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原発性アルドステロン症の話 [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

先週何処かの番組で、
見逃されている高血圧として、
「原発性アルドステロン症」の話がありました。

いつものことですが、
こうした放送があると、
必ず翌日には数人の患者さんから、
「私もそうではないでしょうか」
というようなご質問があります。

テレビ恐るべしですね。

さて、原発性アルドステロン症とは、
どのような病気でしょうか?

高血圧の患者さんは非常に多くいらっしゃいますが、
その大部分は原因となる病気のない、
所謂「本態性高血圧」です。

しかし、高血圧の患者さんの中には、
はっきりと他の病気によって起こる、
特殊なタイプの高血圧が存在します。

その代表の1つが、
この原発性アルドステロン症です。

この病気は副腎にしこりが出来、
そこからアルドステロンというホルモンが、
じゃんじゃん出ることによって起こります。

副腎は腎臓の上にある小さな腺組織で、
ステロイドホルモンを作り、分泌する、
という大切な役割を果たしています。
アルドステロンは電解質コルチコイドとも言って、
ステロイドホルモンの一種ですが、
通常言われるステロイドとは違い、
身体に塩分を溜めて、血圧を上げる働きがあります。
つまり、このホルモンが過剰になれば、
血圧が上がるのです。

これが、原発性アルドステロン症による、
二次性高血圧です。

それではちょっと実際の画像を見て頂きましょう。
こちらをご覧下さい。



原発性アルドステロン症の患者さんの、
お腹のMRI の画像です。
画像の右側が実際には左側になります。
青い矢印に先にあるのが右の腎臓で、
その上の赤い矢印の先にある、
小さな丸い部分が右の副腎の腫瘍です。
では次を。



これは同じ方のMRI 画像を、
角度を変えて輪切りにしたものです。
矢張り赤い矢印の先にある丸い部分が、
副腎の腫瘍です。
ここから、アルドステロンがじゃんじゃん出て、
血圧が上昇するのです。

腫瘍からではないアルドステロンは、
出ていても血圧が病的に上がることはありません。

それは何故かと言えば、
このホルモンは血圧を正常にするように、
調節がされているからです。

この調節に重要な役割を果たしているのが、
「レニン」です。

レニンとは腎臓の一部から出る、
これもホルモンの一種ですが、
このレニンは腎臓を通る血液の量が少なくなると、
そのことによって刺激されて上昇。
それが幾つかの物質を経由して、
結果としてアルドステロンを上昇させます。
アルドステロンは腎臓の尿細管に働きかけ、
ナトリウムを身体に溜めて、
血液量を増やし、血圧を上げます。
一旦血液量が増加すると、
今度はレニンが抑えられるので、
今度はアルドステロンが減少し、
血圧は一定に保たれるのです。

要するに、レニンとアルドステロンのバランスが、
人間の血液の量とナトリウムの量を、
同時に調節して、血圧を一定に保っているのです。

それでは、原発性アルドステロン症では、
どういうことが起こるでしょうか。

レニンには関わらずに、
副腎が勝手にアルドステロンを、
じゃんじゃん分泌します。
すると、ナトリウムが身体に溜まり、
血液の量が増えて、
身体はふっくらとして血圧が上がります。
アルドステロンが上がるので、
腎臓はそれを下げようとして、
レニンは低下します。

この時、腎臓の尿細管では、
ナトリウムを取り入れる代わりに、
カリウムを身体の外に出す仕組みが存在します。
これは一種のポンプで、
そのポンプの働きが、
アルドステロンにより加速させられるのです。
すると、血液のカリウムが不足して、
カリウムが下がります。
これが、原発性アルドステロン症で、
血液のカリウムが低下する理屈です。

つまり、典型的な原発性アルドステロン症では、
血圧が上がり、血液のカリウムが下がります。
ナトリウムが増えているので、
血圧は特に下が高いのが特徴です。
症状が出るほどの低カリウム血症になることは少ないのですが、
典型的な例では、
四肢麻痺と言って、
特に食後や運動の後に、
筋肉が一時的に動かなくなる症状が起こります。
一種の過呼吸の発作に近い状態になるのです。

それでは多くの高血圧の患者さんのうち、
どのような方にこの病気を疑い、
どのような検査をすれば、
簡単にこの病気であるかどうかが、
診断出来るのでしょうか?

