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クレアチンキナーゼ(CK )とその異常値について [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
朝からカルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

クレアチンキナーゼ(creatine kinase )は、
主に筋肉の中に存在する酵素です。
筋肉は人間の物理的な力の源ですが、
そのエネルギーを生み出すのに、
この酵素が重要な役割を果たすのです。

クレアチンキナーゼは、
CPK とか、CK と略されて、
通常の血液の検査の中に含まれています。
健康診断の検査の項目に入ることは少ないですが、
人間ドックのような、
少し詳しい検査の中には入ることが多いのです。
これは何故かと言えば、
この検査の異常が、
幾つかの病気の診断や経過の観察に、
重要な役目を果たすことになるからです。

クレアチンキナーゼは筋肉の中にあるので、
筋肉が炎症を起こしたり、壊れたりすると、
筋肉の中から血液の中に酵素が流れ出し、
その数値は上昇します。
この数値の単位は、U/L で、
概ね150から200くらいが上限の値になります。
この数値が意味を持つのは、
通常は高い場合だけです。
低い場合は筋肉量が少ないケースなどが考えられますが、
病的な意味合いはなく、低い方は、
それを気にされる必要はありません。

運動をすると、それが激しい運動であれば、
当然筋肉は炎症を起こし、一部は壊れて、
クレアチンキナーゼは上昇します。
これはスポーツ選手でも例外ではなく、
専門のスポーツドクターの書いたものを読んでも、
運動の後に2000や3000くらいまでこの数値が上昇することは、
稀ではないようです。
クレアチンキナーゼが運動で上がり易いのは、
一種の体質と考えた方が良さそうで、
プロのスポーツ選手でも、
上昇し易い人と、そうでない人がいるようです。
これは従って、別に病的な現象ではないのです。

それでは、どんな場合が病的なのか、という話になりますが、
たとえばマラソンのような過酷な運動をすれば、
その翌日にはおそらく全ての人で、
クレアチンキナーゼは上昇します。
その数値は3日目くらいから減少し、
概ね1週間から10日で正常に戻ります。

従って、運動から1週間経ってから計測しても、
数値が下がらない場合には、
病的な上昇と考えて、間違いはないのです。

先日ある患者さんがお出でになり、
前回計測したクレアチンキナーゼの値が、
910であったことに不安を覚え、
ネットで情報を集めたら、
この数値が500を超えたら確実に病気で、
1000を超えたら重症で命に関わると書いてあったが、
このまま様子を見て本当に大丈夫なのか、
とご不審を抱いて僕に尋ねられました。

確かにお持ちになった資料を見ると、
その通りに書いてあります。

その患者さんは、薬が原因ではないかとも思われて、
処方した薬を中止してしまわれました。
確かにコレステロールを下げる薬の一部では、
この数値が上昇する副作用が知られています。
しかし、その患者さんの飲まれていた薬は、
その可能性は極めて低い血圧の薬で、
経過から言っても、その可能性はまず考えられません。

後から考えれば、
患者さんの立場に立てば、
自分のお身体のことであり、
当然の選択だったのだな、
と思うのですが、
その瞬間は僕もちょっとショックで、
あまりご納得のいくような、
しっかりした説明が出来ませんでした。

今日この記事を書いているのは、
まあそんなことがあってのことなのです。

話を元に戻します。

スポーツの後にクレアチンキナーゼが、
2000程度まで上がるのは、
決して珍しいことではなく、
その殆どは病的なものではなく、
別に注意を要する事例でもありません。
どの程度までの上昇を病的と考えるかは、
非常に微妙なところですが、
3000以下は慌てることはないと考えられます。
明らかに運動後の上昇であっても、
5000を超える時は、病的な可能性を考えます。

ただ、これは勿論他に病的な状態がないことを、
前提としての話です。
筋肉の力が入り難いなどの症状があれば、
300の数値でも病的な場合がありますし、
同じ2000の数値であっても、
運動の後なら問題がないですが、
たとえば事故で重い物が足に落ちた後であれば、
深刻な病状を考える必要があります。

筋肉がある程度以上壊れた時、
一番注意が必要なのは急性腎不全の発生ですが、
これに関してはクレアチンキナーゼよりも、
ミオグロビンという筋肉の中にある蛋白質が、
重要な役割を果たすとされています。
しかし、このミオグロビンは、
必ずしも常にクレアチンキナーゼと、
一致して上昇する訳ではないのです。
(この点については、もう少し詳しく明日以降で触れたいと思います)

従って、このクレアチンキナーゼの数値は、
単純にその数値だけで重症度を判断するべきものではなく、
他の検査の数値や、
何より患者さんの全身状態をよく診た上で、
その判断をするべきものなのです。

マニュアル本やネットの医療情報の類に、
その視点が往々にして欠けているのは、
悲しいことだと思います。

それでは今日はこのくらいで。

明日はクレアチンキナーゼの上昇する代表的な病態の1つ、
横紋筋融解症の話を取り上げる予定です。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 5

志賀映昭

URLがないのでメールアドレスを記入いたしました。
直接メッセージがお手元に着くよう祈っております。
私の67歳になる妹の膠原病(全身性筋無力症と12年前に診断)に関して、常にCK値を中心にした治療を受け続けてきたことに、数日前に気づき、大変疑問に感じたために、ネットを通じてこの病名とCK値がどのようなつながりがあるのかを探ってまいりました。現在に至るまで、決定的に関連する理由(情報)にぶち当たりません。
現在の心境は、ひょっとして?という疑念が湧いております。
詳しいいきさつを書くだけの枠がありませんので、もし幸運にも意見交換のチャンスがいただければ幸いです。敬具。
by 志賀映昭 (2011-06-29 15:05) 

fujiki

志賀映昭様
よろしければ、
ホームページにあるアドレスに、
メールを頂ければと思います。
by fujiki (2011-06-30 08:15) 

雪

初めてコメントします。ブログ拝見しております。CPKを調べていてこの記事を読みました。甲状腺機能亢進症ではCPKが低値という認識でいいのでしょうか?私は橋本病で機能低下発見時TSHが201.5でCPKが47でした。この時はまだ動けていました。サンドを25から50に増やした頃から体が痛くなり、増量後4ヶ月の現在全身の筋肉が痛くて動けなくなり、心臓に異常を感じて、原因を探っていました。現在CPKが24まで下がって、TSHは正常値です。TSHが正常値でも、私の筋肉に対しては甲状腺ホルモンが過剰で、筋肉だけ亢進症になってしまっているのだとの結論に達しました。CPKが低いのは筋肉がはたらいていないのではないかと考えています。あまりにも症状がひどいので、薬を減らして様子をみようと考えています。TSHは正常値なので主治医に症状を訴えても気のせいと言われるので、自分で調べています。
by (2013-04-25 20:29) 

fujiki

雪さんへ
コメントありがとうございます。
甲状腺機能亢進症では低めになり、
機能低下症では高めになる、
というのが教科書的な記載ですが、
実際には必ずしもそうという訳ではないと思います。
上記の意味合いは、
筋肉細胞の代謝の問題ですが、
一方で亢進症で筋肉細胞が不安定になることもあり、
そうしたケースではCPKは上昇します。
ホルモンを増やして体調が悪化したのであれば、
減量してご様子を見て頂くという判断は、
悪くないように思います。
by fujiki (2013-04-26 08:14) 

雪

ありがとうございます。
血液検査の結果だけではそう簡単にわかるものでもないのですね。
薬を減らしたら少し改善の兆しがあるので、このまま様子をみようと思っています。
突然の質問に答えてくださいまして、ありがとうございました。
by (2013-04-26 10:01) 

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