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エル・グレコとトレドの話 [絵画]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は診療所は休みで、
午後はちょっと出掛ける予定です。

昨日は外来終了間際にお子さんが急変して、
ちょっと慌てました。
こういう時は僕のような医者は無力ですね。
救急車を要請して、
患者さんも搬送時には回復していましたので、
ことなきを得たのだとは思いますが、
救急隊や救急医には、
本当に頭が上がりません。
ちょっと救急医を悪く言うような記事を、
書いたのがいけなかったのでしょうか?
本当に御免なさい。
病院に向かって頭を垂れます。
常に感謝の気持ちを忘れないようにしないといけないですね。

今日は僕の好きな絵の話です。

エル・グレコはお好きな方も多いと思います。
ギリシャ生まれでスペインで活躍した画家です。

その作品の多くは教会などに依頼された宗教画ですが、
ちょっとデフォルメされた独特の画風で、
16世紀の後半の作品とは思えないような、
現代性を持っています。

その代表作がこちら。
アルガス伯爵の埋葬.jpg
「オルガス伯爵の埋葬」という1枚で、
トレドの聖堂から依頼を受けたグレコ最大の大作です。
素晴らしいでしょ。
人間界から天空を含むこの世界の全体が、
巨大な画面に見事に切り取られています。
この作品は実は僕は実見していません。
以前も書きましたが、
この作品はトレドの聖堂に、
未だに大切に飾られていて、
僕は一度だけ1994年にトレドに行ったのですが、
行きの列車の到着が遅れ、
この作品を見ることが叶わなかったのです。

では次を。
トレド全景.jpg
スペインの城砦都市、トレドの風景です。
魅力的ですよね。
生きているうちにもう一度だけ行きたいですね。
二度はいいからもう一度だけ。
中世から近世に掛けてのヨーロッパの建築や都市というのは、
それ自体が思想であり、
大地に書かれた書物なのですね。
そう思うと、このトレドは、
人間の脳の構造に、
極めて良く似ている、という気がします。
地下の闇には泉があって、
その夢判断をユング博士は論文にしています。

日本の都市の多くは、
醜く変貌し続けていますが、
それは結局そこに暮らす人間の、
考えの荒廃を露に示しているような気がします。

ちょっと話が逸れました。
では最後にこれを。
聖衣剥奪.jpg
「聖衣剥奪」と題された1枚で、
これはトレド大聖堂の聖具室に飾られています。

これは本当に僕は一瞬だけ実見しました。
大聖堂に行くと閉門の数分前で、
聖具室の扉は、
その時係りの大男の手によって、
今まさに閉じられようとしていたのです。
そこに僕は駆け込んで、
もう終わりだよ、とばかりに追い出されたのですが、
その刹那、
壁に掛けられたこの絵のキリストの真紅の聖衣が、
何かの人生の暗号のように、
僕の視界に嵌め込まれ、
僕の記憶に鮮やかに刻印されたのです。

それではそろそろ出掛ける準備をします。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

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コメント 13

fujiki

Lizさんへ
子供の頃は上野の西洋美術館と、
根津美術館がお気に入りでした。
でも、最近はあまり行く機会がありません。
東京都庭園美術館は、
機会があれば行ってみたいと思います。

by fujiki (2010-07-04 10:23) 

hiiragiyama

トレドに30代に1度行き、トレド大聖堂のエルグレコの絵を見ることができました。
トレドの街を思い出し、懐かしく拝見しました。
エルグレコの描く人物の手の指の表情に特徴があると、教えていただいたと思います。

by hiiragiyama (2010-07-04 11:51) 

fujiki

hiiragiyama さんへ
コメントありがとうございます。
トレドは本当に良いですね。
また行ければなと思いますが、
いつになるのか分かりません。
by fujiki (2010-07-04 12:05) 

