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放射性ストロンチウムの内部被曝についての補足 [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日もちょっと事情があって、
いつもより早い更新です。

さっそく今日の話題です。

福島県の土壌から、
放射性ストロンチウム90と89が、
共に検出された、
との報道がありました。

ストロンチウム89は、
チェルノブイリではあまり指摘がなく、
癌の骨転移の疼痛緩和に使用する核子として、
認識していたので、
ちょっと驚きました。
原発30キロより遠方でも検出された、とのことで、
これもそれほど広くは四散しないのでは、
と思われていただけに、
ちょっと驚きです。

少し前に放射性ストロンチウムの内部被曝についての、
総説的な内容を記事にしました。

その後幾つかの御質問を頂きましたので、
その答えを含めて、
今日は少し補足的な内容です。

放射性ストロンチウムはカルシウムと似た性質があり、
人間では主に骨に取り込まれます。
一旦骨に取り込まれたストロンチウムは、
原則的にはそのまま一生骨に留まります。
ストロンチウム90の物理学的半減期は29年、
ストロンチウム89のそれは60日、
いずれもその間身体からあまり排泄されることはなく、
放射能(β線)を出し続けるのです。
(ストロンチウム90の生物学的半減期は概ね50年、
ストロンチウム89は通常は19日で、
癌に取り込まれると100日以上、
という記載があります。
僕は以前はストロンチウムは骨に取り込まれると、
殆ど排泄はされないと教わりましたが、
この記載を信じるなら、
ストロンチウム89に関しては、
排泄はかなり早い、ということになります。
その違いが果たしてどのような点にあるのかは、
ちょっと分かりませんでした)

ただ、その影響がどのような形で、
人間に被害をもたらすのかは、
現時点では未知数です。

こうした原子力災害で、
大量の放射性ストロンチウムの被爆を受けた、
というような事例は過去にないからで、
日本人はその実験台になる可能性があるのです。
被爆の研究をされているような御用学者の先生にとっては、
格好の今後の業績になるのかも知れません。

チェルノブイリの事故において、
ストロンチウムの内部被曝が、
大きな問題になった、
というような事実は、
現時点では知られていません。
骨肉腫のような病気が、
増えたというような明確なデータもないようです。

ストロンチウム89は、
癌の骨転移において、
その疼痛緩和目的で使用されることがあります。

この時の放射線量は極めて大きなもので、
それでいて骨細胞が壊死するようなことは起こりません。
誤解されている方もいるようですが、
この治療は骨の癌細胞を退治することが目的ではなく、
あくまで患部でβ線を放出することによる、
疼痛緩和がその目的です。
従ってこの事実は、
放射性ストロンチウムの内部被曝には、
大量でも細胞障害性は乏しい、
ということを示しているように思われます。

要するにストロンチウムの内部被曝を受けても、
急性の放射線障害はあまり起こらないのではないか、
と考えられるのです。

問題は造血器や骨組織に与える、
将来的な影響です。

放射性ストロンチウムによる治療を行なうのは、
概ね高齢者ですから、
この場合は将来的な発癌などの影響は、
無視して考えているのです。
放射線により誘発される癌は、
早くで被曝後15年です。

従って将来的な骨系統の癌や肉腫の発生や、
成長障害や造血器異常の発生については、
ある程度のそうした影響があることは、
推測はされますが、
それを実証するようなデータは存在してはいません。

放射性ヨードによる甲状腺癌の発症と同じように、
この場合も問題になるのは小さなお子さんです。
成長期以前のお子さんの骨が、
放射性ストロンチウムの被曝を受けることが、
問題ないと言い切ることは、
さすがの御用学者の先生も、
放射線安全教の信者の専門家も、
躊躇するのではないかと僕は思います。

そんなことは絶対に断言は出来ません。

ストロンチウムは一旦骨に入れば、
身体からは出て行きませんし、
それを排泄する方法もありませんから、
成長期以前のお子さんに関しては、
極力その内部被曝をゼロにするように、
防御するに越したことはないと思います。

次に一部で御質問のあった、
ストロンチウムの防御法についての話題に移ります。

それはカルシウムを多く摂ることにより、
ストロンチウムの内部被曝を防ぐことが出来るのでは、
という考え方です。

最初に結論から言えば、
カルシウムが不足しないように気を付けることには、
一定の意義があります。
しかし、ヨード剤のようにカルシウムを大量に摂っても、
それでストロンチウムの吸収をブロック出来る、
などという保証は何処にもありませんし、
大量のカルシウムを摂ることは、
短期間であっても身体にリスクのある行為です。