長くなりましたので、
その点については、
明日に続けたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 7

みぃ

こんにちは。
本能的高血圧が有ると言う事は、低血圧にもそういう事は有りうるのでしょうか?
低血圧に因る、不都合は今の所有りませんが、母も私も、最近、高い時が、65位で低い時が35と言うような低い値が時々、現れます。
脈疹流鍼灸師さんに脈がかなり弱いので、お医者様に診て貰うように勧められた事が有りますが、健康診断では異常は有りませんでした。
今の所、このまま様子を見るつもりですが、生理的低血圧と言うか本能的低血圧と言って良いのか分かりませんが、病気に因る低血圧も有るのでしょうか?


by みぃ (2010-02-15 16:28) 

さすらいの、、、

本題にそれてしまいますが、2/3日、蚤の心臓を奮い立たせ左鼠頚ヘルニアの手術を受けてきました。2泊3日は平均的のようですが、導尿カテーテル装着には閉口しました。術後1週間たってから剃毛部分と大腿付け根の皮膚が痛くて歩行もままなりません。何が原因しているのでしょうか。毛の再生が原因でしょうか。
by さすらいの、、、 (2010-02-15 16:53) 

a-silk

石原先生。
おかげさまで、母が退院できることになりました。

by a-silk (2010-02-15 22:01) 

fujiki

みぃさんへ
コメントありがとうございます。

ホルモン関連の低血圧というと、
ステロイドホルモンや甲状腺ホルモンが、
足りない場合がありますが、
通常は身体のだるさなどの症状を伴います。

一般的に言って、
特に日常生活での不都合のない低血圧で、
急に起こった訳ではない場合には、
はっきりとした原因が見付からないことが、
殆どだと思います。

立ちくらみが強い、だるさがある、
ふらつきや動悸があるなど、
他の症状を伴う場合は、
詳しい検査が必要ですし、
一般の健診のレベルの検査で、
貧血がある、心電図や胸の写真に異常がある、
などの所見のある場合も精査が必要ですが、
それ以外の場合は、
様子を見て、特に問題はないと思います。

ご参考になれば幸いです。
by fujiki (2010-02-16 11:39) 

fujiki

さすらいの、、、さんへ
コメントありがとうございます。

意外に多いのは「帯状疱疹」です。
痛い場所の近辺に、虫刺されのような湿疹はないですか?
痛い場所が炎症を起こしているよう所見
(熱を持っていたり、しこりを触れたり)
がなく、湿疹もなければ、
少し様子を見ても良いかと思います。
何かが触ると痛いような表面的な痛みか、
痛みが奥にありそうか、
痛みがピリピリとして鋭い感じか、
そうした点によっても、
ある程度は原因が推測は出来ます。

勿論、一度手術で切ったり、剃毛したりした場所に、
一時的な痛みがあることも結構あると思います。

ご参考になれば幸いです。
by fujiki (2010-02-16 12:05) 

fujiki

a-silk さんへ
本当に良かったですね。
献身的な看病の賜物だと思います。
退院されれば、更にお元気になると思いますよ。
これからも、血糖の変動には注意をされて下さい。
by fujiki (2010-02-16 12:07) 

ぴょんた

原発性アルドステロン症の記事を拝見しました。
学生時代に、本町に下宿していました。もう35年も前のことで、幡ヶ谷駅は地上にあり、甲州街道を渡り、6号通りを通って、水道道路の先にポロアパートがありました。
6号通りという言葉に惹かれて、ブログを拝見していたら、アルドステロンの記事に行き当たりました。
私は患者です。種々の検査を経て、シンチ・サンプリングも終わりました。
ACTH負荷後のサンプリングで、60000近い数字が出て、まさしく原発性アルドステロン症と診断され、摘出手術を待っています。
NHKの番組で紹介されましたが、患者からすると、あんなに簡単に治る病気ではなく、病気を周知するには仕方がないのかもしれませんが、クイズ形式でふざけた形での番組構成には、若干憤りを感じています。
もし、この病気を疑われている方がいらっしゃったら、決して軽く考えられる病気ではないことを理解の上、闘病していただくことをお勧めします。
その点、このブログの記事は、非常に分かりやすく理解できる内容です。
by ぴょんた (2010-03-13 19:43) 

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