yuuri37

おお~来ましたね絵画^^v
日曜日は、楽しみです。
実は、オペラ同様芸術というものにあまり縁のない私は、絵画も詳しくありません。でも、エル・グレコは、たった一枚見ていますよ。
そう、日本にある一枚です。大原美術館の「受胎告知」です。
私は、無宗教者なのですが、宗教画や仏像、曼荼羅等が何故か好きなんです。私の書棚は、宗教学を研究しているかのようです(笑)
この絵にまつわる私のエピソードがあります。
私は、まだ研修中に妊娠してしまって、なんと父親からも中絶しろと言われたんです。自分自身も迷いました。
そんなある日、上野の駅のホームでなんと私は、鳩にフンをかけられたんです。もうそれはそれは頭に来て、悔しくて恥ずかしくて、おかしくなりそうなくらいでした。
トイレで、鏡を見ながら「カラスもいいけど、鳩も始末しろ」とブツブツ言ってフンを取っていると、エル・グレコの「受胎告知」が頭に浮かび、目を閉じると鮮明に見えました。「産もう」と思った瞬間です。
その後、元々泣き虫な私は、人目もはばからずウエ~ンと泣いたのを覚えています。今思うと、かなりいっちゃってる人ですよね(笑)周りの人は恐かったでしょうね^^;
私も死ぬまでに、一度トレドに行ってみたいです。


by yuuri37 (2010-07-04 13:02) 

fujiki

yuuri37 さんへ
いつも何か繋がりが隠れているのが、
本当に不思議ですね。
今行ったら大した感慨は無いのかも知れませんが、
ツアー旅行ではなく、
迷いながら辿り着いた感じだったので、
その印象は非常に鮮烈でした。
by fujiki (2010-07-04 21:02) 

みぃ

石原先生、本日は、アドバイスをお願いしたいと思います。
この数年、時々左胸の奥が痛かったり、治ったりしていたのですが、最近は、(本日も、)両胸の表面だけがかなり痛いのです。 左足の土踏まずにも、鈍痛が有ります。 両肩周辺、肩甲骨周辺も結構痛いです。
もしかしたら、スポーツクラブで、4日振りに軽い筋トレをしたせいかも知れませんが、・・・・。  運転中に首が痛かったり、筋と言うか筋肉と言うか・・・骨の痛みでは無いようです。 首の後ろも痛む事が多く、非常に冷えるのが辛く、真夏でもタオルを掛けています。 両足先も肩周りも冷えると痛くなるので、汗をかきながらも、暑い靴下などを履かないではいられ無い事が多いです。 整形外科でも、内科でも甲状腺のホルモン関係も調べて頂きましたが、異常はないようで、リウマチでも有りません。
手や足も時々、しびれた感じがし、普通の人よりもヨガなどで胡坐をかいたりすると、直ぐにしびれてしまいます。  血圧は、高い方で70、低い方では、50以下になる事もしばしばあります。
市販の痛みどめや風邪薬等を服用すると、結構楽になります。
今まで、五十肩の激痛で頂いたリンラキサーを飲むと、かなり暫くの間は痛実が減った気がします。 ここで列記した以外の足や腰のあちこちが、我慢できる範囲では有りますが、痛みます。 五十肩の激痛時も、色々注射しても直りませんでしたが、リンラキサーとロルカムで何とか我慢出来る痛みに減り、五十肩の方は筋トレで、大分良くなって来ました。
でも、こう言う分からない痛みが結構起こり、動くのも辛くなります。
これは、どの科で見て貰うのが、良いと思われますでしょうか?
この症状は全て、閉経頃から起こっています。 

by みぃ (2010-07-05 00:40) 

fujiki

みぃさんへ
閉経後の関節痛というのは、
以前記事にしたことがありますが、
結構存在して、
リウマチと間違われたりすることがあります。
ただ、筋肉痛のような痛み方をすることは少ないようです。
痛み止めや風邪薬が効くのは、
炎症性のものを疑う所見です。
血液の検査で炎症の所見があるかどうかが、
その鑑別としては重要ではないかと思います。
炎症所見が慢性に存在すれば、
リウマチ性多発筋痛症や他の慢性炎症を疑います。
純粋に鑑別診断として言えば、
線維筋痛症などの慢性疼痛も候補の1つです。