ヨードの場合は、
甲状腺への取り込みだけを考えれば良いので、
その方針はかなり単純で済みますが、
ストロンチウムはそうはいきません。

ストロンチウムの内部被曝を軽減するためには、
腸管からのストロンチウムの吸収を減らすことと、
身体へのストロンチウムの沈着を減らすこととの、
2つの側面で考える必要があるのです。

仮に毎日大量のカルシウムを摂り続けるとします。

そのことにより血液のカルシウムは上昇し、
身体はカルシウムを下げようとするので、
ビタミンDの活性化が抑えられ、
カルシウムの吸収はその分低いものになります。
ただ、吸収率は抑えられるだけで、
ゼロにはなりません。
従って、ストロンチウムの吸収も、
低下はしますが一定量に留まりゼロにはなりません。
これはカルシウムの吸収は小腸上部ではビタミンD依存性ですが、
小腸下部から大腸上部では、
一種の拡散輸送でビタミンD依存性ではないからです。

一方で大量のカルシウムがおしっこから排泄されると、
それは特にメタボ体質のような方では、
腎結石や尿路結石の原因となります。
これは局所のカルシウムの沈着です。
当然ストロンチウムにも同様のことが起こり、
排泄されたストロンチウムが、
結石の一部として沈着し、
その部位で内部被曝源となる、
と言う可能性があるのです。

身体にカルシウムが過剰であれば、
組織へのカルシウムの沈着はし易くなります。
これはその時にストロンチウムが身体に入れば、
ストロンチウムも組織に沈着し易くなることと同義です。

従って、カルシウムが過剰な状態を作ることは、
必ずしもストロンチウムの内部被曝を低減するとは限らないのです。

もう1つのポイントは、
骨のカルシウムの取り込み易さも、
かなりの個人差があり、
また骨の状態によって変わり易い、
と言う事実です。

癌の骨転移で放射性ストロンチウムを使用すると、
そのストロンチウムはほぼ100%患部に取り込まれる、
と考えられています。

これは転移巣では骨の破壊が進行しているので、
非常にカルシウムを取り込み易い状態になっているためです。

たとえば骨折をすると、
その骨折部位もカルシウムを大量に取り込みます。
従って、骨折をされて治癒しつつある状態にある方が、
放射性ストロンチウムの被曝を受ければ、
普通の方より患部には大量の被曝を受けるのです。

また、成長期のお子さんでは、
当然骨の代謝が活発に働いているので、
それだけ多くのカルシウムを骨は取り込みます。

従って、そうしたお子さんがストロンチウムの被曝を受ければ、
大人より数段多い被曝量になることは、
明らかに想定可能です。

この意味でも成長途上のお子さんでは、
より低線量の被曝にも、
気を配るべきだということが分かります。

放射性ストロンチウムの内部被曝を、
ヨード剤のようにブロックする方法はありません。
ただ、どれだけのストロンチウムを取り込む可能性があるかは、
ある程度は推測が可能であり、
その取り込みのし易さから、
対策を立てることは可能です。

何となく骨に良さそうだからと、
ビタミンDを過剰に摂取していれば、
そのリスクは高まることになりますし、
結石体質の方もカルシウムの過剰な摂取には注意が必要です。
ただ、通常のカルシウムの代謝状態にある方に限って言えば、
1日2000mgを超えないくらいのレベルで、
少し多めにカルシウムを摂ることは、
一定の被曝予防効果はあるものと、
考えられます。
ただ、1日1000mgも摂れば、
基本的には充分で、
それ以上の摂取がより有効であるという根拠はないと思います。

今日は放射性ストロンチウムの内部被曝についての、
補足的な話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

(補足)
アルギン酸ナトリウムには、
一定量のストロンチウム排泄促進効果のあることが、
幾つかの研究で確認されています。
2011年8月9日のブログ記事でご確認下さい。
(2011年10月12日午後4時補足)
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コメント 4

nognog

何か 食事療法でセシウムをコントロールできる結末は、御用学者とかわらないように読めます。 こういった意見も「健康に害はありません洗脳」と感じます。 武田先生と同じ、一時でも非難が最良と言う言葉は見つからない、しっかり読み取らねばいけません。
by nognog (2011-06-21 04:06) 

fujiki

nognog さんへ
ご一読及びご批評ありがとうございました。
by fujiki (2011-06-21 08:17) 

hitori-ookami

冷静でわかりやすい説明に感謝します。
by hitori-ookami (2011-10-15 12:02) 

fujiki

hitori-ookami さんへ
コメントありがとうございます。
by fujiki (2011-10-16 22:14) 

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