So-net無料ブログ作成

慢性疼痛への麻薬の使用について [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今年の1月20日から、
商品名がデュロテップという、
合成麻薬の貼り薬が、
慢性疼痛の治療に対して、
使用が出来るような添付文書の改定が行われました。

進行癌の患者さんでは、
痛みのコントロールが問題になります。

その場合、主力として使われるのは、
モルヒネを主体とした麻薬です。

ただ、患者さんは状態が悪くなるにつれ、
口から麻薬を飲むことは困難になります。
麻薬にはそれ以外に注射と、
お尻から入れる座薬とがありますが、
いずれも量のコントロールが難しい、
という難点があります。

ここで日本で2008年に発売された、
デュロパッチは、
フェンニタルという合成麻薬を、
皮膚から吸収されるような貼り薬にした製剤で、
皮膚に貼るだけで使用出来、
量の調節も比較的やり易い、
という利点があります。

僕も何度か使用したことがありますが、
3日に1回の貼り替えでOKで、
非常に使い易いのですが、
僕が診ている癌の患者さんは、
少量の麻薬で充分で、
量を増やすと副作用が強くなる方が殆どなので、
通常の最小量でも、
ちょっと多くて使い辛い、
という面はありました。

モルヒネ自体は癌の疼痛ばかりでなく、
他の強い痛みや症状にも、
場合によっては使用することが可能ですが、
合成麻薬になるこのデュロパッチのような製剤は、
癌の疼痛に適応が限られています。

ただ、困るのは終末期の患者さんで、
癌ではないのですが、
全身の骨の痛みや関節の痛みなどが、
非常に強く持続し、
通常の痛み止めでは、
あまり効果がないような場合です。

こうしたケースでは、
通常の痛み止めより、
麻薬の方が遥かに効果があり、
その上胃潰瘍などの副作用も少ないのです。

そんな訳で、
今回の合成麻薬の適応拡大は、
待ち望まれていたものではあったのです。

ただ、ものが麻薬ですから、
その使用には慎重な判断が必要です。

それで厚生労働省は、
例によってこうした一文を付けました。

【厚生労働省からの承認条件】慢性疼痛の診断、治療に精通した医師によってのみ処方・使用されるとともに、本剤のリスク等についても十分に管理・説明できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ用いられ、それら薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。

まあ、お役所は、
こうした文書を交付するだけで、
後は責任がないのですから、
ご立派でお気楽なものです。

ただ、問題はこの条件をどうやってクリアするかです。

製薬会社の出した答は、
あまり今までに例のない、
ユニークなものです。

ネットを通じて、その薬剤のサイトにアクセスすると、
麻薬の処方医師番号を入力することで、
処方のためのトレーニング講座を、
ネットで受講出来る仕組みになっています。
その最後に簡単な試験があり、
それに合格すると、
この薬の処方のための許可が下りる、
という仕組みです。
麻薬の処方出来る医師であれば、
その資格に制限はありません。

どうでしょうか?

なかなか良く出来たシステムで、
僕はちょっと感心しました。

現在の医師の学会や資格制度は、
あくまで研究をしている、
大学や研究機関や大病院のための仕組みです。
週6日の外来を1日も休むことの出来ない末端の医者が、
勉強出来るような仕組みではありません。

そうした意味ではこうしたネットの活用と、
資格登録の制度のようなものが、
今後もっと重要な位置を占めてゆくように、
僕には思えます。

今日は慢性疼痛に麻薬系の貼り薬が、
適応拡大になった、という話題でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(17)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 17

コメント 2

hikkabouya

合成麻薬というと押尾某の事件を思い出してしまいますが…
貼り薬の麻薬があるとは知りませんでした。
体じゅう膏薬だらけにしたジャンキーを想像してしまった私は落語の聞きすぎでしょうか?
by hikkabouya (2010-02-04 11:49) 

fujiki

hikkabouya さんへ
コメントありがとうございます。

そう言われると確かに、
ちょっと怖い部分はありますね。
全身に貼ったら、多分お命にかかわります。
by fujiki (2010-02-04 23:02) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

メッセージを送る