まずは膠原病やリウマチの専門科で、
ご相談頂くのが良いと思います。

ただ、筋肉の疲労に比して運動量が多いと、
特定の筋肉が疲労して、
そうした症状を起こすことは、
有り得ることではないかと思います。
上に色々と病気の名前は挙げましたが、
おそらくは大きな心配はないのではないか、
とお話をお聞きした範囲ではそう思います。

ご参考になれば幸いです。
by fujiki (2010-07-05 06:24) 

fujiki

Liz さんへ
了解しました。
すいません。ちょっとお時間を下さいね。

by fujiki (2010-07-05 08:43) 

fujiki

Liz さんへ

PTSD は危うく死ぬか重症を負うような、
強い恐怖感や無力感を来たすようなストレス体験の後に、
フラッシュバックや自分が存在しないような気分、
人格の分裂や解離、感覚の異常な鋭敏さなどの、
特有の症状が1ヶ月以上持続するという症状経過のことで、
主にそのストレス体験というのは、
戦争やテロなどの犠牲者を想定しています。

それに対して、
たとえばDVや性的虐待などの体験は、
それ単独ではPTSDの基準を満たすような、
生き死にに関わるものでは通常ありませんが、
それが持続することにより、
通常のPTSD以上に、
パーソナリティの変容を来たすような、
重症の影響をその被害者に与えることがあります。

これは従来のPTSDの概念とは異なるため、
現時点では特定の定まった用語や基準がなく、
その1つの呼び方として、
CPTSD(複雑性PTSD)のような用語が使われています。

PTSDはその多くで解離症状や人格の分裂を伴い、
遷延化すればうつ病を伴い、
また薬物などの依存症も伴い易いと言われています。

CPTSDではよりパーソナリティの変容が前面に出るため、
パーソナリティの異常として、
判断されがちなケースがあります。

その面で従来、境界型パーソナリティ障碍や、
非定型うつ病、回避性パーソナリティ障碍と呼ばれていた、
一連の兆候も、
もしその方の過去に、
持続的なストレス体験が存在すれば、
むしろCPTSDとして、
一括して論じた方が、
よりその方の症状を説明し易いのではないか、
という考え方が生まれて来ているのだと思います。

PTSDにSSRIが効果があるという考え方は、
動物実験のレベルでは多くの知見があり、
萎縮した海馬や扁桃体が、
SSRIの投与により回復した、という論文もあります。
このことからSSRIの使用が行なわれていますが、
却って病状を遷延化させたり、
副作用や薬の依存で却って患者さんを苦しめることも、
稀ではないのだと思います。

精神分析が有効ではないか、
という意見もありますが、
僕はユング博士とフロイト博士は好きで、
結構多くの著作を読みましたが、
患者さんと人生を賭けて格闘するくらいの覚悟がないと、
「お仕事」として成立するような手法ではないのでは、
という考え方です。
事例集を読んでも、
実際には治療の成功例は少ないと思います。

従来言われている認知行動療法や支持的精神療法などは、
基本的にもっと軽症の患者さんを対象とした、
軟弱な治療法で、
このご病気の方に適したものではないように、
僕には思えます。

これである程度お答えになっているでしょうか?

またもう少し勉強させて下さい。

もしご指摘がありましたら、
メールを頂ければと思います。
by fujiki (2010-07-06 13:53) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコのFine Arts Museums of San Franciscoにエル・グレコがあります。
by サンフランシスコ人 (2011-07-24 07:56) 

fujiki

サンフランシスコ人さんへ
コメントありがとうございます。
結構アメリカに、
エル・グレコは流れていますね。
by fujiki (2011-07-24 20:53) 

サンフランシスコ人

アメリカの美術館には、エル・グレコがかなりあります。
by サンフランシスコ人 (2011-07-25 05:42) 

投資の初心者

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
by 投資の初心者 (2014-05-05 12:09) 

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