骨粗鬆症の要因になります。

従って、
健康のためにカルシウムを摂りましょう、
というのは、
妥当な意見のように思います。

アメリカにおいてはその傾向はより強く、
上記の文献になる説明では、
中高年の女性の6割が、
定期的にカルシウムのサプリメントを摂っているそうです。

身体にとってカルシウムは最も重要なミネラルの1つで、
細胞の基礎的な働きはカルシウムイオンの働きなしでは、
スムースには行なわれませんし、
骨には常に大量のカルシウムがあり、
それが減少すると、
骨粗鬆症となって、
骨折などの原因になります。

しかし、
その一方で動脈硬化にはカルシウムが沈着しますし、
炎症の部位にもカルシウムの沈着が起こります。
胆石や尿路結石にもカルシウムは関わっていますし、
心臓の弁にカルシウムが沈着すれば、
弁膜症の原因になります。

このように、
身体の中のカルシウムが過剰であって、
それが組織に沈着し易いような要因があれば、
カルシウムの過剰はむしろ身体にとって有害になる可能性もあります。

最近カルシウムの過剰な摂取が、
むしろ心筋梗塞などのリスクになるのではないか、
という報告が複数あり、
これまでのデータをまとめて解析した、
流行りのメタ解析の文献でも、
そうした結果が得られています。

仮にこれが事実として、
一体どのくらいのカルシウムが、
身体にとって過剰であり有害に働く可能性があるのでしょうか?

今回の研究は、
スウェーデンにおいて、
乳癌検診に用いられるマンモグラフィーの、
検診の効果を検証した臨床研究のデータを用いて、
カルシウムの摂取量と、
その予後との関連性を検討したものです。

乳癌検診のデータですから、
性別は全て女性で、
解析された人数は6万人を超えますから、
かなり大規模なものです。
平均の観察期間は19年です。

この研究においては、
カルシウムのサプリメントの使用の有無や、
食事内容の調査がされているので、
それを元にして各人のカルシウムの摂取量を計算し、
その摂取量毎に、
その後の経過を観察しています。

通常不足が起こらないレベルでの、
カルシウムの摂取量は1日600mg以上、
スウェーデンでは50歳以上の女性は、
骨粗鬆症の予防のため、
800mgの接種が推奨されています。

今回のデータでは、
最も少ない人で1日572mg、
多い人で2137mgとなっています。

カルシウムの摂取量を階層化して、
生命予後と心筋梗塞や脳卒中の死亡率を解析すると、
1日1400mg以上の群においては、
600mg~1000mgの群と比較して、
総死亡リスクが1.4倍に有意に上昇しており、
特に心筋梗塞などの虚血性心疾患の死亡リスクは、
相対リスクで2.14倍と、
明瞭な増加を示しました。
一方で脳卒中での死亡リスクに関しては、
有意ではありませんが、
むしろリスクの減少傾向が認められました。

更にはサプリメントとしてカルシウムを使用していて、
1日のカルシウム量が1400mgであると、
総死亡のリスクは更に高く2.57倍に有意に上昇していました。

つまり、
1日1400mgを超えるカルシウムの摂取は、
特にそれをサプリメントで摂る時には、
心筋梗塞の死亡リスクを高める可能性が高い、
ということになります。

これが1つだけのデータであれば、
懐疑的になるところですが、
これまでの疫学データやメタ解析の結果も、
ほぼ同様の方向を示していて、
特にカルシウム単独のサプリメントのリスクが高い、
という点や、
脳卒中に関してはあまり相関が得られない、
という部分までほぼ一致しているので、
これは間違いのない知見である可能性が、
高いように思われます。

骨粗鬆症の予防や治療というと、
他の薬にカルシウム剤をセットで出される先生も多いのですが、
僕は個人的にはそうした処方は殆ど行なっていません。

食事の摂れている方であれば、
高度のカルシウムの欠乏のあるケースは少なく、
軽度の欠乏であれば、
むしろビタミンDの少量の使用が、
むしろ理に適っていると思うからです。

しかし、
それでは何故カルシウムを多く摂ると、
心臓に負担の掛かるようなことが起こるのでしょうか?

その原因は正確には不明ですが、
幾つかの仮説は提唱されています。

明日はその点についてもう少し考えたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(39)  コメント(0)  トラックバック(2) 

nice! 39

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 2

メッセージを送る